守り火(まもりび) 公演情報 守り火(まもりび)」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.8
1-12件 / 12件中
  • 満足度★★★★

    重白い
    どうしたってハッピーエンドになりえない話だけど
    うまい具合にまとまったと思う。

    ちょっと子供と従業員のキャラが立たなかったかな?

    お父さん、お母さん、怖い人、その他って感じ(汗)

  • 満足度★★★★

    あまりにも切ない
    自分の場合、この作品を観ると決めたきっかけは松本紀保が出演するからで、こういう小劇場でどんな役を演じるのかとても興味があったからです。
    観終わっての感想はひとことで言えば本当に素晴らしい作品でした。あまりにも切なすぎます。人物描写が丁寧で、きれいごとでなく説得力がある。
    私はこの作品を観て、改めて2月のモダンスイマーズの公演「凡骨タウン」の冒頭の独白を思い出した。「自分ならこんなことはしないだろう」と言うのは簡単だが、実際、その人間とまったく同じ人間に生まれていたなら、
    同じ行動しかとれないのだ、という意味のあの台詞。「凡骨タウン」もかなり悲惨な話だけれど、これもかなり辛い物語です。しかいこういう社会の吹き溜まりに生きる弱者にスポットを当てて、書いていくって凄いなあと自分などは単純に感動してしまいました。
    彼らのしていることは犯罪だし、決して褒められた生き方ではないのだけれど、強く心を揺り動かされた。
    中島新さんの今回のお芝居は山本周五郎の世界に通じるものがある。

    ネタバレBOX

    ストーリーは既に詳しく書いているかたがいるので省きます。
    最低限の生存権がかろうじて残されているようなゴミ収集業を営む桐島家の極貧生活。娘に「お父さんと一緒になっていなかったらもっといい人生が送れてたと思ったことないの?」と訊かれて「もっと大変なことになっていたかもしれないじゃない」と返す母親。
    両親を早く亡くし、親類の家を転々とたらい回しにされ冷たい世間の風に当たり続けた母親の志津子(松本紀保)には「あたたかく幸せな家庭を持ちたい」という強い願いがあったのだと思う。裕福かどうかとか、血のつながりは問題ではなかったのだろう。
    風俗店も多いこの町には捨て子が多く、災厄をはらう目的で焼かれる藁人形の代わりに本当の子供を燃やしていたという噂話も伝わっている。4度の流産で4人の子を次々になくした志津子は手作りの4つの人形を抱いて神経を病んでいた時期があった。土砂崩れで息子のタカシを亡くした早苗(橋口まどか)もまた、その死を受け入れることができず、息子にやりたいからと言って、おもちゃや洋服などのゴミをもらいにくるが、桐島家の娘たちは冷淡だ。志津子だけが早苗の話し相手になっているのは、自分にも同じように辛い体験があるからだろう。
    志津子・啓次郎(辻親八)夫婦は捨て子を拾って自分の子として育てていたのだ。負傷した早苗のうわごとで真相を知った娘たちはショックを受けるが、長女の尚(李峰仙)だけはその事実を知っていた。尚は志津子同様、ゴミ収集の職業病のせいか流産が続き、婚家でも肩身が狭い。
    志津子も肺ガンが悪化して死んでしまい、やくざとつながり、不法投棄を急ぐゴミのまとめ屋・寛崎(尾形雅宏)に追い詰められた啓次郎は、警察に証拠資料を渡して自首する決意をする。不法投棄で一時的に息をついていたホームレス夫婦の豊子(岡村多加江)の「もう少しこの仕事続けられないかな。せっかく家も借りられることになってたのに」と啓次郎に哀願する場面が哀しい。豊子もまたかすかな幸せをみつけてすがる女だ。
    家に火をつけて逃げる寸前、娘たちが幸せを祈る姿に胸が締め付けられた。守り火どころか、家を焼くはめになるとは。
    辻親八は、甲斐性がなく気も弱いが、心根の優しい父親を好演。早苗を殺すことで平然と寛崎に同意した後、娘たちの前で「そんなことできるわけないだろう」と真意を明かすところが良かった。
    尾形が本当に恐ろしく凄みに圧倒された。陰惨な劇中でホームレスの先輩格達男の佐久間淳也が演じる笑いの場面が救いとなっていた。
    雨が多いというこんな陰鬱な町に暮らしていた志津子が沖縄のように陽光に恵まれたところの出身というのも皮肉な話だが、松本紀保は逆境に負けない志津子の明るさをよく出していた。高い声質と明るい芸風に曽祖父初代中村吉右衛門の血を感じさせる。現高麗屋で播磨屋の血を受け継いだのは現幸四郎の長女の紀保だったのか。彼女の曽祖父の初代中村吉右衛門は菊吉時代の名優と賞され、古典一本槍のように思われているが、実はごく若いころに、いまで言う小劇場演劇のような現代ものの軽いコメディで、セールスマン役を演じたこともあるのだ。
    妹の松たか子の人気がブレイクしたころ、新派の波野久里子が「親戚だし、たか子ちゃんのような人が新派を継いでくれたら一番いいんだけどな。若いお客さんも増えるし」と語っていたが、新派の水に合うのはむしろ紀保のほうではないかと今回の芝居を観て思った。経験を積めば、きっといい新派女優になると思うのだが。
  • 満足度★★★

    判っていながらの終末劇は悲しいです
    西原りえ蔵の漫画のような話でしたね。
    なんとか日々を過ごしていく人々の
    群像劇という点で、強く印象に深く残りました。
    ただ過去と現在の区別が、いまひとつしっかり分けられなかった演出が、
    ちと残念でした。

    ネタバレBOX

    けっこうダークな話になった割りに、
    人死にが出なかったのが幸いな話でしたね。

    スモーキーマウンテンみたいな話でしたので、
    物語の冒頭で、観客を引き込むための設定説明を、もっとするべきかと。
    あと時代設定も、現代なのか、ちょっと過去なのか。
    感情面での揺さぶりがメインの芝居といっても、
    設定は細部まで凝ってる方が、のめり込み易いです。

    家族は持とうと思えば、持てるものだ。
    持った方が人生は素晴らしいものになるというメッセージは、
    深く印象に残りました。
  • 満足度★★★★

    心に突き刺さってくる作品だぁ
    最初は、家族みんな楽しそうだし、お母さんのむっちゃ明るいところが、ほんといいな〜と単純に思ってました。

    ネタバレBOX

    でも、過去を知れば、お母さんの明るさは、痛々しくなってくる。さらに、悪い方へ転がり始めると、容赦なくどん底へ落としていく。それ以上やめてあげてよ〜と、心の中で何度も叫んだ。
    そんなどん底にあっても、最後にあの家に家族が集まり、みんなで罪を償おうと一致団結した時は、すごく羨ましかった。

    実家に帰りたくなり、そして、実家の母に電話してしまった。幸せや、家族について、もう少し考えてみようっと。
  • 満足度★★★★★

    重なり合う
    事前に、チラシ等で紹介されていた以上に暗くて緊張感のある
    ストーリー構成でしたね。 観ながら、え?まだ不幸が続いちゃうの?と
    落とされ、食い入るようにさせられることが多かった。

    この作品の登場人物達は、それぞれが違うように見えて、実は
    皆同じような境遇におかれていて、唯一つ、あのバラック小屋みたいな
    家で一つに結びついて、または呪縛されている、と感じました。

    ネタバレBOX

    母親が、もし捨て子を拾ってこなかったらどうなっていたか。
    多分あのまま狂って、近所の鼻つまみ者になっていたのは
    タケシの母親じゃなくて、四姉妹の母親だったかもしれない。

    または、四姉妹が母親に拾われなかったら。
    幸せを知ること無く、そのままあのやくざのように身を落としていた
    かもしれない。

    そう思うと、各人物達が置かれていた状況が、大きく食い違って
    いるのではなく、実はほんの偶然だったことに過ぎない、と気がついて。

    そう考えると、四姉妹は幸せだった、のじゃないか、母親に、父親に
    守られて幸せだったのじゃないか、といえると思います。

    最後に家を焼いたのは、母親への甘えや依存を断ち切り、新しく一歩を
    家族が踏み出すためには「守り火」のように必要な「儀式」だったのかな。
    ちょうど、人形を燃やすことで災厄から逃れようとするように。
    そう思うと、最後はほんの少し希望のある作品でしたね。

    四姉妹が、母親のよく聴いていたカセットを聴きながら、その歌を
    皆で口ずさむシーンがあったけど、あのシーンの美しさは屈指。
  • 満足度★★★★

    正常と狂気…、
    どちらが正常でどちらが狂っているのか、どんどん引き込まれていきました。

    ネタバレBOX

    守り火という架空のお祭りを使って、正常から少しだけずれただけの、それでいてすさまじい狂気の世界が表現されていました。

    次女より三女の方が年上のような風貌、謎が解けました。

    それにしても、子供を亡くすことの喪失感の大きさについて感じ入りました。
  • 満足度★★★★★

    これだから、観劇は止められない。
    当りだぁ(笑)。
    もう一回、観たいなぁ。

    ちょっとSEやら照明やらのタイミングがずれる事があるくらいで、本も演出もお芝居も素敵でした。
    私も含め、後半は客席も結構泣いてました。

    大きく奇を衒った構成ではなく、でも時間経過を操って、単調にならないようにお話に引き込んでくれましたしね。

    まぁ、4人姉妹の素性は割りと手前から匂って居ましたけど。

    この歳だと、親子モノは涙腺にきます。
    久しぶりに泣きました。

    迷っているなら、お薦めします。

    ネタバレBOX

    でも、お父さん、最後の一線で踏み止まってくれてよかったです。
    寝つきが違うんですよ(笑)。

    グレープの『縁切寺』の歌詞が、頭を過ぎりました。
    『運が良いとか、悪いとか~』ですね。

    「清貧」とか「お人好し」とか、何処に行っちゃうんでしょうね?

    「なさぬ仲」は「選びあった仲」でもあるんだなって思いました。
    実の親子は、ある種「無理やり」でもあるので、逆に難しい部分もあるからなぁと感じたり。

    何より、気持ちのお土産の沢山頂ける、素敵な舞台でした。
    ありがとうございました。
  • 満足度★★★★★

    泣いちゃったよ!
    家族とは何も血の繫がりばかりを言うのではない。ここでの桐島家のお母さん役の松本紀保がひじょうにいい。家族の中で常に太陽のような存在なのだ。そして、グワイニャオンの尾形雅宏の演技も相変わらず素晴らしい。言い知れぬ無言の圧力を醸し出し、立ってるだけで絵になる。勿論、他のキャストの演技力もあってのこと。
    導入音楽も独特の郷愁を誘い、照明は魅せた。

    以下はネタばれBOXにて。。


    ネタバレBOX


    「守り火」という、松明の火で人形を燃やし悪霊を追い払い、町の安泰を願う、その土地伝統の祭りはその昔、村に災いをもたらすといわれた捨て子を焼いていたと言い伝えられていた。そしてこの土地には何故か昔から捨て子が多い土地だったのである。

    そんな地域でゴミ収集業を営む夫婦の妻・志津子は4回も流産してしまう。夫婦は生まれて来なかった4人の子供の代わりに4人の女の捨て子を拾って育て、愛しむ。こうして家族は貧しいながら幸せの形を築くのだったが、時は流れ、事業は借金が膨れ上がり志津子は入院してしまう。志津子の入院費やら借金の清算の為に、父・啓次郎はヤクザが絡んだ不法投棄に手を染め、ドンドン深みにはまり込んでニッチモサッチモいかなくなってしまう。

    そんな折、志津子は入院先で亡くなり、一家は家を燃やして、ヤクザの手から逃げるという末路だったが、終盤の描写は追い詰められた家族が手を汚しながら、更に人をも殺しかねない状況になっていくさまは、ハラハラドキドキの連続でまさに追い詰められた鼠は猫をも襲う心境だ。

    舞台は過去と現在の落差を繰り返しながらも、その見せ方は上手い。特にここでの照明が大活躍だった。春夏秋冬の移り変わりの演出も素晴らしい。風が吹いて窓からゴミが入ってくるシーンは、もうお見事としか言いようがなく、藁人形のそのふくよかな形もなんとなくリアル感があった。

    個人的にこういった因習ものは好みということもあり、そしてそこに家族が崩壊していくさまや、崩壊しそうになりながらも、亡くなった母が「子供たちを守ってあげて」と吐くセリフなど、終盤はホロリとさせられ涙ぐみながら観ていた。独特の描写、色あせ、くすんで湿ったような赤茶けた鉄の匂いのする舞台だった。素晴らしい!!

  • 満足度★★★★★

    家族
    あらすじだけ観るとどうしようと迷う
    暗いのかなとか
    とても気になって幸いチケプレでいただき観劇
    うまあく笑いがはいり、さまざまな伏線がある芝居世界にひきこまれた
    松本紀保さんは初見
    声が心地よい
    全員が達者で作品にのめり込む
    心地よい観劇

    これはオススメです

  • 満足度★★

    この作家の作風は苦手かも
    次第に追い詰められて行く家族の姿をまだ幸せだった頃とフラッシュバックさせながら描く意図はよくわかり切なさ(というよりむしろ重圧的なもの)が伝わって来るも、ラストが釈然とせず疑問が残る。
    が、椿組の『黄金の山』の作家の作品と知って何となく納得。この人の作風は苦手かもなぁ。

  • 満足度★★★★

    濃厚で緊密な芝居
    濃厚で緊密な芝居に感服しました。1時間半飽きずに楽しめました。ただおなかいっぱいで、げっぷが出てしまいそうでしたが。

  • 満足度

    んん~。。。
    尾形さん目当てで行きました。

    決してつまらなかったわけではないけれど、
    なんとなく納得いかなかったというか。。。

    ネタバレBOX

    たまたま先週観たお芝居も4姉妹の話だったからか、
    なんとなく比べてしまい(ごめんなさい)、
    どうも薄っぺらく感じてしまいました。。。

    なんで4姉妹でなければいけなかったのかがよくわからない。
    母は、4人も流産したから、4人の人形を持っていて、
    4人の子供を拾ってきた、というのはいいけど、なんで4人?
    4姉妹の必要性がわからなかった。

    ていうかどれが誰なのかがとてもわかりにくく、
    (実際、プログラムを見ないと、次女~四女が誰だかわからず)
    母も母っぽくないし(子供たちと同じくらいに見えて、姉妹みたい)
    話も終始、陰々鬱々としていて、
    時折明るいシーンがあったにもかかわらず、
    「家族ってあったかいな」ってことすら伝わって来ず。

    家族のためなら何でもやる、という気持ちはわかるけれど、
    そのためにやる仕事が不法投棄とか、
    最後は家に火をつけて逃げるとか、
    結局犯罪であるというところに、救いが感じられず。。。

    時々過去を織り交ぜるやりかたも、
    わからなくはなかったけれどなんとなく曖昧(唐突)に感じました。

このページのQRコードです。

拡大