グロリア 公演情報 ハイリンド×サスペンデッズ「グロリア」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    大絶賛!
    すんばらしい舞台だった。出演キャストは7人なのに、観終わったときに感じるのは「ええっ?!、こんなに少なかったの?」とびっくりする。つまり、場面場面の状況でのキャストらの演技があまりにも絶妙なので、その風景がしっかりと脳裏に焼きついているからだ。本当に素晴らしい!
    特に枝元萌の女学生、隆志の妹、ナンシー、シゲ子、看護師役ではコメディな部分も展開し、類を見ない演技力だった。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    病院に詰めている片山の祖母が生死を彷徨ってる状況下、片山の現在の仕事の情勢と元妻の沙織との今後の話し合いを描写する。片山は自分が立ち上げた「人材派遣会社」の仕事も破産寸前なのでイライラしている。一方で実家が裕福なためボランティアに勤しむ元妻。そんな折、祖母トキ子の「追跡!軍国乙女トキ子の青春」という記録をふとしたきっかけから読んだ片山は当時の1944年の出来事へとリンクする。

    そこはトキ子の当時の家族との風景、トキ子ら女子が「風船爆弾」を作っていた光景へと観客を誘う。特にトキ子の弟・勝良や母・シゲ子と間借りしていた杉浦との関係の綿密な演出が素敵だった。物資はないが人間の情が確立していた時代だ。友だちが居ない弱虫・勝良が可愛がっていたチャーボーとの友情な場面の表現、チャーボーを潰した後に泣きながらチキン入りのカレーを御代わりをしながら食する勝良のシーンは泣き笑いの場面だ。

    やがて、トキ子の父と兄が戦死した通知、その後の日本軍が飛ばした風船爆弾がオレゴン州の山中で1人の女性と5人の少年少女を殺した経緯をも描写し、現在と1944年の時間軸を交錯させながら魅せる暗転の仕方も絶妙だった。
    従来の戦争ものの物語の多くは暗く陰湿さが露呈してしまうが、これを避けて、なるべくカラッと明るくした描写も素敵だった。

    そうしてトキ子の書いた物語を読んだ前と後の片山の表情も見ものだと思う。1944年のトキ子を演じた多根周作の衣装は片山のスーツのままだったが、トキ子に見えてしまうカマ風味な演技力はやはり秀逸なのだろうとつくづく思う。

    素晴らしい公演を観ました。
    しっとりと流れる空気感と時折見せるコミカルな展開が好みだった舞台。

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    2010/10/21 18:33

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