満足度★★★★
ちょっとお疲れ?
始まりは夢の遊民社を思い出させる詩的な台詞だが、その後は特に難解な台詞もなく、社会的なメッセージ性を強く打ち出す最近の作風になっている。
宮沢りえは熱演。古田新太、橋爪功もいい味出している。ただし、古田新太は存在感で演技する役どころで、はじけた場面がないのでファンにはちょっと残念かも。
後半はオウム真理教の事件をかなり忠実になぞるので、展開に自由さがなくちょっと重苦しい感じ。特にラストは「幼い」の一言で片付けるのはちょっと違和感あり。安易な結末にできないのはわかるけど…。ここはやはりアポローンが狂気に染まる過程を丁寧に描いた上で、友人殺しの贖罪を持ってきてほしかった。マドロミは実はアポローンの潜在意識が生み出した別人格で、罪の意識を引き受けているんじゃないかと思ったのだけれど、ラストの台詞はそういう感じではなかったし。
あと、カーテンコールは、みなさん何か元気がないように見えた。お疲れでしょうか。
満足度★★★★★
野田秀樹が描いたオウム
野田秀樹さんが、オウム真理教をギリシャ神話を組み合わせつつ描いた作品。異色といってもいいほどとってもフラジャイルな作品でした。アナロジーで紡ぎ出される野田地図の時空も空間も吹っ飛ばす広大は世界に翻弄され、ゾクゾクしました。それにしても宮沢りえの好演ぶりが本当に見事でした。
満足度★★★★
観ました
かなり悪意の込めた作品になってました。
良くぞこれだけのことをしたなと感心。
今回は装置を人間の身体を用い現していたが、もっと表現できたのではないかと作品の内容に比べ薄かったように思う。
それでも衝撃的な舞台ではあった。
野田というブランド
訳あって2回観劇。別に感激してとかじゃない。
むしろこの作品はいろいろと不完成であったように思う。芝居に完成形があるわけではないが、あまりに不出来が多すぎた印象。脚本の弱さ(史実に縛られ自由が無く、奔放さが無いため辛い。ギリシャ悲劇の必要性や題材との関係性に驚きを見出せない)、豪華な役者活かしきれず(比べるのは野暮だが、それにしても野田の他の作品に出ていた時の方が圧倒的に映えていた役者が多い)、意味のない言葉遊びが冗長(「何の空、上の空、秋の空」とか言葉遊びにもなっていない気が。いい長台詞だからこそ余計)など。
こういう批評する奴はこぞって無責任だとは知っている。ただ野田さんはテレビでも随分偉そうなこと言ってるから、観たままの感想を持って対抗したい。こんな場所見ないだろうが、発信に意味がある。日本人はブランドに盲目過ぎる。観客がもっと正当な審美眼を持って評価しないと、退廃演劇が蔓延る。野田だからいい。蜷川だから凄い。そういう評価は才能を潰すことになるのではないか。
どうぞまだ青い青い浅学非才な若者の戯れ言と思って下さい。
以下は観劇直後にtwitterで呟いた文章の転載。
1回目:6月25日S
流れ流れる情報の中で社会が忘れ始めた過去、同じことが繰り返され得る現代への警鐘。何度でも洗い直す必要のある事件だが、テーマ性ばかりが浮き彫りで史実に縛られ奔放な自由さがない。ギリシャ神話は有効だったのかも疑問。そこに落ち着くのか、と。
アンサンブルは圧倒的だが、そちらに気をとられ過ぎてか役者活かしきれず残念である。これはパイパーでも思った。黒田育世振付の呻きにも似た身体表現と、その動きが物語に繋がってくる終盤は見事。野田の作品には胸にグサッと突き刺さる何かを期待したいのだけれども。勿論この作品にも意義はあった。
2回目:7月11日M
2階サイドシート3000円。初回よりも楽しめたのは、単に体調が良かったのと、演出家としての目線で観たから。「声」が響き突き刺さってくる。宮沢りえの声は本当に貴重な存在。魂から絞り出したような「悔しいよ」の声。震える。
「パイパー」といい「ザ・キャラクター」といい、終盤の超長台詞にどうしても冷めてしまう。なんでだろう、俺の集中力の問題なのか。すべてを一人の独白で片付けてしまうのが気になる。蜷川も似たようなことを言っていたが、その独白だけが、詩のように独立して存在してしまっているように感じる。
満足度★★★★★
初めての野田地図
賛否両論ですが、自分は圧倒的なものを感じました。
後から後から、あのシーンはこんなことを伝えたかったのかな・・・と
考えずにはいられない作品です。
後味はものすごく悪いけど、
あの後味の悪さは何なんだろうと夜も眠れず昼はまどろみそうになる作品です。
今回もまた
席が前方で、かえって見づらく、特に始まってしばらくは芝居に集中できませんでした。しかし、物語はかなり分かりやすく、もしかしてあの集団?というのはある程度予測して見ることができました。
ことば遊びというより文字遊びが多く、耳で聞くだけではちょっと理解しづらいところもいくつかありました。
満足度★★★★
野田さん、初めてでしたが、やっぱりすごいですね!
噂に聞いていた野田さんの舞台、立ち見で途中具合が悪くなったものの、後半ぐいぐい引き込まれ、すごいものを見せていただいた気がしました。その感想を絵にしてみましたので、もしよろしかったら見てみてください。→
http://blue.ap.teacup.com/chigusa/
満足度★★
これで9,500円は高い!!
すでに40人ものこりっちユーザーが感想を書いている公演。ざっと目を通しただけでも、「同じものを観ても、感じ方・受けとめ方は本当に人それぞれ」と、当たり前の事実に改めて感慨を受けます。
個人的には、今回の野田作品には全くといってよいほど面白さを感じませんでした。これでS席9,500円は、あまりに内容に見合っていない。農家の嫁さんがおっしゃっているとおり、チケット代のかなりの割合は、有名人を生で目にする「舞台挨拶」を見るために払っているようなものと感じました。
物語として選んだモチーフだとか、言葉遊びを豊富に用いた脚本、あるいは俳優の演技に本質的な問題があったとは思いません(必ずしも名前のある俳優を起用する必然性は感じませんでしたが)。それよりももっとシンプルな理由―単に芝居の作りこみが甘いまま本番を迎えてしまい、ここまで来てしまった―を強く感じました。「このシーンのこの箇所はもっと丁寧に作らないと・・・」というところが芝居全体でおそらく何十もあって、そういう部分の積み重ねが全体のクオリティを下げてるような気がしました。
野田さんは東京芸術劇場の芸術監督になってとても忙しいとは思いますが、何ヶ月もワークショップを重ねて「THE BEE」を創ったような、演出家としての矜持をこれからも大切にしてほしいと思います。
満足度★★★★★
「マボロシ」と「マドロミ」
とみに最近色々と個人的に思う事があったのですが、そんな中野田さんの
「感じる=信じる」の話には頷ける点が多く。
雑誌「+act」でチョウ・ソンハ他が「野田さんは本気云々」という話を
していましたが、この時期にこの作品は相当リスクが高過ぎると思うのです。
1. 猛烈に現実に寄った作品なのでお客が逆に白けたり、引いてしまうリスク
2. 「眠っている人」に冷や水を浴びせかければ、当然猛反撃を返されるリスク
個人的には「よくやってくれた!!!」「よく言ってくれた!!!」と思う。
ますます「深い眠りに包まれ続けていく」日本で、空気読むどころか
意図的にぶち壊した氏の、反発恐れず、爆死覚悟で強烈な一撃を放った勇気と
暑苦しいほどの真面目さに心から称賛を贈りたいと思います。
満足度★★★
久々のNODA・MAP
夜の部を観劇してきました。
メッセージ性はまずまずなのですが、
前半はギリシャ神話などとリンクさせるなど
工夫が見られましたけど、
終盤の直球さ、終わり方は、もう少し
なんとかならんかったのかと
思うところです。
あと、これはいつも思うところですが
走り回っているだけの感が否めなくなりつつあるような気がしなくもないです。
それが野田なのかもしれませんが・・・
満足度★★★★
2回目!
1回目の観劇の時と180度とまでとはいかないが
だいぶ感想が変わりました。
初日に観たときは
あの事件をかなり再現した後半部分から受けた
インパクト(嫌悪感みたいなもの)で、カーテンコールの拍手も
そこそこに劇場を出た記憶があるが
今回は
一度観ているので、ストーリーも分かっているので
心の準備ができ、
物語の重層的構造や言葉遊びなどもより楽しめた。
前回は、前半と後半で雰囲気がかなり変わるように感じたが
今回は全体として、流れが自然でスムーズに感じた。
初日は、宮沢りえさん以外はまだ硬さが残る感があったけど
さすがに1ヶ月もやっていると、他の人も良くなっていて
橋爪さん特によかった!もちろん、宮沢りえさんも。
『パイパー』も2回観たが、感想が大きく変わることはなかったが
今回は1回目と2回目で印象がだいぶ変わった。
作品としては『パイパー』より上だと思う。
ただ、他の人の感想を読む限り
多くの人がどうしても(1回目の自分と同じように)
あの事件の部分に目が行きがちになっているように思う。
なので
野田さんがあそこまで具体的で「あの事件」を盛り込んだのは
やり過ぎだったのでは?と思う。
他のいい部分もあのインパクトに隠れてしまって伝わらないのでは
非常にもったいない。
すでに観た人も2回目観に行くと
単純に作品として楽しむことができるかも。
ただ、残り公演数少ないし、チケット完売だし高い。
当日券は全公演あるらしいが。。。
みた
もろもろ、野田秀樹だから評価されてのであって、無名の作家が同じことやっても屁理屈とかこじつけ、あるいはオヤジギャグとか言われるだけで、「言葉遊び」などと好意的に解釈されるとは思えなかった。
過去の戯曲をいくつか読んでみたけれど、今回はあまりキレが良くなかった気もするし。
また、扱った事件も、そこらの小劇団ならば「いまさらこれ?」と切り捨てられて終わる気がする。
野田秀樹だから、様々なメディアが創作理由を問う。
野田秀樹も答える。
ただ本来は、作品中ですべてを語るべきで、解説をそれも公演中にするのは野暮に思う。
出演者はみなほとんど有名。
だけど、彼ら彼女らでやる必然性を見いだせなかった。
芸術監督就任後の第1作だから、ある程度の華やかさも必要だったかも知れない。
ほかの理由だろうか。
でも、年明けの新作告知のチラシにはやっぱり有名人の名が書いてある。
必然的にチケット代はあがるだろう。
地方での公演は難しくなり、ファンは東京まで来なくてはならず、演劇の良さに触れる機会の乏しい人々には、それを知る機会がまた遠のくだろう。
豊かになるのは演劇界でなく、転売屋のふところの気がする。
たとえば今回のような有名人で構成されるチームと、舞台中心で活躍する人々で構成されるチームとに分け、チケット代も変え、競作させるとかは無理なのだろうか。
一方を見たらもう一方はその半券で割引にするとか。
できるだけ客を呼びたいと願うあちこちの小劇団で、そうした知恵は振り絞られているのに。
野田演劇そのものに力が宿っているなら、無名であるから成立しないということにはならないはず。
有名人にこだわる観劇者は、舞台演劇でなく、舞台挨拶に詰めかける人々と変わらない気がする。
蜷川さんは老人たちを率い、鴻上さんは若者たちを率いて現役なのだから、野田さんにもそこら辺なんかやってもらいたい。
国際交流より前に、あるいは同時に、国内の演劇をもっともっと広めて、豊かにしてもらいたい。
内容云々より、そうしたことを強く感じた。
満足度★★★
言葉遊びかと思いきや、真っ当なメッセージ性のある物語だった。
しかしながら、ここまで饒舌に語ることもないのでは??と思ってしまった。
言わんとしていることが真っ当過ぎたからかしら。
途中で、わかり過ぎちゃって、早く言えばいいのにって感じになった。
アンサンブルの動きとか諸々の演出は素敵だったけれど、そこまで凝らず、上演時間、3分の2にして欲しかった。
古田新太さんは圧巻。本当に圧巻。
ここまで面白く演じたら、普通、「悪役だけどどこか憎めないな」って思うもんなんだけど、見事に憎たらしい。
満足度★★★★★
軽快で躍動感があり素晴らしい。
久々にかろやかな野田芝居を堪能した。夢の遊眠社時代のような若さを感じた。宮澤りえが抜群にいい。なんてすてきな声、しかもよく通る。後ろ向きでもクリアに聞こえる。そして圧倒的な存在感と美しさ、すごい女優になったものだ。
アンサンブルのメンバーの身体の動きと調和に感動。スケールアップして遊眠社が帰ってきたような感覚だ。
満足度★★★
おもい
モブシーンがいまいちなのが残念。軽快さはなく、ズシンと重い。スタッフワークなど含め、全体のバランスがうまくいってないのか、印象があまり。。。声が、大変そうだった。正直、ちょっと高すぎるかと。