雨の一瞬前(再演) 公演情報 雨の一瞬前(再演)」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
1-11件 / 11件中
  • 満足度★★★★

    秋葉演出と通ずるような
    昭和20年の東京、姉妹だけが残されて休業中の旅館に仲間を集団脱走させた上に雇い主を殺した朝鮮人2人が転げこみ…という状況から始まる静的な85分間、余分な説明を排し凝縮された感覚は SPIRAL MOON の秋葉演出と通ずるような。
    舞台で演じられた出来事のみならず、そうなるに至った背景=日本の過ち…というよりも過去の歴史上の侵略者たちの横暴、身勝手さ全般について考えさせられる。
    井上ひさしの『きらめく星座』や『闇に咲く花』とはまた違った形で「忘れてはいけない、風化させてはいけないもの」を語り継いで行く作品だけに折ある毎に演を重ねて欲しい。ただ、本作は前述の通り説明的な部分をかなりそぎ落としているだけに、受け取る側(特に若い世代)がそこまで読み取れるかどうかという問題はあるかも?

  • 満足度★★★★

    うれしかった
    説明がすくなくて、客席として、信頼されてるかんじがした。うれしかった。

  • 満足度★★★★★

    時代を生きぬいた光子の物語
    舞台セットといい、緑豊かな情景といい、照明、衣装諸々が素晴らしかった。
    難点は客入れの際のスタッフの要領の悪さのみ。

    以下はねたばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    昭和30年、光子が経営していた旅館は戦争の影響下、休館となっていた。ここに逃げてきた2人の朝鮮人と彼らをかくまう姉妹は、当初、お互いの人間性に対して疑心暗鬼だったものの、いつしか穏やかな家族のような感情になっていく。この4人が掃除する風景がとても心地良い。

    光子がこの旅館の土地を手放さず再開することに拘った理由は、片倉の死体が庭に埋めてあったからなのではないだろうか。
    それと同時に光子の心の中にパク・スサンへの想いがあったからなのではないか。とも思う。

    一方で一体感、連帯感の醸成を強いられた国民は朝鮮人に対して犯罪者を見るような感情を抱く。だから、渡辺文子先生のとった行動はきっと当時の日本では当たり前な感情なのかもしれない。日本人が朝鮮人に対して抱く感情、朝鮮人が日本人に対して抱く感情を見事に描いた作品だと思う。

    「大きな嘘のうつわの中で見えないものを見て聞こえないものを聞かされてる。」といった光子のセリフはずしん!と響く。

    パク・スサンが中立の立場にたって通訳を引き受けるが、その際に日本人とチョン・ヨンサンが険悪にならないように上手く言葉を濁す場面があり、その配慮にクスッとした温かい笑いが会場を包んだ。

    やがてチョン・ヨンサンは2人の日本人を殺した罪で逮捕され、パク・スサンは朝鮮に渡り一生独身を貫いた。光子と澄子は生涯二人きりで質素に生きた。
    時代に翻弄された人達の物語。

    ひじょうに素晴らしい作品だと感じた。キャストの自然な演技力はお見事で、まったく隙がない。ワタクシ大満足で拍手喝さいしました。

  • 満足度★★★★

    敷地内。
    はい、今日からこの島は日本と呼ぶこととします、となるもっと大昔からこの島国は色々な血と関わりを持って存続してきたと思う。言葉と歌を教え合うシーン、日本語が理解できず目をまん丸に見開くチョソンヒさんの存在感に目が熱くなる。韓国公演では中立であった点も温かく熱狂的な反応と拍手があったようで、スズナリでも力強い拍手が。本は遠慮しずにもっと互いに悔しい情けない愚かな部分を露呈しても良かった。日本の裏の顔(表でもあるけど)を、みたい。真実はここでも書けないようなことが多いので人間と人間の交流に重点を置いたのが温かい印象であった。なぜか弘前劇場を思い出した。

  • 満足度★★★★

    すなおに今という時代から失われてはいけないものを感じる
    物語の展開に少し必然が欠けた感じがしましたが
    舞台になった時代は
    まっとうな必然なんてゆがんでしまうような時代だったのかもしれません。

    いろいろな工夫で
    その時代の狂気が浮き上がっていました。

    素直に、今という時代から失われてはいけないものを
    感じ取ることができました。

    ネタバレBOX

    冒頭のダンスがとても効果的。

    舞台となる旅館にも
    そんな平和な時代があったのです。
    ちょっとモダンなダンスで表現されるぞうきんがけには
    笑顔と日々のときめきを感じて・・・。
    戦争末期の日本の雰囲気を表す時に
    そのシーンの明るさがとても効いていました。

    朝鮮人と日本人の距離感も旨く表現されていました。
    韓国語と日本語の使い方にも
    作劇の工夫があって
    それぞれに伝わるもの、隠すもの、
    交わるものがしたたかに表現できていたと思います。

    武骨で不器用な心のかよいかたにも思えましたが
    異なる価値観が妥協していくのには
    そんな過程が必要なのかもしれません。

    物語としては
    宿屋を続けることと朝鮮人をかくまうことのつながりが弱く
    妹の殺人にも、もっと強い説得力が欲しいかなとも
    感じたのですが
    逆に、そのつながりのなさが
    戦時中の狂気への表現になっているような気もして・・・。

    人々の国家主義への傾倒の
    人による温度差の表現もしたたかで、
    教条的な反戦ではなく
    ただ、大切なものを愚かに失いたくないという想いでの
    反戦を考えたことでした。
  • 200908161300
    200908161300@ザ・スズナリ

  • 満足度★★★★

    ぐっときました。
    いや、
    もっとかな・・・

    ぐぐっとかもしれません。

    ネタバレBOX

    それくらい心に来ました。

    舞台セットがすごく良かったです。

    そして、韓国人役の二人が良かったです。
    で、ひとりは日本人なんですね、びっくりしました。
    発音完璧じゃないですか。

    なにしろ自分韓国語勉強してたのでなんとなくわかるんです。
    で、訳されてなかったセリフもなんとなくわかるんです。
    チョッパリはきつかったです。

    それと最後・・・もう少しなにかが欲しかったです。
    そしたらたぶん号泣でした。
  • 満足度★★★

    終戦記念日にふさわしい
    事前にあらすじをざっと見て、想像していたとおりの内容。
    この作品に意外性などの要素を求めるものではないので
    それは全然問題ないのですが、もっと現実の不条理さに
    切り込んでくれても良かったのに、と感じました。
    これでは、少し戦争が美しい記憶のように感じられてしまう。

    連日の空襲、明日は身の上かもしれないという恐怖、
    劣勢な日本、言葉も行動も、思想までお国のため、
    そんな抑制された半狂乱な時代っぽく描かれていないのが
    ぼく的に、リアリティに欠けて見えたのかもしれません。

    でもこの作品を終戦記念日に観れてよかったと思いました。

  • 満足度★★★★

    雨とは焼夷弾
    タイトルの「雨の一瞬前」の「雨」とは、東京大空襲で無数に振り注ぐ焼夷弾のこと。
    ストーリー、演出ともに、きわめてオーソドックスであったが、終戦記念日にふさわしい作品であった。

    ネタバレBOX

    朝鮮人収容所で、集団脱走を引き起こし、さらには、監視を殺害した朝鮮人と、日本人と朝鮮人のハーフで、通訳を勤める朝鮮人(?)の二人組が、本郷にある休業中に旅館に転がり込んだところから、東京大空襲までの数日を描いた作品。
    テーマは戦争と、朝鮮人差別。それぞれのテーマについて、左右どちらかに偏ることなく、中立的に事実として描いている姿勢に好感を持った。

    最初は驚きつつも、次第に、朝鮮人2人を受け入れる旅館を営む2人姉妹。姉から朝鮮人の存在を明らかにしないよう懇願され、いったんは了承しながらも、友人である前に、日本国民であることが優先されるべきと主張し、朝鮮人の存在を掲載に密告する出征者を夫に持つ女教師。軍人でありながらも、医師rとして、朝鮮人の治療に当たる軍医。そして、朝鮮人収容所で散々いたぶられたことが原因で日本人を強烈にうらみを持ちながらも、姉妹の暖かさに触れ、徐々に恨みが和らぐ朝鮮人。朝鮮人と日本人のハーフであることから、アイデンティティを確立できずにいる朝鮮人(?)
    それぞれの苦悩をうまく描いた作品であると思う。
    惜しむらくはもう少し、ひねりがほしかった気はするが、オーソドックスであるからこそ、伝えられるものもあるのではと気を取り直なおした。
  • 満足度★★★

    人が人と出会うには苦しい時代
    偶然に人と人とが出会う。
    始めて会う人たち、数十年ぶりに会う人。

    出会った人たちのタイミングは、「時代」という理由のために、決して最良ではなかった。
    なんでもない時代ならば、なんでもない出会いだったかもしれない。

    人と人が出会って、何かが生まれ、別れていく。
    別れてしまえば、二度と会えない。
    しかし、それぞれの中に何かが残っていった。
    それは、強く残ったものであった。

    舞台ならではの、人がそこにいる、という実感。

    とてもいいテーマと設定だと感じた。

    ただし、どうも今ひとつ、のれない自分がいた。

    ネタバレBOX

    のれないのは、登場人物の行動に対する動機が、観ている側(私)に迫ってこないからだ。

    例えば、旅館の女主人がなぜ、そこまであからさまに戦争を悪く言うのか、そして、なぜそこまでして旅館を再開させたいのかが、わからない。

    戦争によって、普段の生活が奪われてしまったことを憎んでいるのはわかるし、両親の残してくれた旅館を大切に思っているのもよくわかる。

    しかし、時代背景から言うと、その想いが強すぎはしないか、ということだ。
    20年ぶりに会った友人の心を傷つけてしまうほど、戦争を嫌だという気持ちがあったり、逃げてきた朝鮮人たちを使ってまで旅館を再開したいというのは、常軌を逸しているとしか思えないのだ。

    もちろん、本当に戦争を嫌だと思っている人は大勢いたと思うのだが、相手がどんな考えなのかもわからないのに(なにしろ20年ぶりに会うのだから)、自分の主張を述べたり、警察に追われている朝鮮人たちを匿うだけでなく、彼らを使って旅館を再開させようとする行動は、簡単には納得できない。

    たとえどんなに大きな旅館であったとしても、姉妹2人住まいの家に、見知らぬ男性2人がいて、仕事をしているのは近所でもわかるだろうし(薪割りまでさせているのだから)。
    そういう行動をとるのはなぜなのか、匿うことを決意したのはなぜなのか、ということをもっときちんと観ている側に納得させてほしかった。
    困っている人がいたから助けた、ではすまない時代と設定だと思うからだ。

    女主人の妹の犯す殺人もそうだ。姉を助けるために果物ナイフが都合良く置いてあったから、刺してしまいました、では納得できない。
    姉を助けたい一心はわかるのだが、普通に暮らしている女性が、たとえ戦時下という状況であったとしても、めった刺しまでするだろうか? たとえ、それがしょっちゅう家に押し掛けてくる嫌な相手であったとしてもだ。
    普通の女性が、殺人までしなくてはならない理由がわからない。
    そもそも、妹に殺人をさせる物語の意図もよくわからない。

    そして、朝鮮人を匿っていることを警察に密告する女教師の行動もわからない。
    20年ぶりとは言え、かつての友人が見なかったことにしてくれ、とお願いしているにもかかわらず、簡単に密告してしまう。
    友人として、匿っている理由ぐらいは訊ねるのではないだろうか。普通はその上で、密告ではなく、まずは説得しようとするのではないだろうか。

    30後半の年齢で、まさか戦場に行かされると思っていなかった夫のことを、まるで侮辱されたように感じたから、あるいは、教師という職業柄させた行動なのだろうが、それでもなぜそうしたのかを理解させてほしかった。言葉では「いろいろ考えたが」とは言っていたが、それは伝わってきてないと思うのだ。
    女教師がスカートだったのもちょっと気になったし。

    そして、戦時中の緊迫感をなぜ感じないのだろうと考えてみたが、それは、空襲があるにもかかわらず、灯火管制を一切しておらず、電灯が明々と点いていることだ。せめて、それぐらいはするべきだったのではないだろうか。女主人の主義主張はともかくとして。

    同居しながらの交流は、歌や言葉を教えたりというシーンで少しは垣間見られたのだが、もう少しそこのところが欲しかったと思う。

    いろいろ書いてみたが、そういう意味では見入っていたのだと思う。だからこそ、いろいろと丁寧に描いてほしかったのだ。
    「物語」の「ストーリー」ではなく、「深さ」を感じたかった。

    3月10日の大空襲がラストの山場になるのだが、たぶん旅館のある本郷界隈は焼け残ったのであろう。あえて残った本郷を舞台にしたのは、なにもかも焼けて灰になってしまうのではないように、すべての罪も消えてなくなってしまってはならないのだ、というメッセージであるととらえた。
    つまり「戦争はすべて奪い去ってしまう」のと同時に、重いモノを確実に残していく。そしてそれを消し去ることはできない。

    なんでもない普通の平和な日に出会ったのならば(戦争なければ出会わなかったということもあるが)、こんな不幸なことは起きなかっただろうし、妹に殺されてしまった男も戦争に行ったことで人が変わってしまい、命を縮めてしまった。

    日本人に憎しみを強く抱いている、チョン・ヨンサンが、ラストで「日本の歌を覚えたい」と言った台詞は、救いであると思った。
  • 満足度★★★★★

    演劇界は...
    年々、巷の人間が好戦的思考になってきてるようですが、反戦主義の最後の砦になりそうなのが演劇界なのではないかと思う今日この頃。劇中に出て来た「先生」の行動が立派とされる時代が来ないことを願っています。戦争を知ってる軍医より知らない先生のほうがタカ派という描き方は、最近の例では9・11以降のブッシュ政権を思い出しました。

    ネタバレBOX

    始まった途端に隣の席の爺さんが寝始めていびきと寝言を発する始末→前の列の人が振り向くほどの騒音なので、肘でつついて起こす。解決、と思ったら、斜めうしろの人が最初から最後まで袋をガサガサ。どうやって持ってたらそんなにガサガサできるんだろう。上演中注意するわけにもいかないので、終わったら文句の一言でも言ってやろうと思って振り向いたら、該当の席にいたのは超優しい顔したおばあちゃん。文句を言う気は一気に失せました。でも、騒音はマナー違反だよ。

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