グロリア 公演情報 グロリア」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
1-20件 / 25件中
  • 満足度★★

    声がきれいじゃなかった
    発声が悪いのか、大きな声を出すところではがなり声になっていた。もっと声を磨いてほしい。

    ストーリーは、よくこんなエピソード探してこれたなと感心した。ただ、男性が女装して2名、ストーリーとあまり関係なく登場してくるところがあざとい。売れないコメディアンが顔芸で笑わせる感じで嫌だった。一生懸命やっててそれが面白さにつながればいいじゃないか。

  • 満足度★★★★★

    折に触れ演を重ねて欲しい
    基本的にはユーモラスな中に戦時中の生活・出来事や人々の気持ちをきちんと織り込んで、優しいながらもしっかりと訴える語り口に井上ひさしの昭和庶民伝も連想。
    忘れてはいけない、伝え続けなければいけないことを風化させないために今後、折に触れ演を重ねて欲しい。

  • 満足度★★★★

    良かったです
    とてもとても良かったです。丁寧な作り、役者陣の違和感の無さ!
    ハイリンドもサスペンデッズも初見だったのですが、どっちの劇団も好きになりました♪♪♪知ることができて良かったです。

    観劇後、ニコニコしながら帰路につけるって素敵ですね。

    ネタバレBOX

    特に多根さんの女学生とか…服とかずっとリーマンのスーツなのに;でも、それでも全然可憐な女学生に見えたのがビックリでした。すごい~

    個人的に衣装が好みでした。
  • 満足度★★★★

    細部までぎっしり
    他の方の劇評どおり、おなかがいっぱいになりました

  • 満足度★★★

    ギュッと詰まった感じ
    小さい劇場に濃い中味をギュッと閉じ込めたような印象でした。

    少人数でひとり何役もこなしながら、
    全く違和感がない役者さんたちの演技力が素晴らしかった。
    いくつかの紙箱と、背景に開け閉めできるようになっている紙を使用したセットもシンプルで好みでした。
    戦争を題材にしていながらあまりシリアス過ぎず、所々に笑も交え。
    それでも最後に傷つくのは市井の人々なんだなと実感しました。
    まずは出ずっぱりの多根さんにお疲れ様と言いたいです。

  • 満足度★★★★

    どんな時代だったとしても
    人生はあっという間だ。
    生まれ落ちる時に時代も場所も環境も選べず放り出され
    右往左往、悲喜こもごも沢山の想いを紡いで暮らしていく。
    泣き笑い怒り悲しみ、丸い地球の上の本当に卑小な私達。
    時に信じた正義に裏切られ、その真実も見えず知らず
    哀しみのバトンは予期せぬ誰かの手の中に堕ちたりもする。
    そうして巡る幸せも痛みも全ての総量は一定なのではないか?

    それでも生ききってこそ
    そんな愛おしい時間に想い至るラストにキュンと来た。

    ネタバレBOX

    人生を全うしてまさに旅立とうとする老女。
    家族には惚けていると思われている彼女の残した文章を
    生活に窮々とし、ささくれた気持ちで固まってしまった孫が読み進め
    果ては彼が彼女の少女時代に成り代わる。
    観客は少女の彼と共に老女の心に映る原風景へと旅に出る。

    旅立つ時に自分はどんなことを思うのか。
    喜びに満ちた一瞬の輝いた時か、口をつぐみ蓋した苦い後悔の時だろうか。
    省みて戻りたいと思える時代、時期はいつだろう。


    メビウスの輪のように繋がるラストの優しさは作家の持ち味?

    そういえば、家で待つ人と話していないことが沢山在る。
    帰り道は少しだけ柔らかい気持ちになった自分に笑いが出た。

  • 満足度★★★★

    丁寧に作られた作品
    戦時中に風船爆弾を作っていた女性を通じて、1944年の日本、1945年のアメリカ、2010年の日本でのエピソードが重ね合わされた物語で、戦争の虚しさが描かれていますが、やたらと声高に訴え掛けることもなく、後味の良い作品でした。

    7人の役者が場面毎に色々な役を演じ、演技力と演出によって、もっと多くの人が出演しているかのように感じました。特に、枝元萌さんのキャラの変わりっぷりは見事でした。

    それぞれの時代で別れる運命になってしまう2人がどの時代でも同じ役者で演じられたり、祖母の若い頃をその孫の役を演じていた役者(男性)が現代の格好のままで演じたりと、配役が物語の構造と上手く結び付いていたと思います。

    アメリカの話で幸福な暮らしに不幸が忍び寄るのを予感させるシーンが素晴らしい演出でした。風船爆弾の素材である和紙で統一した美術もシンプルで美しかったです。

  • 満足度★★★★★

    大絶賛!
    すんばらしい舞台だった。出演キャストは7人なのに、観終わったときに感じるのは「ええっ?!、こんなに少なかったの?」とびっくりする。つまり、場面場面の状況でのキャストらの演技があまりにも絶妙なので、その風景がしっかりと脳裏に焼きついているからだ。本当に素晴らしい!
    特に枝元萌の女学生、隆志の妹、ナンシー、シゲ子、看護師役ではコメディな部分も展開し、類を見ない演技力だった。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    病院に詰めている片山の祖母が生死を彷徨ってる状況下、片山の現在の仕事の情勢と元妻の沙織との今後の話し合いを描写する。片山は自分が立ち上げた「人材派遣会社」の仕事も破産寸前なのでイライラしている。一方で実家が裕福なためボランティアに勤しむ元妻。そんな折、祖母トキ子の「追跡!軍国乙女トキ子の青春」という記録をふとしたきっかけから読んだ片山は当時の1944年の出来事へとリンクする。

    そこはトキ子の当時の家族との風景、トキ子ら女子が「風船爆弾」を作っていた光景へと観客を誘う。特にトキ子の弟・勝良や母・シゲ子と間借りしていた杉浦との関係の綿密な演出が素敵だった。物資はないが人間の情が確立していた時代だ。友だちが居ない弱虫・勝良が可愛がっていたチャーボーとの友情な場面の表現、チャーボーを潰した後に泣きながらチキン入りのカレーを御代わりをしながら食する勝良のシーンは泣き笑いの場面だ。

    やがて、トキ子の父と兄が戦死した通知、その後の日本軍が飛ばした風船爆弾がオレゴン州の山中で1人の女性と5人の少年少女を殺した経緯をも描写し、現在と1944年の時間軸を交錯させながら魅せる暗転の仕方も絶妙だった。
    従来の戦争ものの物語の多くは暗く陰湿さが露呈してしまうが、これを避けて、なるべくカラッと明るくした描写も素敵だった。

    そうしてトキ子の書いた物語を読んだ前と後の片山の表情も見ものだと思う。1944年のトキ子を演じた多根周作の衣装は片山のスーツのままだったが、トキ子に見えてしまうカマ風味な演技力はやはり秀逸なのだろうとつくづく思う。

    素晴らしい公演を観ました。
    しっとりと流れる空気感と時折見せるコミカルな展開が好みだった舞台。
  • 満足度★★★★

    早船戯曲の構造の巧みさが、
    俳優の技術力でさらに裏打ちされて
    クラクラする程の面白さに仕上がってる。

  • 満足度★★★★

    緻密なラフさが吸い上げるもの
    いたずらに密度を前面に押し出さず
    恣意的にラフな部分を作り上げている感じ。

    そのテイストがとてもうまく機能して
    よりたくさんのことが物語に吸い上げられていく。

    含蓄のある豊かな舞台でありました。

    ネタバレBOX

    終戦後のアメリカから現代の日本、
    そして過去の日本へと物語が綴られて
    ふたたび戻っていきます。

    それらをつなぐ糸にあたるものが
    とてもしたたか。
    役者のキャラクターを重ね
    亡霊を使い、映像を使って
    観る側を不要にタイトにせず
    でも、物語の時間と日米にまたがる広さを
    そのまま観る側に置いていきます。
    役者の使い方にも工夫があって
    手記を読むという入口から
    奥にずずっと取り込まれていく。

    人間描写の織り込み方が
    観る側にとって広がりがあって。
    重さはないにも関わらず
    くっきりと観る側にやってくる。

    いくつものシーンで
    どこかウィットを感じさせる日々の暮らしが
    密度と軽さを共存させながら
    しなやかにスライスされて・・・。

    主人公の性格や訪れる閉塞感、
    そのなかで生きていこうとすること。
    そして離婚した妻の想い。
    それらが、
    アメリカの牧師夫婦や
    戦中の祖母の描写とも繋がりあって
    幾重にも伝わってくる。

    3つの物語、
    現代では夫婦を演じたふたりに
    共通したものをふって
    観る側を世界に閉じ込めてしまうやり方が
    しっかりと機能して。
    気がつけば、キャラクターたちが
    生きていくことの肌合いに
    心を奪われている。

    終演後もゆっくりと深まっていく
    感覚があって、
    単に舞台上だけではなく
    その記憶の余熱からも
    このお芝居に込められたものを
    悟ったことでした。

    物語の構成も、役者たちにも
    安定感があって。
    その一方で
    観る側がゆだねることができるチャレンジが感じられる、
    とても魅力的な舞台だったと思います。

    ☆☆○★★★△△◎
  • 満足度★★★★★

    くぁ!
    メリハリのある芝居は観ていて飽きない。

  • 満足度★★★★

    軽快かつ重厚
    初見の両劇団でしたが、評判どおりでした。難しい戦争逸話を軽快に笑いを挟みつつ進めていき、大事な場面では重厚かつ説得力のある演技で引き締める。良質な芝居に魅せられました。

  • 満足度★★★★

    良作でした
    戦争を描いているのですが、ことさらそれを意識することなく、自然に楽しめました。笑いの要素もふんだんにあって、満足です。

  • 満足度★★★★★

    後世に残る作品!
    風船爆弾という特殊な武器を通して、現在と過去を知ろうという話でした。

    ネタバレBOX

    祖母が危篤状態のため病院に来ている男と元妻。男の経営する会社は借金取りに追われています。一方の元妻はMPO法人で働いていて、内戦で困窮している国へ子供を連れて調査に行こうとしています。自分の子供が危険にさらされるのを嫌がる男と心配ないと言う元妻の会話は全く噛み合いません。そんなとき、男は祖母の手記を読むことになり…、

    手記には、祖母は戦争中に風船爆弾を作る軍需工場で働いていたこと、最近になって当時アメリカでピクニック中の民間人6人が爆弾に触って爆死していたことを知り、戦争中のこととはいえ、さらに空襲や原爆の被害を考えれば比較にならないものの、自分も殺人に関わっていたことで心を痛めていること、次の世代にどう伝えたら良いのだろうかといったことが書かれていました。

    さあ、戦争中の日本のことを見つめ直そう。アメリカで爆死した彼らのことを想像してみよう。具体的に知ることで、戦時下の暮らしが見えてきます。具体的に想像することで、どのような人たちだったのか、なぜピクニックに行くことになったのか、彼らの人生が見えてきます。そして、我々にも戦争に伴う悲しさ、人に対する信頼や不信感、戦時下における町の危険性について少しは分かってくるかもしれません。

    役者さんが一人何役もこなす手法、何か後世に残るものを作りたいという思い、戦争を取り上げたことなどから、井上ひさしさんへのオマージュだと感じました。

    娘時代の祖母の役を男がそのままやる発想には敬服しました。とさかをかぶったチャボを真面目にやった佐野陽一さんや、看護師や祖母のお母さんを演じた枝元萌さんの演技には目を見張るものがありました。

    ところで、男の会社は人材派遣業でした。確信犯的詐欺に遭ったと言っていましたが、ちょっとイメージが湧いてきません。確信犯的詐欺といえば、実態の無い会社が相手を信用させて商品を納入させ、その商品をだまし取るという取り込み詐欺を思い浮かべますが、これはメーカーや商社が引っかかるものです。人を派遣しても実態の無い会社なら仕事が無いわけで、ただ帰ってくるだけです。

    単なる取立て屋への言い訳とすれば、あのしたたかな取立て屋なら看破ってほしいところです。あえて言えば、資金繰りが厳しいだけでも十分です。

    後世に残る良い作品だけに、この部分はきっちりつじつまを合わせておいてほしいと思いました。
  • 満足度★★★★★

    良作に芸達者揃いで、見応えあり
    多忙で観に行けないかと思いつつ、どうしても早船作品は外せないと、無理して行った甲斐がありました。

    ハイリンドは初見でしたが、サスペンデッズの役者さんも含め、皆さん、驚く程芸達者ばかり。

    現代の日本と、戦時中の日本とアメリカ。時や場所が変わり、役者さん達も何役も兼ねながら、そのどの役にも命を吹き込んだ演技がお見事でした。

    何しろ、早船さんの作品には、他作家にはない独自性があり、きちんとご自身で生み出された作品を観る安心感が、観劇好きの心を芳醇に満たして下さいました。
    観劇できたことに、心から感謝します。

    ネタバレBOX

    冒頭の僅かな台詞のやりとりで、和彦と沙織の人間関係を観客に理解させる早船さんの作家としての力量にまず感服します。

    最初、取立屋として登場する伊藤総さんの言う、「会社を潰す経営者は、3つの内のどれかだ。馬鹿か、運が悪いか、馬鹿で運が悪いかの3つ…」という意味合いの台詞に、何て言い得て妙!と大納得。

    戦時中や、風船爆弾の犠牲者の場面は、内容的にはかなり、辛い部分なのに、こうした、センスあるアイロニーや構成の巧みさで、常にどこかで、笑えるのがまた早船作品のおつなところ。

    中でも、チャーボーが、頭のとさかを脱いで、瞬時に戦死した父に豹変するところなど、やり方次第で、はちゃめちゃな舞台になる危険性もあるのに、相当な演出力なのか、これがまた、この舞台の独自性を効果的に表出してお見事でした。鶏の所作の素晴らしい佐野さんの真摯な演技には感動さえしました。

    この舞台の素敵さを観ていない方に説明するのは難しいので、できれば、たくさんの方に体感して頂きたくなりました。

    欲を言えば、風船爆弾の被害者のアメリカの場面がもう少しだけ比重が少なくても良いのではという印象でした。
    和彦が祖母の手記を読み終えた後のオレゴン州の場面なので、観ている方としては、そろそろ終盤という意識がどうしても先行し、その割にはまだ終わらないのかとややですが、冗長に感じるところがあり、残念な気がしました。

    風船爆弾の製造シーン、実際の映像の前で、出演者が、ジェスチャーでのみ、演技をする演出が、とても秀逸で、一番目頭が熱くなりました。

    役者さんは、誰もが甲乙つけ難い、名演技、演じ分けでしたが、中でも、仕事にあぶれて神経をおかしくしている患者と、戦時中の青年と、アメリカのマセ餓鬼を、それぞれ、実にリアルに体現された伊原さんの役者力には脱帽でした。

    ハイリンドも、これからは、観たい劇団のひとつになりました。
  • 満足度★★★

    wikiで
    思わず風船爆弾のことを調べました。

    ネタバレBOX

    少し現代パートの意義が薄いかなと思いました。

    会社潰して借金抱えて離婚して
    元奥さんが子供連れて情勢不安な地域に行っちゃうって
    不幸をこれでもかってくらい抱えちゃう割に

    祖母の手記を読んだ前後で
    大きな人生観の変化とかあまりなくて…

    御都合主義的に「全部解決」と行かなくても
    わざわざそれだけの設定を背負わて
    戦時中の祖母の役までやらせるからには
    もう少し何かが欲しかったです。

    そうでなければ現代パートは
    単に危篤の祖母の手記を読むだけの
    語りべ程度でよかったです…

    戦時中のパートは良かったです。
    ちゃーぼーリアルでした(笑)
  • 満足度★★★

    みた
    いくつか早船作品を見たけれども、今回は染みてくるものが足りなかった。最後まで前のめりになれなかった。
    戦中の雰囲気を演出することに力が入り、物語の方はあまり深みが出せなかったように思う。肝心の風船爆弾も、他の何かに取り換えがきく要素に思った。

  • 満足度★★★★★

    文句なし
    あきることなくさいごまで見れました

  • 満足度★★★

    ぶっちゃけ楽しめました
    主題は「戦争」だった、ということであってるかな。
    丁寧に作ってありましたね。
    出来事は、いろいろ辛く苦しいことの連続なのに、
    明るく楽しめる作りになっておりました。
    ちょっと伝えたいことの主題が不透明な感じがしましたが、
    笑いが良かったので問題無しといえましょう。

    ネタバレBOX

    チャーボーが楽しかった。形態模写が見事でした。
    そんでチャーボー入りのカレーを食べる仕草が、本当に美味しそうでした。

    またチラシの不気味な顔のお面が見れてよかった(怖かったケド)

    くたびれた派遣会社の社長+お姉ちゃん+説教の下手な牧師さんと、
    衣装を変えるだけで演じきったトコロは上手かったです。

    それにしても、日本の母らしい方が、
    見事にオフクロサン演じられていましたね。

    全体として、らしさが上手に表現されていました。

    実際の風船爆弾とは、ホントにあんなものだったんですかねぇ。
  • 満足度★★★★★

    これはもう、舞台でしか味わえない感覚
    計算された、役者と登場人物の重ね方が物語に重層感と深みを与え、飛び越え方が独特のおかしさ(笑い)を含みつつも、丁寧に物語を形作る。

    ネタバレBOX

    時間軸を自由に移動する話(場所も含めて)は、よくあると言えばあるのだが、それだけでなく、性、種まで移動させる話はそうない。

    しかし、それが飛び道具的に使われているかと言えば、そうでもなく、それによっての面白さが醸し出されているのは確かなのだが、そうであることにより、物語の本質のようなものが丁寧に表現されていたように思える。

    特に、チャーボーと呼ばれるペットのニワトリが、勝良の父となって現れたときには、会場には笑いが起こったが、その時点ですでに海の底にある父であることがわかっただけに、反射神経的に笑っても、切なくて本当は笑いたくないシーンだったりする。
    また、観客として、これから死んでいくという結果を知りながら見る、アメリカの子どもたちのはしゃぎようや、牧師さんを揶揄する姿も、実は笑いながら切ないのだ。
    そんなシーンがとてもいい。

    そんな感じの「役の重ね方」がうまいと思った。単に少人数で何役もこなすということではなく、意図があっての重ね方なのだ。

    ペットというよりは、勝良の唯一の友人であるニワトリのチャーボーと、徴兵されて軍艦に乗せられた勝良の父と兄。チャーボーは出征する下宿人のために潰されて、父と兄はお国のために戦死する。そんな状況が重なる。

    壊れかけた夫婦の和彦と沙織、そして、ちょっとしたことから永遠に分かれてしまった親友のトキ子とハマ子、さらに夫を励ましつつ、非業の死を遂げてしまうジェーンとその夫アンディ、この3組の役をそれぞれ同じ役者が演じていくことで、時間だけでなく、世界の重なりまでも見えてくる。

    こういう深みがたまらない。

    和彦だけがトキ子を演じるときに、背広姿のまんまというのも、驚きつつも、うまいと唸る。祖母の自伝を追体験していることがわかるのだ。

    そして、最初のほうで、看護婦を男性が演じ、何回も出てくるところは、その後のトキ子の登場のための水慣らし(プールに入る前に身体を濡らすような)みたいな役割であったと気がついたときに「ああ、うまい」と思った。

    物語の軸になっている風船爆弾の話については、特に目新しいことはないものの、風船爆弾という兵器を通じて結ばれてしまった、市井の人たちの生活がそこにあった。

    声高にならずにじっくりと迫り、明るさもありつつ、美しい話となっていた。
    目頭が熱くなる場面も多々あった。
    人と人とのつながりがとても自然で美しいのだ。

    そして、この物語をわずか7名で演じきった役者たちに大きな拍手を送りたい。

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