実演鑑賞
満足度★★★★
注目のほろびてだが、漸く二度目になる今作は映像で鑑賞した。現代社会の矛盾が無言の内に噴き出す様を情景化した舞台。コンクリの床と正面奥の瓦解したコンクリ壁の残骸は物理的な破壊を表し、人物によって描かれる諸相はその背後の、荒涼たる人間の心の風景。両者の関係への考察が本作の原点である事が想像される。演劇が、芸術が掬い取る使命の核心を扱っている、というのが私の感想。
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2023/01/28 (土) 13:00
初見のユニット。分かりやすい芝居をしてるのに難解。(5分押し)133分。
丁寧にいくつかのエピソードを紡ぎ、役者陣もしっかりと演じているのだが、言いたいことが伝わらないもどかしさ。タイトルは "a denial" だとか。
実演鑑賞
満足度★★★★
学生劇団出身らしい都会風な現代青春後期劇である。作者は四十歳半ば、劇団員もおおむねそのあたりで固めている。
青春劇だからそれぞれのタイプを対立させて描いていくが、軍に入って世を正したいという青年がかなり丁寧に追われているのは珍しい。それに対するのは女性の美容師。仲間にアジア人の日本在住35年の整体師。口は立つのにあっさり騙されて妊娠して捨てられる女性、彼女の元を離れられない意気地のない肥満男、食肉生産工場で神経を病む中年の男、浮浪者取り締まりを請け負う男、などが登場する。個々の話も人物もうまいが類型的だ。
エピソードを重ねていく手法で、話の運びは抽象劇と日常会話劇を混ぜた調子で、それはそれで良く纏まっていて、飽きないで見られるが、見ているうちに80年代に流行ったにぎやかな小劇場のいくつかを思い出した.あれはもういいとなったはずじゃなかったのか。
ひねり玉のつもりかもしれないが小洒落ているが力がない。引きこもりの右翼青年なんか面白いのに、説明が先に立つ。せっかく切り込めるところなのに尻すぼみ。思い切って突っ込むところがない。
この調子では、現代リアルの若い加藤拓也に、内容だけでなく技術的にもかなわない。「ほろびて」なんて縁起の悪い劇団名だ、と言われないように生き生きした劇世界を表現してほしい。
実演鑑賞
満足度★★★★★
#鈴木将一朗 #伊東沙保
#内田健司 #生越千晴
#中澤陽 #吉岡あきこ
(敬称略)初日。
フライヤーのポップさとは、もしかすると真逆で、重厚なメッセージを持つ作品。
暴力、まして暗殺やテロなど認めることなどできない。国の元トップに向けられた暴挙の理由が宗教団体への遺恨で、いまソコへ締め付けや介入が行われようとしているが、それは何だか暴漢の狙い通りになっている気がして違和感を感じてしまう。もちろん、良くないことや、良くない人と団体には改善してもらう必要はあるに決まっているけれど。収監された男の願いを叶えさせてしまっているようで腑に落ちない。
ただ、いつかあのようなことが起こる気がしていた。かの大戦を経て、この国が過ちから学び歩み歩もうとしてきた専守防衛を蔑ろにし、憲法の解釈を捻じ曲げ、集団的自衛権の行使を容認する暴挙に対しての怒りと憤りは拭えない。その上、利権を隠すために財務省の公文書や自衛隊の日報の改竄が行われたにも関わらず責任も取らない。国のトップが憲法に違反して、それを隠すために嘘をついて、それに加担させられた人が責任を感じて命を絶ってもシラを切り通す。その姿から、この国の子どもたちは何を学ぶのだろう。
話が飛躍してしまったが、ずっと胸の内にモヤモヤとしていることがムクムクと湧き上がりグルグルと廻った。
加えて、あの日のNY、WTCの様子をテレビで観ていた時のことが蘇る。世界にあるさまざまな文化や思想、世界に生きるさまざまな人たち、それを考えずにワガママを言う大国のジャイアンに媚びへつらうこの国の政治と政治家についての憤りを仕舞い込んだ禁断の玉手箱に手を伸ばしてしまった。そんなことを考えていては毎日の生活が成り立たなくなるから、考えないようにしていたけれど、130分の間は玉手箱の煙を浴びて、天から降ってくるオフィスからの悲しみに飲み込まれた。
キャストが皆さん素敵。
大好きな生越さんは憂いを纏い、その痛みに感情を揺さぶられる。
印象的だったのは中澤陽さんの激情。演出されているスペースノットブランクの作品は幾つも観ているけれど、演技を観るのは初めて。好きだったなぁ。
公演中止の報が飛び交う年始、素晴らしい観劇体験ができた。
これはリピート。
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舞台『あでな//いある』(ほろびて) SNS社会で人が飛びつくもの。 「結論は?」「悪人は誰?」「泣ける部分は?」 ……遠い国、見知らぬ環境にも、自分の手元と同じ営みがある。全世界とつながりながら、それを“見ない”ほうが簡単だ… https://t.co/QaLK1F2tiH
2年弱前
昼間見た「ほろびて」の公演『あでな//いある』(https://t.co/MAdmLjl5Pt)も補足で。タイトルは「a denial」。心理学用語だと「否認」で「受け入れ難い状況を認めようとしない防衛機制」を描いてて、「否認」の… https://t.co/b43Jbhl7Ua
2年弱前
細川洋平さんのユニット「ほろびて」公演「あでな/いある」みました。平日昼だが満席で喜ばしい。内容もほろびてらしく、小さく初めて抜き差しならない大きなテーマに引きずり込む感じで、いろんな「否認」について考えさせられました。週末までな… https://t.co/M2dxE0SlnR
2年弱前
昨日はほろびて@_horobite 「あでな//いある」をこまばアゴラ劇場にて観てきました🎊 とても良かったです…!!色んな人とこの作品の話がしたいなぁ、と思いました。公演は今週末29日までで、まだチケットがとれる日程もあるような… https://t.co/ZgwUbpEyWv
2年弱前
🌏🐦✈️🧳💠 ほろびて @horobite 『あでな//いある』 21日からです。細川さんの世界をとてもかっこいい俳優の皆さんと無事お届けしたいです。稽古ひび頑張っております。頑張ります。 観てもらえたら嬉しいです。チケットうけた… https://t.co/km1Ld8npEw
2年弱前