満足度★★★★
バレエ忠臣蔵
歌舞伎の「仮名手本忠臣蔵」をモーリス・ベジャールが1986年にバレエ化した作品。ドストエフスキーのカラマーゾフさえバレエになっているくらいだから、忠臣蔵がバレエになったくらいで驚いてはいけないのかもしれないが、それにしてもユニークな作品。
3年前にハイライト公演と称する部分上演を見たことがあるが、全幕を観るのはこれが初めて。歌舞伎をバレエにしているのだから、根っからの歌舞伎ファンが見たら目をむくような内容なのかもしれないが、歌舞伎にもバレエにも浅く首をつっこんでいる者からすると、両者の混ざり具合がいい感じで面白かった。
この作品が日本人ではなく、フランス人振付家によって作られたことがちょっと残念というか、悔しい気もする。演劇ではそれほど感じないけれど、バレエ界では西高東低の印象がそれだけ強いということだ。文楽や歌舞伎の名作をどんどんバレエ化するような日本人振付家は出てこないものだろうか。