“P”s (ピース) ~Wings to fly~ 公演情報 劇団め組「“P”s (ピース) ~Wings to fly~」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    静かなる燃焼
    め組は時代劇しか観たことがなかったから、ある意味斬新。ワタクシは個人的に野村という役者が好きだ。だから必ずと言っていいほど、終演後にお声をかけるのだが、なんだか髪型が似合わねー。笑)・・ちょんまげの野村しか観てないからなのかも知れないけれど・・。ちょっとお話をしながらも、込み上げてくる笑を必死で隠してました。苦笑!

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    内容は殆ど説明にあるので感想のみ。

    本来なら戦争はない方がいい。しかし自国の経済を優位にしようとするならお互いの主張が拗れ摩擦が起こるのは当然で、これからも戦争は無くならないとも思う。

    誰もがこれこそが正義と考え、前に進むしかなかった時代の日本兵が戦犯死刑囚となってから死刑執行されるまでの期間を綴った物語。

    東南アジア某刑務所の中で未来のない6人は目の前にある死に対しての真の恐怖に怯えて自殺未遂を起こす者、自分の正義を訴える者、恐怖に抗いながら己の意思の力を見せつける者・・・とその流れ込む雰囲気を表現していたが、ここでは1名以外は皆、冷静なのだ。実際の戦犯死刑囚もあんな風に冷静だったのだろうか?死ぬという恐怖に対して・・。

    人が納得できない死を目前にしたとき、体内のあらゆる血管が拡張され破裂しそうな心臓から押し出された血液が体毛の一本一本を揺るがせながら全身を駆け巡るほど絶叫してもいいのではないか、人間の声とは思えない絶叫ー動物的な咆哮があってもいいのではないかと・・。

    命とはそれほどなのだ。

    しかし、ここに登場する元日本兵達は人生最後の一時を過ごしながら、あくまでも冷静に理論的に話す。まるで戦時中の教育や環境が彼らの感情をむしり取ってしまったように。けれど、実際の戦犯死刑囚たちは死の恐怖に耐えかねて放尿や放屁、脱糞や嘔吐くらいしたのではないかとも想像する。日本兵も人間なのだ。

    ここではこういった壮絶な描写があまりなく、喘ぎ声と嗚咽も無かったので、すこぅし不思議だったが、それは鉄仮面のような日本兵を表現するには必要な演出だったのだろうか?

    重監視下にある戦犯死刑囚達を臨時教誨師が励まし勇気づけながら、家族に手紙を書かせるシーンで感動し、また、手紙を送付する為に尽力した教誨師の努力にも感動した。

    顧みなかった家族や愛する人に「手紙」を書くことで自分の想いを告げ、同時に自分の中にあった後悔を消化させていった戦犯死刑囚らの胸の内を思うと悲しく切なかったが、「世界で一番美しい手紙」の内容はやはりこの物語のメインで泣かせどころだ。

    「愛している」その一言で人は生きていけるのだ。

    「貴女の上に降る雨はいつも俺です」という殺し文句は海を越えて妻の元に届き、戦友の命の友情は子から孫へ伝え、悠久の時を経て、また雨に戻る。

    祖国の為に戦った人を国は守ってくれない。という言葉もずしん!と心に響いた舞台だった。

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    2010/11/29 16:22

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