赤紙 JAPプライド ご来場ありがとうございました。 公演情報 赤紙 JAPプライド ご来場ありがとうございました。」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.8
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  • 満足度★★★

    熱く骨太の物語
    そして、なかなかの大作。
    だけど長い。長く感じるには理由がある。

    ネタバレBOX

    もっと正攻法な演出できちんと見せてほしかった。
    だからこそ、昔のテレビ番組「フィーリングカップル」のパロディに代表されるような笑いのセンスはつまらない。しかも今どきこれ? と思ってしまう。

    また、頭にアンコ(!)を付けた陸軍将校はひどすぎ。二役の海軍の部隊長との差を出したいためなのだろうが、あれはないと思う。それで笑ってほしくもあったのだろうが、まったく笑えない。彼だけ衣装も中途半端だったし。ほかにも強いキャラクターはたくさんいるので、彼はあんなにアクを強くしなくてもよかったのではないかと思う。

    そんなところもあるのだが、骨物の物語が見せてくれる。
    鬼塚4兄弟の境遇やそれぞれの感情が見え出してきてからが、特にいいのだ。

    ただし、脇の登場人物の物語まで、どんどん取り込んでくるので、それはもっと簡素にして軸となる物語を際立ててほしかった。
    脇も中心も同じテンションで描かれるので、中心がぼけてくる。
    キャラクターごとにいちいち、スポットライトを当て、同じBGMで盛り上げ、独白させることはないと思う。

    どうも個性的なキャラクターが多すぎて、それぞれが我を主張しすぎるので、実際の長い上演時間(2時間超)もあり、疲れてしまう。
    エネルギーが溢れる舞台なのだろうが、「物語を見せる」という点において、全軍突撃みたいな感じはプラスにはならないのではないだろうか。

    前半に乱闘シーンが何度かあるのだが、どれも長く同じに見えてしまい、途中でまた乱闘か、と飽きた。ここぞ、というところだけ丹念に見せたほうが効果が上がったと思う。ホントにそれはもったいないと思う。

    そういった要素が積み重なって、時間的に長くなり、観ているほうの気持ちとしても長く感じてしまうのだ。
    鬼塚兄弟だけに的を絞り、物語そのものはすっきりと見せてほしかった。

    ラストに赤紙について語る台詞があるのだが、主軸になる鬼塚4兄弟のうち、赤紙をもらったのは1人だけで、あとは志願、しかも赤紙をもらった彼の破綻は、赤紙とは関係のないところで起こったのだから、そこにこだわる必要はなかったのではないだろうか。赤紙を配達する役人と、今回の芝居の中心となる航空兵とは結びつきにくいので(徴兵と志願)、どちらかを取るのならば、もう片方をやめるべきだったのではないだろうか。

    ラストにセットが崩壊し、白菊の機体らしきものが現れるのだが、観客はそれに気づいたのだろうか。つまり、役者の立ち位置とライティングの関係で気づきにくいのでは? 白い塗装ではなく、特攻機らしい塗装にし、日の丸が付いた主翼か胴体の一部でも見せたほうがよくわかったのではないだろうか。
    その「白菊」についても、劇中で本来の用途や性能について、きちんと説明したほうがよかったと思う。

    大事な役にもかかわらず、感情的な台詞を早口でしゃべる役者の何人かは、滑舌が悪すぎてまったく聞き取れないところもあった。だったら、そんなに早口にしなくてもいいだろうと思う。せっかくの大事な一言が聞き取れないところもあったりした。
    そんな中でも、鬼塚兄弟の長男役の発するエネルギーは、観る者を惹き付ける力があった。
  • 満足度★★★

    暑苦しい題材だけど、爽やか
    この手の話は好きです。
    タカ派と思われるかもしれませんが、社民党員でもないですが、
    語り継ぐ題材とは思います。
    男社会の話だから、暑苦しい毛色はありますが、
    そこは脇に、現代的な爽やかなルックスな人を固め
    味付けはマイルド。
    なにより女優陣が、かわいいところを揃えているので
    潤滑油になっている。
    ただ、これをどう思うかは・・・以下ネタバレへ。

    特攻隊員が、終演後に、劇場外(入り口)でお見送り。
    ちょっと、コスプレスナックのような(男性だけど)
    違和感があるも、好感度がありました。

    ネタバレBOX

    何か本気の作家の意思が伝わらなければ、
    こういう戦争モノは成り立たない。
    反戦は誰でも思うところだけど、それを通じ
    作家の覚悟が見えてこなければ、
    ファッション感覚と思ってしまう。それは、あまりにもお粗末。
    この作品の場合、残念ながら
    「戦争」という題材を利用しての、エンターテイメントになっており
    訴えたいことは伝わってこない。
    れは、あまりにも哀しい話。

    オープニングにフルモンティを入れてもいい、アクロバティクな
    要素を入れてもいい、でも、それはあくまでもスパイスな面であり、
    誰もが知っている歴史的背景を描くことを通じ、
    「それで、あなたは何が言いたいの?」というところを
    しっかりさせなきゃ、単なる自己満足。
    ここが、井上ひさしや、つかこうへいのような満足感をえないところ。

    ラストの特攻の演出、ここには演劇としての完成度の高い
    演出を見受けられたが、
    それで、どうしたなの?は、かなりものたらない。
  • 満足度★★★★

    戦争というテーマ
    今回、初めて獏天さんの舞台を観劇しましたが、テーマがテーマなだけに結構重い話を覚悟で行きました。
    ですが、前説の時点で"ん?そんなに重くないの?"と思い始め、開演後には思わず笑いが出てしまいました♪
    そこからいい感じに物語りに入り込めたくらいにだんだんとシリアスになっていって胸が締め付けられるような場面もありました。
    笑いと感動どちらも楽しめてとてもよかったです!!!
     

    ・・・・・・前説の雷と地震と津波は使わなかったんですねー(笑)

  • 満足度★★★★★

    面白い!
    前半は殆どコメディ。後半はシリアスで戦争における不条理さを描く。
    前半のコメディでは、殆どが殴り合いの喧嘩シーンだけれど、まるで少年ジャンプに登場する高校生同士の喧嘩シーンのごとく、女の取り合いでの殴りあい。海軍と陸軍とでの殴りあい。アニメチックな暴走に笑いっぱなし!
    シリアスなシーンでは兄弟や同朋を思いあう果ての展開に胸が打たれる。

    以下はネタばれBOXにて。。







    ネタバレBOX


    怒涛のお芝居!冒頭、白と赤のフンドシ姿で登場する。のっけから目に焼きついたそのお姿は白のフンドシ姿のお陣が海軍、赤が陸軍。
    赤は鬼塚家の長男が、白は鬼塚家の次男が長となり顔を見れば殴り合いの喧嘩のシーンだが、このシーンがあまりにもバカバカしく爆笑する。

    物語は昭和20年、太平洋戦争のさなかであった。
    戦況は悪化の状況で本土では連日空襲の被害にあっていた。沖縄はアメリカ軍の上陸を許したことから、基地にいた彼らは神風特別攻撃隊を再び編成し、海軍、陸軍双方の共同作戦天一号作戦が行われようとしていた。
    海軍飛行兵と陸軍飛行兵に分かれた鬼塚兄と弟。兄闘次郎は陸軍で弟義三郎は海軍にいた。
    彼らは以前アメリカで暮らし、そして、二人には、アメリカ国籍を持つ弟が二人いた。それが原因で日本に帰国した彼ら兄弟は世間から冷たい視線が注がれることになる。三男繁夫は婚約者のハルが長男の闘次郎に想いを寄せている事が暴露し自害してしまう。四男英信は世間からの冷たい言葉「あの家はアメリカ人だから・・。」という噂を覆すためにも、鬼塚家を汚さない為にも、学徒出陣で自ら海軍予備学生へ志願、海軍に配属されてしまう。
    戦争という悲惨さを誰よりも熟知していた闘次郎は、彼らの特攻志願を反対するも、鬼塚兄弟や部下までもが志願してしまう。時代に運命を翻弄され、大儀という名のもとに散っていった男たちの物語。

    ひじょうに素晴らしい芝居でした。それぞれのシーンの展開がリアルで血を吐くシーンや血のりが付いた服や手がまるで本当に怪我したようでばばりました!(ビビリの最上級!)
    この戦争に負けたら、「同朋たちは血を流し女は辱めを受け、子供は泣く。」という暗号のような言葉に自分たちは命を厭わず飛ぶであろう。と誓いその通り散っていくのです。

    音響効果と照明効果によって舞台は大迫力の上にキャストの演技も秀逸で大満足でした。
    前半のコメディと後半のシリアスの見せ方も上手い!愛のシーンも織り交ぜ
    可笑しくも哀しい物語。






  • 赤チーム白チーム。
    誰も欠けることなく鍛えている肉体と男臭さで溢れる漠天。前回と違うところは特に男性陣の演技が光っていたかと。その為いつもなら笑いが客席から起こるのだけど今回は真剣さとテーマがテーマだけに笑うのが遠慮しがちであった。←周囲

    ネタバレBOX

    男と女の言い合いでは勇気ある描写の台詞が多かった。
    ステージと固定椅子との間隔が広く感じるので前列の方が臨場感あったはず。漠天は役者と距離を感じない会場の方が合ってる気もするなあ。

    赤紙が家に届く時は本心では愕然とするはずで、お国のためにとバンザイする妻と素直に悲しむ妻が両方いたのが良かった。特攻隊が飛ぶ時に滑走路に妻が「行かないでーっ」と飛び出てきた話を聞いたことがあるが、やはりお国のためにと喜ぶふりをするのは辛かったと思う。

    なんとなく作演のイデさんの苦悩が見えたような。バランスよく女優さんも出番を作らなくてはいけないとかそういう(笑)前回も感じたけど一人で喋る台詞はもっと短くても良さそう。サービス精神旺盛な方なのかも。

    2時間20分。もくもくは少ないのであまり後ろに座らなくても良し。
    全体では★3,8  肉体美に★5

    前回のようなポールのある美術で、また忍者みたいな動きが観たいなあ。。。
  • 満足度★★★★

    力作!
    戦争における悲惨さ、理不尽さなどが旨く描かれている。なかなかの力作だが、セリフを早口でがなるため非常に聞き取りにくい箇所が多数あり。とても残念だった(緊迫感は出ていたが・・・)。喧嘩のシーンは迫力満点で、演技的にも殴り合いを本当にしているかのような動き。きっと練習の成果と苦労が現れていたと思う。ぜひ戦争を知らない同世代(若者)には観て欲しい舞台だと思う。

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