実演鑑賞
満足度★★★★★
#鈴木将一朗 #伊東沙保
#内田健司 #生越千晴
#中澤陽 #吉岡あきこ
(敬称略)初日。
フライヤーのポップさとは、もしかすると真逆で、重厚なメッセージを持つ作品。
暴力、まして暗殺やテロなど認めることなどできない。国の元トップに向けられた暴挙の理由が宗教団体への遺恨で、いまソコへ締め付けや介入が行われようとしているが、それは何だか暴漢の狙い通りになっている気がして違和感を感じてしまう。もちろん、良くないことや、良くない人と団体には改善してもらう必要はあるに決まっているけれど。収監された男の願いを叶えさせてしまっているようで腑に落ちない。
ただ、いつかあのようなことが起こる気がしていた。かの大戦を経て、この国が過ちから学び歩み歩もうとしてきた専守防衛を蔑ろにし、憲法の解釈を捻じ曲げ、集団的自衛権の行使を容認する暴挙に対しての怒りと憤りは拭えない。その上、利権を隠すために財務省の公文書や自衛隊の日報の改竄が行われたにも関わらず責任も取らない。国のトップが憲法に違反して、それを隠すために嘘をついて、それに加担させられた人が責任を感じて命を絶ってもシラを切り通す。その姿から、この国の子どもたちは何を学ぶのだろう。
話が飛躍してしまったが、ずっと胸の内にモヤモヤとしていることがムクムクと湧き上がりグルグルと廻った。
加えて、あの日のNY、WTCの様子をテレビで観ていた時のことが蘇る。世界にあるさまざまな文化や思想、世界に生きるさまざまな人たち、それを考えずにワガママを言う大国のジャイアンに媚びへつらうこの国の政治と政治家についての憤りを仕舞い込んだ禁断の玉手箱に手を伸ばしてしまった。そんなことを考えていては毎日の生活が成り立たなくなるから、考えないようにしていたけれど、130分の間は玉手箱の煙を浴びて、天から降ってくるオフィスからの悲しみに飲み込まれた。
キャストが皆さん素敵。
大好きな生越さんは憂いを纏い、その痛みに感情を揺さぶられる。
印象的だったのは中澤陽さんの激情。演出されているスペースノットブランクの作品は幾つも観ているけれど、演技を観るのは初めて。好きだったなぁ。
公演中止の報が飛び交う年始、素晴らしい観劇体験ができた。
これはリピート。