“P”s (ピース) ~Wings to fly~ 公演情報 “P”s (ピース) ~Wings to fly~」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.2
1-10件 / 10件中
  • 満足度★★★★★

    熱い現代劇
    普段は時代劇が多い め組ですが、終戦後の昭和を描いたものに興味あって、当日になって予約をいれました。しかもそれもが最前列。

    戦争がおわった後に、戦犯として日本が侵略した各地で行われた軍事裁判で死刑を求刑され、その執行日までを描いた真摯なテーマでした。

    ステージもいたってシンプル、その分ひとりひとりの演技、言葉が胸に響いてきます。

    上演時間は2時間くらいですが、笑いなどない重い舞台でしたが、当時は全く身に覚えのない罪で戦犯としてこの世を去った人間も多かったのでしょう。

    あまりメディアや歴史の教科書には登場しないような「BC級戦犯」 の生き様、「生」への執着が目の前で展開され、息苦しいくらいの 熱いドラマでした。

    僕は戦争を肯定するのでも美化するつもりもありませんが、そこには、潔さと男の軍人としての"プライド" が まぶしいくらい精一杯生きた男を感じました。

    それは、め組お得意の武士道に通じるのかもしれませんが・・

    そしてひとりひとりが最愛の人に贈るラストメッセージ 、しかもそれはトイレ用の紙に書き記す「遺書」

    ラストでは堪えきれずにハンカチ出動でした。。

    サブタイトルの Wings to fly 自分がこの世を去ったあとに、鳥になって祖国に、愛する家族のもとに飛び立つんだ という意味があとでわかるときも (涙)です。

    だけどこれがお芝居で終演後はいつものようにキャスト全員がお見送り、ちょっと ほっとしました。

  • 満足度★★★★★

    史実を伝える意義は大きい!
    BC級死刑囚の怒り、諦めの心情が強く伝わってきました。

    若い教誨師の成長物語でもありました。

    ネタバレBOX

    嘆願書を出した二人の明暗は辛いですね。似ているだけで死刑とは、そして、一人だけ嘆願が認められたのも。

    最後に吸ったタバコですが、両切りのように見えたので終戦後まもなく発売されたピースかなと思いました。で、題名にも繋がっているのかなと思いましたが、箱の色は違っていたようです。

    最終的に遺書は持ち帰ることができたのでしょうか。没収されていたのかもしれません。それでも気持ちを落ち着かせる意味はあったし、遺族に伝えることはできますね。

    ところで、遺書を読み上げているときなどに映像で流れた銃後の女性たち、衣服はそれなりに戦中戦後を意識していたとは思いますが、しかも背景の壁に映しただけのよく見えない粗い画像でしたが、それでもなぜか今風の現代女性って感じを受けてしまいました。

    なぜだろう?肌が綺麗すぎるのかな。髪質もリングができるくらいにストレートで美しすぎるのかな。髪型もちょっと違うのかな。眉が細いのかな。セーラー服の素材・質感が良すぎるのかな。帯の締め方も当時と違うのかな。デートしたときの笑顔を交わした思い出の場面とはいえ、笑顔の質が違うのかな。現在の鉄柵が写り込んでいたからかな。

    言葉を聞くだけで銃後の女性たちの姿は想像できます。頭で描いたイメージと異なる女性が映ってがっかりでした。

    翼を持って故郷の山河に帰るということから、風景の映像はありかなとも思いましたが、いっそのこと映像なしで良いのではないかと思います。
  • 満足度★★★★

    素晴らしい!
    戦争の理不尽さを見事に表わしている。歴史は勝者によって語り継がれるものだというのがよくわかる。

  • 満足度★★★★★

    まさに求めていた作品
    「自衛隊は暴力装置」という官房長官の発言に非難が集中、北朝鮮が韓国を砲撃し、若い世代の間でも「国益優先・国防強化」の論議がかまびすしくなっている今、この作品に巡り合うことができて本当に嬉しかった。
    戦争の風化が言われて久しいけれど、パンフレットの合馬さんの挨拶文に胸打たれ、改めて演劇の力を感じた。
    「国を守り、戦争をする」ということはどういう状況を生むのか、私たちは改めて考察する必要があると思う。

    ネタバレBOX

    BC級戦犯として死刑を求刑された男たちの物語。
    戦場に出た彼らそれぞれの境遇と戦争に対する思いが浮き彫りにされていくなか、戦場では「個」が抹殺され、そのことに思いを馳せる状況にはなかったことが描かれる。
    彼らに付き添う教誨師、刑を免れた年若い兵・中沢、助命嘆願が叶って一人生き残ることになった陸軍大尉らの「重い生」にも作家の温かい目は注がれる。

    舞台には男優しか出ない。女優陣は「男たちにとって大切な存在の女性」として映像出演する。映し出される妻や恋人たちの美しいこと。罪もない彼女たちを幸せにはできない、それが戦争なのだということを噛み締めた。

    静かな芝居なので、ときどき鳴る携帯電話のバイブ音が非常に耳障りだった。特に芝居に夢中でずっと大泣きしている真後ろの女性客がなかなか鳴っている携帯を止めないのには腹が立った。
  • 満足度★★★

    Pには、いろいろな意味がありました。
    死刑を待つだけの空間内での群像劇。
    戦争は終ったのに戦勝国側に訴えられ・裁かれて・・、
    死という結末を押し付けられた者たちの、最期の日々が坦々と流れてゆく。
    静かながらも、訴えるモノが大きな芝居でした。

    ネタバレBOX

    最期の方の映像で、各人の家族などを映し出した演出は上手かった。
    実際に、ただ敵国人が憎いからと。
    憎しみのみぶつけられて理不尽な環境の中。
    悔しい思いしながら、過酷な状況下。
    諦めて死刑に甘んじた人たちも多かったのではなかろうか?
    などと考えさせられる劇でした。
    実話でしょうしね。
    <戦争って嫌ですね>
  • 満足度★★★★

    静かなる燃焼
    め組は時代劇しか観たことがなかったから、ある意味斬新。ワタクシは個人的に野村という役者が好きだ。だから必ずと言っていいほど、終演後にお声をかけるのだが、なんだか髪型が似合わねー。笑)・・ちょんまげの野村しか観てないからなのかも知れないけれど・・。ちょっとお話をしながらも、込み上げてくる笑を必死で隠してました。苦笑!

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    内容は殆ど説明にあるので感想のみ。

    本来なら戦争はない方がいい。しかし自国の経済を優位にしようとするならお互いの主張が拗れ摩擦が起こるのは当然で、これからも戦争は無くならないとも思う。

    誰もがこれこそが正義と考え、前に進むしかなかった時代の日本兵が戦犯死刑囚となってから死刑執行されるまでの期間を綴った物語。

    東南アジア某刑務所の中で未来のない6人は目の前にある死に対しての真の恐怖に怯えて自殺未遂を起こす者、自分の正義を訴える者、恐怖に抗いながら己の意思の力を見せつける者・・・とその流れ込む雰囲気を表現していたが、ここでは1名以外は皆、冷静なのだ。実際の戦犯死刑囚もあんな風に冷静だったのだろうか?死ぬという恐怖に対して・・。

    人が納得できない死を目前にしたとき、体内のあらゆる血管が拡張され破裂しそうな心臓から押し出された血液が体毛の一本一本を揺るがせながら全身を駆け巡るほど絶叫してもいいのではないか、人間の声とは思えない絶叫ー動物的な咆哮があってもいいのではないかと・・。

    命とはそれほどなのだ。

    しかし、ここに登場する元日本兵達は人生最後の一時を過ごしながら、あくまでも冷静に理論的に話す。まるで戦時中の教育や環境が彼らの感情をむしり取ってしまったように。けれど、実際の戦犯死刑囚たちは死の恐怖に耐えかねて放尿や放屁、脱糞や嘔吐くらいしたのではないかとも想像する。日本兵も人間なのだ。

    ここではこういった壮絶な描写があまりなく、喘ぎ声と嗚咽も無かったので、すこぅし不思議だったが、それは鉄仮面のような日本兵を表現するには必要な演出だったのだろうか?

    重監視下にある戦犯死刑囚達を臨時教誨師が励まし勇気づけながら、家族に手紙を書かせるシーンで感動し、また、手紙を送付する為に尽力した教誨師の努力にも感動した。

    顧みなかった家族や愛する人に「手紙」を書くことで自分の想いを告げ、同時に自分の中にあった後悔を消化させていった戦犯死刑囚らの胸の内を思うと悲しく切なかったが、「世界で一番美しい手紙」の内容はやはりこの物語のメインで泣かせどころだ。

    「愛している」その一言で人は生きていけるのだ。

    「貴女の上に降る雨はいつも俺です」という殺し文句は海を越えて妻の元に届き、戦友の命の友情は子から孫へ伝え、悠久の時を経て、また雨に戻る。

    祖国の為に戦った人を国は守ってくれない。という言葉もずしん!と心に響いた舞台だった。
  • 満足度★★★★★

    やっぱり 好きです!
    め組さんが描く、生き様が、好きです。それが、死に際と言う悲しい場面でも、残る人々への託す想いが、込められているので、立ち上がる事が、できる。歩いていかなければ、と思えました。母(戦争体験者)も、一緒に拝見させて頂きましたが、良かったと、申しております。ありがとうございました。

    ネタバレBOX

    終戦後の昭和22年夏、東南アジア某刑務所、通称”P”ホールには、元日本兵達が、BC級戦犯として、人生最後の一時を過ごしていた。
    彼らの着ている服の胸には、”P”の文字、Prisoner(囚人)、侵略戦争を達成する為に指揮をとったという罪、捕虜を虐待、死亡させた罪等、様々。
    お互いが、自分の正義を信じているから、戦争になる悲劇。
    それゆえの、致し方ない行動や誤解の罪で、BC級戦犯容疑として逮捕された者は、国内外で5万5千人とも、言われるが、遺書を書く事も許されなかった彼らの、実数は不明。

    勝者の敵国が許してくれる訳でもなく・収容所で無実を認められた者、運命を受け入れた者、無実を訴え嘆願書を出す者、それを潔くないと思う者、それぞれの無念と、日本に残した家族への思いが浮き彫りに、なってゆく。

    そんな思いだけでも、涙、涙に、なってしまった。

    ホールに新たに派遣された臨時誨師と、無実を認められた者が、戦犯たちの思いの<翼>となり、祖国日本へ届けようと動いていく。
    簡単に願いが叶うことではないが、思いが届く可能性が救いとなり、彼らの心も安らぎ、整理もついていった。

    だが、全てが叶うわけでもなく、ついに最後の晩餐の時を、迎える時がきてしまう。
    嘆願書を認められ、助かる者も出る。奇跡的な喜びであるが、それを喜びきれない者も、事実・中には、無実の者も・・・処刑されるのを、待たなければならない・・・そんな非情な事態が、戦争という現実。終戦とは名ばかりで、戦いはまだ、終わってなかった・・事を思い知らされ、涙、涙、

    それぞれの葛藤を、消すことはできないが、 <翼>になるという2人にPrisonerだけでない”P”を、託す。
    Peace(平和)、Promise(約束)、プレイヤー等、たくさんの想いが込められるのだが、なかでもプレイヤーの一言には、深い意味を感じた。
    作者の意図と違うかもしれないが、playは、遊ぶ、勝負、演奏、軽く動く等の意味があり、prayは、祈るである
    。日本の家族や未来の人々に、生きる為の戦いの中、生きる喜び、楽しみも見出し、生き続けることを祈ってくれた様にさえ、思えた。

    2度と起こしてはいけない戦争、忘れては、いけない事だ。。。

    シンプルな舞台と役者さんの力量が、この時代感を、良くだしていたと思う。カラー映像も、唯一の思い出と輝くのだが、やや長く感じた。が、合間さんの美しいお姿、初めて拝見できて、嬉しかったです。ぜひ、舞台でも、拝見したいと、思いました。

    公演時間だが、日曜は5時6時開演でも仕方ないと思うが、平日や土曜は19時30分開演が、希望です。山の手線外の劇場の時は尚更、その方が、より多くの動員が見込めると思うのは、私だけでしょうか?

  • 満足度★★★★

    硬質な芝居
    幕末ものに定評のあるめ組がBC級戦犯を扱った芝居を上演。ストーリーは完成度が高く申し分ない。ただカラー映像はシンプルな舞台にそぐわないのでは?女性像も観客の想像力に任せてよいのでは?映像ももっと昭和20年代っぽくないと。

  • 満足度★★★★

    殺陣はないけど、め組の芝居は・・・
    戦争ものを芝居は、場合によって戦争経験者等から反論を招くこともあり、その内容には大変気を使うものだが、本公演は戦争のネガティブな面には余り触れず、人間関係を舞台化したものだった。観る側にとって、粛々と展開されたストーリーは、これまでの殺陣で演じられた泥臭い、派手なシーンがなく物足りなさを若干感じたものの、戦争が背景にありながら、極めてスムースに受け入れることが出来た。(合馬さんの本は、良く書けていたと思う。) 戦争を美化してはいけないが、人間の結びつきを戦争というシーンを利用して上手く演じられており、観客の涙を誘うエンディングは、役者、芝居の完成度が高い表れだと思う。 

  • 満足度★★★

    初見でしたが
    全体的に落ち着いた雰囲気が多く、
    ちょっと内容がシンプルすぎるかなぁと思いました。
    でも映像を使っての演出は良かったです。

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