アイツは世界を変えるらしい 公演情報 アイツは世界を変えるらしい」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.2
1-10件 / 10件中
  • 満足度★★★

    変わったのだろうか
    静に話が展開していく。でもタイトルは何を意味しているのか。それがわからなかった。サスペンスとしてはうまく出来ているが、十分に咀嚼できなかった

  • 満足度★★★★

    想像力を掻き立てる
    本筋と絡まる別エピソードに思わせ振りな演技・セリフををつっこんで観客に考えさせ、あえて説明しない落語の考え落ちな脚本は自分は好きです。
    観る人がそれぞれが微妙に違う感覚を持っていて、当然の如く自身で導いた答えは千差万別、答え合わせをしないことを「不親切」「わかり難い」と言ってしまえばそれまでなんですけども、自分は投げっぱなし感が心地良かったですね。まあ、主人公が関わる冤罪事件は一応の解決をみせているわけですし。

    ただ、それぞれの人物描写が薄く、その辺りに演出の工夫が欲しかったかなと思います。

  • 満足度★★★

    こいつが…こいつも…。
    こういうことって報道にかかわると、
    事件の大小にかかわらず可能性があるのかも。
    “ 学生時代の友達(元恋人)が事件の容疑者に。
    それでも僕は「編集」しなければならない ”…と。

    小さな街のおとぎばなし、、とあったので
    ファンタジーかと思っていましたが、
    サスペンス性の強い社会派ドラマといった趣。

    前半は申し訳ないのですが少しつらかった
    (ごめんなさい眠気が…)。
    話の流れはわかりやすいのですが、
    ラストにつながる伏線となる部分はもう少し丁寧に
    描かれていたらもっと楽しめたかも。
    唐突なところがいくつか…。

    後半からラストの意外性はなかなかでした。
    こいつが…こいつも…と。
    ラストの演出とても良かった。

    電車の音の使い方、照明も効果的でした。

    欲を言えば、もう少しリアリティが
    台詞、演技、衣装、小道具から感じられたらより良かった。

    ちょっとしたことですが、当日パンフに写真が
    付いているのは役者さんを憶えられるのでうれしい。

    次回はどんなものを見せてもらえるのか楽しみ。

    ネタバレBOX

    ストーリーはみなさんが詳しく書いていらっしゃるので割愛。

    オープニング、編集者 金山(坂本真太郎さん)と学生時代の友達 矢田(大平桃子さん)の踏切の別れの回想シーンは始まりを予感させてワクワク。矢田は1億円横領の犯人なのか?

    制作会社(テレビ?)、喫茶店、市長室…前半ほとんどが会話でみせて進めていくのに、うまくかみ合っていない感じが、間も悪く、テンポもいまいちに思える部分がいくつか。(ごめんなさい眠気が…)。

    前半、AD堀田(宮尾政成さん)は、うわっついて自己主張する
    ADらしさ(こんな奴よくいる)が結構よかったかな。
    でも会話のやりとりでは役柄だとしてももう少しかみ合ってほしい。

    失語症の元戦場カメラマン砂田橋(益岡幸弘さん)が携帯で文字を打って見せるのはわかりやすかった。

    売れっ子アナウンサー大曽根(平山紗奈さん)はかわいかったけれど
    衣装をもっとそれらしくしたらよりいいのに。

    市長室…秘書本山(望月智和さん 劇団LYM)のハイテンションのかんじ…キャラ立ちした個性的な役は好きな方なのですが、ウケてる人も
    いらっしゃいましたが、いまいちのれなかった。
    市長東別院(小野寺駿策さん)とのやりとりが絶妙に決まっていたら
    もっとおもしろかったはず。
    市長も威厳が…スーツが体にあってたらもっとよかったかも。

    なんだかんだで、取材中に偶然とれた市長の会話で
    “ 学生時代の友達(元恋人)”が犯人ではなく市長が容疑者に。
    海外でしかたなく子供の人身売買うんぬん、、、、
    (臓器を採って売るためか??)をバラスと脅されていたから
    1億円横領は自分とあっさり告白。あっさりすぎる。

    さらに通り魔的に喫茶店の愛想のないウェイトレス日比野(小泉美果さん)になぜか市長室で市長が刺される。ちょっと唐突かな。再犯の通り魔的だとしても。簡単に入りすぎる気が。警備はいないのかな…ココは。

    プロデューサー茶屋ヶ坂(高山五月さん 真空劇団)が市長と高校の先輩後輩の関係だと何度か言っていましたが、市長が死んだ事を彼の喪服で表していたのかな。

    日比野に近づき、失語症は演技だった元戦場カメラマン砂田橋(益岡幸弘さん)が仲間に誘う。黒幕はカメラマン砂田橋だったとは。
    映像を利用しいくらでもお金は入ると…。

    編集者 金山(坂本真太郎さん)と学生時代の友達 矢田(大平桃子さん)の踏切の別れの回想シーンは何度もでてきてだんだん変化していく。友人から…元恋人。容疑者のうたがいは消えた。

    ラスト、暗闇の中で携帯の黄緑の光のみで…秘書本山(望月智和さん)が市長の死を悦び悪そうな笑みを浮かべて話しているシーンの演出とても好きです。1番良かった。

    いろいろ書かせていただきました。もっと良くなる気がして。

    そうそう、脚本・演出の鳥越永士郎さんは20才なのですね。
    どんどん新作みせてください!楽しみにしています。
  • 満足度★★★★

    change the world
    千秋楽を拝見しました
    初けったですが面白かったです
    話の流れが分かりやすく「こいつ何がしたいんだろう」というイライラモヤモヤはなく観られました

    ちょっと会場が寒かったのと鉛筆は公演後に配るんじゃなくアンケートとセットにしてほしいなとは思いましたが

    ネタバレBOX

    「記憶の改竄」てのが弱かったです
    本編で散々強調された「記録の捏造」と並んでいたにしては

    何度か形を変えた主人公と彼女の踏み切りのシーンがそれなんだろうけど…
    てっきり二つの事件に絡んでくるかと期待していたのですが

    通り魔の女の子についてはもっと深く掘り下げて欲しかったですね
    市長のいう「私が市長になることを快く思わない人物」であるのかそれともただ人を殺したいだけの人物なのか(普通に「殺しますよ?」なんて言えちゃうあたりなんとも…)
    どちらなんでしょう

    あとは細かいところがね
    仕方ない人身売買ってオイオイいくらなんでも
    犯罪どころじゃないですよ…
  • 満足度★★★

    マンガっぽい?
    うーん、なんだかマンガっぽい芝居でした。

    ネタバレBOX

    子供の頃に読んだマンガって、子供心にすごく楽しかったんですよ。けれど大人になって読み返してみるとあまりに設定に無理があってですね、なんだか冷めちゃうわけですよ。銃刀法無視して普通に銃を持っている人がいたりだとか、少年の探偵に頼っちゃう警察がいたりだとか・・・。そういうのって現実社会ではありえないんですよね、ある程度。

    まぁ、これはコメディーです。なんでもありです。って話ならいいんですけどね、今回みたいな内容になるともう少しディテールにこだわって欲しいというかなんというか・・・。

    正直、ちょっと難しいことやってるんです僕ら、ってのが見えちゃって少しだけしらっとしました。主役の彼がわざわざメガネかけてきたのも、メガネ好きな女子にアピールする為なんだろうなぁと、そうじゃないのかもしれないけれど、なんだかそんなのが見えてしまって、なんだかなぁ・・・といったところでした。

    ところで人の名前はみんな名古屋にある駅名からとってるんですかね?ちなみに自分、黒川駅の近くが実家です。地下鉄の駅名と、JRの駅名が混同しているようですが、特に意味はないんだろうなぁ・・・。
  • 満足度★★

    意外性はありましたが、
    もっと面白くできるのではないかと思いました。

    ネタバレBOX

    主人公のディレクターの元恋人が横領容疑で逮捕されるが、ディレクターと友人たちは無罪を信じる。公務員の不正を正すと主張して当選した市長に取材に行った際、偶然市長と脅迫者の通話内容が録音され、市長が横領していたことが判明する。ディレクターは市長秘書に伝え、秘書が市長にに問い詰めると、過去の買春についてのビデオが送り付けられ脅迫されたため横領したことを告白し、辞職する旨を告げる。市長が一人になったところへ通り魔が現れ市長を刺殺する。ディレクターの仲間であるカメラマンがその現場を撮影していた。カメラマンは通り魔に、自分と組んで世界を変えていこうと誘う。元恋人は無罪が明らかになり釈放される。

    プロデューサーと市長が高校の先輩後輩であることを強調していました。脅迫犯の可能性をほのめかしていたのでしょうがそれ以上膨らまず、やるんだったらもう少し過去の関係を示す必要があったのではないでしょうか。

    市長の白状もあっさりし過ぎ、核心場面にも拘わらず盛り上がりません。そもそも横領しておいて立候補なんかするかー?!

    市長室に部外者が簡単に入れることも不思議でした。

    数年前にも通り魔事件が起きていて同一犯のようだと言いながら、結局その後は関連性について一切触れずじまいでした。

    ディレクターと元恋人が踏切脇で別れるシーンが何度かありました。ディレクターの成長は感じられましたが、そんなに何度もやることか、最初と最後だけで十分だと思いました。

    市長のズボンのホックがキチンとはまってなかったような感じでした。同じく、ズボンの左前のポケットに紙が入っていて目立っていました。

    全体として消化不良感は拭えませんでした。
  • 満足度★★

    全力を出し切れていない気がした
    シンプルな舞台での、会話中心のサスペンスなのですが。
    各キャラクター、楽しく上手に性格作られているのに。
    なぜか表面をなぞるだけの印象が否めなかった。
    (中途何度か、軽い眠気が起きたし・・。)
    そこそこ美味しい鰻丼に、山椒が付いていなかった感じがしました。

    ネタバレBOX

    市長用のでかいテーブルの箱は、無駄な気がした。
    椅子代わりの白い箱も4つ移動もせず利用していたが、
    6個位に増やして、各場面ごとに移動すればよかった気がする。

    BGMというか効果音での列車の音は、なかなか良かったのに。
    なぜに暗転時などに有効利用しなかったのか?

    一番気になったの衣装です!
    舞台装置簡略化してる分、凝ったり変化付けるべきだと思います。
    看板女子アナが、ズーッと同じ服って変じゃない?

    市長の部屋の時は、何も小道具置かなくてもいいけど。
    居酒屋や、編集室内はTVのリモコンとか、
    皿やグラスなど持ち込んだ方が良かったと思う。

    ADくん、キャラは良かった。
    だんだん仕事に慣れてきたところを観客にアピールする為に、
    外回りでは、笛とかハンディカム持たせたり。
    現場では腰のベルトにカラーテープとガムテープつけたりと。
    衣装や小道具のリアリティの追求が足りなく思えた。

    物語はサスペンス調で良かったけど、
    伏線少ないし、人物へのスポットが小さく感情移入しづらかった。

    つぶやき市長に、ハイテンション秘書。
    2重人格アナに、朴訥主人公と、キャラ良くく立っていた分惜しく思えました。

    芝居を熱くする、たぎりが小さく感じました。
    バクマンのシュージンとサイコーを見習って欲しく思ったです。

    煮詰めと強弱が今後の課題ではないでしょうか

    ラストのケータイ使った復讐シーンの演出は上手でした

  • 満足度★★★★

    楽しめる社会派サスペンス
    「小さな街のおとぎばなし」というより、社会派サスペンスとしてなかなか楽しめました。真相がすべて明らかにならずに終わるのですが、謎は謎として肝心な部分はもう少し丁寧に描いてほしかったという気がします。サスペンスでも、伏線を重ねるよりも会話を中心に人物に注目させながら淡々と進行する点で小劇場に適したお芝居だと思いました。
    この脚本家の一番良いと思う点は、日本語がきちんとしていて、言葉を丁寧に扱っていること。サラッと流す会話でも、それがきちんと守られている点に好感が持て、最近の小劇場芝居では稀少だと思います。
    役名に名古屋方面の地名がさりげなく使われていました。
    パンフに顔写真が載っているのも親切。次回作、次々回作まで公演予定が載っていて、なみなみならぬ意欲を感じました。書きたいこと、やりたいことがたくさんあるのでしょう。
    自分の気持ちの中ではいま一歩、☆3.5という感じで大変迷ったのですが、今後への期待と“敢闘賞”という思いを込めて☆4つとさせていただきました。

    ネタバレBOX

    TV局のADをしている主人公金山(坂本真太郎)には同級生の元カノ・矢田(大平桃子)に対する自分の過去の心のわだかまりがあり、番組VTRの編集のように記憶まで「編集」しようとしていた。それを小さな“改竄”とすれば、大きな“改竄”は市長を巡る一連の事件かもしれない。金山の心象風景として、踏切での彼女との別れ際のやりとりの場面が再三繰り返される。学生演劇を含め小劇場系の芝居に最近よく見られる手法のようだが効果的に感じる例が少なく、自分はどうもなじめない。映像ならさほど気にならないが、演劇はやはり俳優により生身の会話がなされるから場面として注目する分、印象が強すぎてくどく感じるのかもしれない。
    元戦場カメラマンとして働き、現在は言葉がしゃべれなくなっているというTV局カメラマン(益岡幸弘)、復興支援を行うNPO団体の代表を経て市長に当選した東別院(小野寺駿策)、その秘書・本山(望月智和)、市長を刺殺する日比野(小泉美果)、彼らの背景をもう少し描いてほしかった。通り魔事件も真犯人は別にいるのか、すべて日比野の仕業なのかがよくわからない。市長がTV局ディレクターの茶屋ヶ坂(高山五月)と高校で同窓だったことも、会話に匂わせるので何らかの意味があるのかと思ったら、舞台上では関係なかったようで、伏線と紛らわしい描写は省いたほうがいい。
    俳優は個々に力演しているが、技量の差もあるためか演技のキャッチボールがうまくできずに会話のリズムが崩れてしまうところもあり、この辺は演出の力でもう少し何とかなったのではないかと思う。
    市長と秘書の会話は、ハイテンションな秘書と冷静な市長のつぶやきの対比がコントのようで面白い。望月は、若い頃のとんねるず・石橋貴明を思わせる熱演で、終盤への含みもあるのだろうがオーバーアクションぶりが少々鼻についた。いくらハイテンションでも、相手の演技を受けるときはしっかり受けないとひとりよがりの芝居になってしまう。小野寺は「間」がうまく、とても面白いのだが、望月の演技がうわずりすぎて、息が合わない。合っていれば、もっと面白かったはず。
    チャランポランで調子のいいディレクター役の高山も、こういう人物にありがちなわざとらしいしゃべりかただとは理解できるものの、台詞を言う前に妙な「間」があくので、いかにもこれから演技するぞ、というふうに見えてしまう。
    ファミレスでの同級生3人の会話も、大曽根役の平山紗奈が演技的にいいリードを見せていたが、黒川(平田将希)のテンポがずれるので、本来ならクスッと笑えるところが笑えなかったりする。
    金山を演じた坂本はなかなかの美男で、演技経験は浅そうに見えたが、いい演出家にしごかれたら今後良くなりそう。新人AD堀田の宮尾政成は自然な演技がいい。しかし、TV局での茶屋ヶ坂、金山、堀田の3人の会話となると、会話のリズムがうまくかみ合っていかず、スカスカに感じてしまう。
    無愛想な日比野役の小泉はパンツスタイルの歩き方が美しくない。見られる立場の舞台女優としては気をつけてほしい。
    カメラマン役の益岡は、口がきけない間の演技がいい。本性を見せて言葉を発する寸前の「間」がよくないため、切り替わりが鈍るのが残念だ。
    「間」は「魔」に通ず、とは芝居の世界ではよく言われるが、今回、つくづくその「間」の大切さを痛感した芝居だった。




  • 満足度★★★★

    知りたい
    筋的には、もっと真相を知りたい。腹6分目くらいでレストランを出てしまったような感じ。

    シンプル極まりないセットだったが、市長室やTV局のオフィス、町の通り、喫茶店など、いろいろな場所に見えてくるから不思議。

    ネタバレBOX

    ディレクターと市長はやっぱり先輩後輩の関係だったのか?
    市長と市長を刺した女の子の関係は?
    刺した理由は?
    刺した女の子は逮捕されないのか?
    通り魔は誰だったのか?
    カメラマンの野望はそれからどうなる?
    今までに重ねた悪事は?
  • 満足度★★★

    闇に沈殿する謎。
    あのひとはイイひとそうに見えるけれどあぁいうひとに限って裏では恐ろしいことを策略しているのではないか、と頭のなかで勝手に悪いひとに仕立て上げるあの無邪気な悪意にも似た感覚が延々と続いていくようで、なんとなく後ろめたさを覚えました。
    物語は現実と地続きのようなことが起こるのですが、事の真相に迫ることにあえてウェイトを置かずに謎として残しておくことを意識しているようにおもえました。
    一見、どこにでもいそうな普通のひとびとも、どことなく本心がすっぽりと抜け落ちている感じがなんだかとても不気味でした。
    全体的にスローペースで話はすすみますが独特の照明の使い方が不思議な間合いを生み出していました。

    ネタバレBOX

    NPO団体・創造開発都市の一億円を着服した女が逮捕された。
    逮捕されたのは、TV局でADの仕事をしている金山の大学時代の元恋人・アユミ。
    彼女は無実でありながら、犯人に仕立て上げられてしまった。

    アユミのニュースを報道しているTV局につとめる金山はそのことに気が気ではなかったものの、大学の卒業を目前に控えたある日、踏切前で彼女にフラれた記憶を糧にして、仕事と割り切り、連日連夜彼女のニュース映像を編集していた。
    しかし彼女への後ろめたさや罪悪感にさいなまれ、あの時彼女は別れを切り出さなかったと自分に嘘をつき、彼女の無実を証明するために、奔走…。

    そして真犯人は現市長の東別院だと判明した。
    彼は元々、創造開発都市事業部の局長で、発展途上国に趣き人道的支援を行っていたが実績をあげるために人身売買まがいのことすら行っていた。
    やがて政界に乗り出した彼は各報道機関に巨額の賄賂を用意し、印象操作を行った結果見事に当選。

    そんな政治と報道の癒着の実態が明らかになるのが先の事件。
    これに関連する事柄が、5年前から操作の及ぶとある通り魔事件。
    その真犯人は、金山と同じサークル仲間だった同級生・黒川のバイト先の先輩・日比野で、彼女は強い殺意を持って東別院を殺害する。

    彼女が殺意に駆り立てる動機や、東別院or秘書の本山との関係性がイマイチ見えにくかったのでその行動は突拍子ない感じに見えないこともなかったが・・・、
    そんな彼女のことを買い、商談を持ちかける聾唖のフリをしていたカメラマンの砂田。
    東別院の秘書であった本山は、市長の死をほくそ笑み、次期市長の座につく自身を想像し、より一層笑みがこぼれた。

    あらすじ書きからファンタジー色の強い作品を想像していましたので、現実的にありそうな社会派ドラマだったのは意外でした。

    白いテーブルに椅子が4脚という抽象的で簡素な舞台美術ながら、シーンごとに登場人物たちが立ち会う場所が異なる演出が巧みで引き込まれました。

    ひとつひとつのエピソードもよく練られていて引きつけられるのですが
    重要なエピソードが終盤に固まり過ぎているようにおもわれたのが勿体なかったです。
    全体的に情報を分散するだけで印象が変わってくるとおもいますし、時系列を乱していく構成にすると、『おとぎ話』っぽさがもうすこし出るような気がします。

    踏切前が世界を変える方法を象徴とする場所で、都合の悪いことは「なかったこと」に電車の音に紛れて記憶をかき消す着想や、群青色とぼんやりと浮かぶピンスポットを交差する幻想的な照明はとてもすてきでした。

    役者さんの演技と、キャラクター演出も総じてよかったとおもいます。特に印象に残ったのは、聾唖のフリをしているカメラマン役の益岡幸弘さん、自分を期待の新人と言い切る新人AD役の宮尾政成さん、ハイテンションで暴走気味な秘書役の望月智和(劇団LYM)さん。
    こういうひとは普通にいそう、な領域からほんの少しだけ抜け出す、さじ加減が絶妙でした。

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