ザ・カブキ 公演情報 ザ・カブキ」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.3
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  • 満足度★★★★

    華麗な復讐劇の忠臣蔵
    『仮名手本忠臣蔵』に沿っての物語。
    山崎街道の場まであり、イノシシも登場する(バレエなのに!)。

    ネタバレBOX

    舞台の全体は、まるで日本家屋風の囲みになっていて、日本風。

    意表を突くオープニング。
    浄瑠璃で始まり、和楽器を交えた音楽がドラマチック。
    黒子が出てくるところが歌舞伎風。

    塩冶判官高貞(浅野内匠頭)が切腹後、腹を真っ赤に染めながら、恨みを込めて延々踊るというのは、なんとも言えない。

    つまり、東京バレエ団『ザ・カブキ』。バレエは無言劇ということだけでなく、浅野内匠頭の「無念」が色濃く描かれていた。

    そして、赤ふん姿のバレエなんて、なかなか見られるものではない(笑)。


    バレエの『ザ・カブキ』も先日国立劇場で観た歌舞伎の『元禄忠臣蔵』も、ある程度、忠臣蔵のストーリーを知っていないと、少々辛いのではないかな。

    とは言え、バレエの『ザ・カブキ』のほうは、ストーリーを知っていると、逆に高齢のはずの高師直(吉良)が軽やかに踊っているのを見るのは、違和感があるかも(笑)。

    『ザ・カブキ』の音楽は、黛敏郎。悪く言えば外連味な印象も少しは受けるが、盛り上がり方はさすが。電気楽器、和楽器、コーラス、そしてオーケストラのアンサンブルが見事。
  • 満足度★★★★

    バレエ忠臣蔵
    歌舞伎の「仮名手本忠臣蔵」をモーリス・ベジャールが1986年にバレエ化した作品。ドストエフスキーのカラマーゾフさえバレエになっているくらいだから、忠臣蔵がバレエになったくらいで驚いてはいけないのかもしれないが、それにしてもユニークな作品。

    3年前にハイライト公演と称する部分上演を見たことがあるが、全幕を観るのはこれが初めて。歌舞伎をバレエにしているのだから、根っからの歌舞伎ファンが見たら目をむくような内容なのかもしれないが、歌舞伎にもバレエにも浅く首をつっこんでいる者からすると、両者の混ざり具合がいい感じで面白かった。

    この作品が日本人ではなく、フランス人振付家によって作られたことがちょっと残念というか、悔しい気もする。演劇ではそれほど感じないけれど、バレエ界では西高東低の印象がそれだけ強いということだ。文楽や歌舞伎の名作をどんどんバレエ化するような日本人振付家は出てこないものだろうか。

    ネタバレBOX

    キャストが日替わりの2日間公演。その2日目を見る。

    プロローグは現代の東京。テレビモニターをたくさん並べる演出は演劇ではちょくちょく見かけるが、こういうのをバレエ作品に持ち込むところがベジャールの斬新さなのだろう。ブレイクダンスを踊るダンサーも登場した。想像するに、ベジャールはこの作品を作るに当たって実際に歌舞伎座で忠臣蔵を見たのではないだろうか。そしてたんに古典作品の観賞だけでなく、現代日本の風景にも同じくらい強い印象を受けたのだろう。忠臣蔵の主人公である由良之助はワイシャツに黒いネクタイの現代青年として登場し、彼が忠臣蔵の世界へタイムスリップするという形で話は展開する。

    上演時間は約2時間。プロローグのあと、9つの場によって、忠臣蔵の世界がバレエとして描かれる。場面ごとに振り返るのは骨が折れるのでやめて、とりあえず印象に残った点をいくつか挙げておく。

    由良之助の場合は現代青年がやがて古典劇の中にとりこまれていくのに対して、おかる・勘平の場合は現代と過去のダブル・キャストになっている。いずれにしろ古典に現代的な味付けをしているのはもっぱらこの3役で、あとは基本的には忠臣蔵の時代の人物が登場する。

    殿中で塩冶判官が高師直に対して刃傷沙汰に及ぶところでは、その動機として、判官の妻、顔世御前に師直が横恋慕して、それで判官に嫌がらせをしたからとなっているところが、いかにもアムールなフランス人らしい(偏見)。

    顔世御前とおかるを演じたのは上野水香と小出領子。ふたりとも日本的な丸顔のダンサーなので、意図したものかどうかはわからないが、配役的にはピッタリだった。

    刃傷事件のあとすぐに、切腹の場面になる。仕草として念が入っていると感じたのは、腹を切ったあと、さらに喉首をかき切ったこと。確実に死にましたということがよくわかるマイムだった。

    城明け渡しの場面では、呉服屋の反物かと思うような横に長~い連判状が出てきたのが可笑しかった。舞台の横幅に匹敵するような長い巻物で、その視覚的なデフォルメがとても効果的だった。

    山崎街道の場面もちゃんと再現されている。歌舞伎で見てさえ解説なしではわかりにくいこの場面を、イノシシまで登場させて描いているのを見て、これはやはり「仮名手本忠臣蔵」をベジャールはちゃんと知ったうえでバレエ化したのだと思った。

    プログラムを見るまではよくわからなかったが、舞台のあちこちでちょこまかと動くのは判内というキャラクター。由良乃助の行動を監視する幕府の間者だった。もちろん、遊女になったおかるの機転で、秘密をばらす前に由良乃助にばらされてしまう。

    南部坂・雪の別れの場面では、赤いフンドシ姿の志士たちが横一列に並び、その背後を顔世御前が下手から上手へと移動していく。ベジャール作品には三島由起夫をテーマにした「M」という作品もあるが、フンドシといい、ハラキリといい、なんだか振付家の趣味嗜好を感じさせる場面だった。

    最後はもちろん討ち入り。師直の首をとった後、幕府の詮議などはいっさい省略して、すぐさま全員が腹を切る。いってみればハラキリという名の群舞で終幕。

    振付家のモーリス・ベジャールは亡くなってしまったけれど、こうして作品はいまも上演される。いつかまた見てみたい。

  • 満足度★★★★★

    20歳と17歳
    20歳と17歳のコンビにやられました。東京バレエ団、次世代も逸材が揃ってます。

    http://palove.blog.shinobi.jp/Entry/330/

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