二人の人生
役者の動きで広い劇空間を埋めていることに好感。テンポ良く話が進んでいき、太宰と作家の重なりは確かに見えてくるのだけども、どうしても端役の印象が薄かったような覚えがある。見方が悪かったのかもしれないが、いまいち人間関係の全てを把握できなかった。
そしてやはり上演時間の長さは気になる。話が「続いている」感じがしてしまい、先の展開にめちゃくちゃ興味が湧いてくるわけではなかった。でもこれはこれで一つの作風で、僕なんかがケチをつける権利は全くないので、あくまでも個人的な感想です。
満足度★★★★
オーソドックスな演出で劇世界を深く豊かに、そして遠くへ
太宰治作品やその登場人物、太宰自身と彼の周囲の人々のエピソードと平行して、ブルドッキング・ヘッドロックという劇団の成り立ちや内部事情、たとえば脚本家(喜安浩平さん)の脚本執筆が遅いことや劇団員の生活が厳しいことなどを、暴露するように見せていきます。
私小説を書いた太宰と劇団史(部分的に私戯曲)を書く喜安さんが重なり、太宰作品および太宰の人生と現代の若者の群像劇が相似していく脚本がとんでもなく面白いです。
台を山車のように、壁を障子のようにスライドさせ、動画や文字映像を壁に映すなどして多くの場所、時代へとすいすい場面転換していきます。装置による演劇的演出がとても巧みです。今では見慣れた、もしかすると少し古さも感じる演出方法かもしれません。でも太宰を見る私、私を見る太宰、その双方を見つめる私(観客)という多層空間が力強く立ち上がっており、オーソドックスな手法から生まれるマジックを再確認できました。
しかし、いかんせん全体的に役者さんの演技は上手いわけではなく・・・作品として拝見する体勢を整えるまでに長い時間がかかってしまいました。
男子高校生役を演じた時の津留崎夏子さんの、思い切った振り切れっぷりには見入りました。津留崎さんのことは他劇団の公演でもよく拝見していましたが、違った面を見せていただけました。
制作面についてはロビーでの物販が充実しており、10周年記念のTシャツの色が豊富で、思わず物色してしまいました(笑)。DVDだけでなくサウンドトラックも作ってらっしゃるんですね。
総勢17人という劇団体制は、今の小劇場の状況から考えると大所帯だ言っていいと思います。大人数のマンパワーを今後も大いに見せつけていっていただけたらと思います。
満足度★★★
映像トラブルが残念
過剰とか無駄とか言われかねないほどの、様々な要素を詰め込み、それを終盤に向かいぎゅっとまとめていくところなど、ケラさんの影響を感じますが、とてもそれを上手く消化しているように思いました。ただし、観劇した回が映像機器のトラブルがあり、オープニング映像からきちんと出ていなかったようです。途中で、これ以上は難しいと判断した演出家が出てきて中断し、映像機器を調整して再開しましたが、やはり本調子には戻らなかったようでした。
映像がある種重要な役割を果たしていたと、他の回を観劇した方から聞いただけに、その点はちょっと残念でした。
以降の公演への振替招待もアナウンスされましたが、三鷹という距離の問題と、スケジュールの問題でそれも出来ず。ブルドッキングヘッドロック本来のポテンシャルを測り切れず、ちょっと残念。
満足度★★★
みた
舞台装置の使い方が、ああなんかすごいって思った。
いつのまにか、変わってる。
話はいい意味で馬鹿で、でもけっこうくどいところもあって、残り10分のところでうとうとしてしまった。
雨の日は体力を奪われるわね。
満足度★★★★
観客を楽しませるすべを知っている
ブルドッキングヘッドロック、初見です。上演時間が2時間以上と聞いて「でも星のホールは座席がよいから・・・」と思って行ったら、中の様子はいつもとは違い、小劇場っぽくパイプ椅子が並べられていた。配慮で薄いクッションが3枚ほど重ねられていたが、時間が経つと、滑ってふわふわ浮き上がってくる。うーん(笑)。しかし、お芝居のほうはすこぶる面白かった。
太宰のイメージを壊すことなく、独自カラーを打ち出している、なんて月並みな表現が自分でも腹立たしくなるほど、このお芝居の素晴らしさをうまく表現できないのがもどかしい。
喜安さんは観客を楽しませるすべを知っている人だと思いました。「何と当たり前のことを」と思われるかもしれませんが、そのすべを知らないような作品に当たる機会も多いので。
「古典」に挑戦している多くの小劇場系劇団の作・演出家に観てもらいたいなぁと思った作品でした。
余談だが、つい最近、NHK朝の連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」に喜安さんが出演するというので注目して見たら、とても面白かった。貸本漫画専門の出版社に売り込みにきてケンもホロロに社長のうじきつよしに追い帰される漫画家の役だが、ほんのわずかしか映らないチョイ役にもかかわらず、その演技で漫画業界の厳しい現状を地獄絵図のようにしかも滑稽に体現し、印象付けた。家族と見ていて大笑いし、おそらく後々までも忘れられない場面になると思った。これほどの演技勘のある人だから、きっと面白い芝居を作れるだろうと直感した。だから「Do!太宰」にはとても期待していたのである。
上演時間は2時間20分でもそれほど悪くはなかったが、中盤で少し疲れも感じたので、欲を言えばこれを2時間以内にまとめあげれば、なお、お見事だったと思う。
ですから、限りなく星5つに近い4つです。
満足度★★★
力作かな?
軽~いおもしろシーン→津留崎夏子のモノローグ→タイトルバック
の流れは見事なオープニングで引き込まれた。
が、中だるみもちらほら。2時間20分は長く感じた。
やたらに大人数の男優陣よりも女優陣に目がいく。
作品を詰め込み過ぎの印象。
それでも充分おもしろいのは地肩の強さかなぁ。
満足度★★★★
充実した作品
太宰を知らなくても、楽しめます。
初めての三鷹でしたが、いい劇場ですね。存分にステージ構造を活用していました。
ナイロン100℃の『世田谷カフカ』を連想させますね。
役の関係性がいまいち分かってませんが、おもしろいのは確かです。
満足度★★★★
やっとこさ・・・!
初ブルです!ようやく観劇することができました。
この作品でヨカッタ。舞台、物語の構成力に唸りました。
空間いっぱいに役者たち。それぞれの人物たちの個々の物語が
縦横無尽に連なってひとつの大きな絵になり、等身大のドラマを描いてました。太宰知らなくても、十分楽しめます。
途中、若干、長さを感じる部分もありましたが笑、トータル的にセンスよいですよね★
その昔、知りえた懐かしい人々の姿も目にし、感慨ひとしおです。
ともあれ、今後もぜひ頑張ってほしいです!!
満足度★★★★★
細かいエピソードがうねり、大きな物語を作り上げた
様々なエピソードは、物語の縦糸や横糸で、ちょっとだけ視線を離すと、そこには俳優たちや舞台装置などがきらきら輝く、大きなタペストリーが出来上がっていた。
そんな舞台だった。
大人数の出演者がいて、さらに彼らが何役も、役名のある登場人物を演じる。
そして、ダイナミックで奥行きのある舞台装置と、その転換、さらに物語の構成と演出は素晴らしい。
息の飲んで見入ってしまった。
激しい台詞のやり取りはない。むしろ、柔軟さのようなものを感じた。
ユーモアもあるし。
そして、この舞台は、10周年を迎えた、劇団、というより、そこにうごめく個々人の「表現者」としての宣言でもあったように思えた
満足度★★★
練られた感じがとってもいい!
太宰が好きでも好きじゃなくてもBHLが好きでも好きじゃなくても、未経験でも経験済みでも十分おもしろい。知らない作品からの引用でも太宰、こんな感じかぁっていうのはとても伝わるし、それがBHLっぽいおもしろさに直結。おバカだけどなんか人生の悲哀も考えられちゃうような。
満足度★★★★
観たよ!面白かったよ!!
良かった。好きです。もう一度観たいと思いました。
映像や音楽、空間の使い方どれを取っても素晴らしい。
この作品を観るにあたり、太宰作品をまとめ買いしましたが、ほとんど読み進められぬまま観劇。観劇後は、太宰作品を読むヒントを与えてもらったような気がしてさっそく読破態勢。
芸術関係に身を置かず、常に受け身なだけの私にとって、しばしば作品内で訴えられる「芸術を発信する意義」は、時として、押し付けられるばかりの感触の良いものではありませんでした。しかしこの作品は、演劇に対する、芸術に対する彼らの思いを私も応援したいと思わせてくれました。
まずは次回作、そしてこの次の10年、それから100年先まで微力ながら力いっぱい応援します。
満足度★★★★★
古くて新しい物語、大きな演劇
演劇ならではの時空間の仕組みを利用した“手法”で、あたらしさや面白さを提供することが、演劇界のひとつのトレンドになっていたような気がする昨今。
でも、今回のこの作品はしっかりとした物語の中で、オリジナリティも現代性も、そして、演劇ならではのダイナミズムも実現していたと思います。
こういった「物語」の中でさまざまな試みに挑戦することの潔さには今ドキなかなか出会えなかったという気もします。2時間20分(休憩なし)の長尺もさほど気になりませんでした。
満足度★★★★★
いろんな意味でDoしている
ここ数年観てきているが、前作までとはまた異なる演出方法、頭を刺激する構成などで、盛りだくさんでも最後まで楽しめる。集中力は必要ですが。
満足度★★★
カフカ
を題材にしたナイロン100℃の構成に似ていたが
それはそれ
あの構成はある種、正解であって(私、個人の考えでは)
喜安氏はさらに
ブルらしさを練りこんでいた、、、気がする
次はどこでやるんだろう
星のホールを広々と使い終わった後は
やはり少し小さめの劇場で、
あるいはもっと大きな劇場で、
次回が早くも楽しみです
まだDoも終わってないのに
あらやだ、Doしましょ
満足度★★★★
全然長く感じなかった。
最初に2時間越えると聞かされ、お尻痛くなるな~と
覚悟していたのですが、美術も面白いし映像も良いし
ストーリーも、喜安さんの熱い気持ちが伝わりました。
さすがです。
もちろん太宰さん知らなくても大丈夫です、十分に楽しめます。
満足度★★★★
太宰を読んだことがなくても十分楽しい
対象を直接芝居にするのではなくオリジナルストーリーに原典の味や匂いを練り込むスタイルで確かに太宰を読んだことがなくても十分楽しい。
ただ、終盤で広げた風呂敷が畳みきれないのはちょっと残念。
あと、映像関係で不測のトラブルがあるも誠意ある対応に好感。