満足度★★★★
秋葉演出と通ずるような
昭和20年の東京、姉妹だけが残されて休業中の旅館に仲間を集団脱走させた上に雇い主を殺した朝鮮人2人が転げこみ…という状況から始まる静的な85分間、余分な説明を排し凝縮された感覚は SPIRAL MOON の秋葉演出と通ずるような。
舞台で演じられた出来事のみならず、そうなるに至った背景=日本の過ち…というよりも過去の歴史上の侵略者たちの横暴、身勝手さ全般について考えさせられる。
井上ひさしの『きらめく星座』や『闇に咲く花』とはまた違った形で「忘れてはいけない、風化させてはいけないもの」を語り継いで行く作品だけに折ある毎に演を重ねて欲しい。ただ、本作は前述の通り説明的な部分をかなりそぎ落としているだけに、受け取る側(特に若い世代)がそこまで読み取れるかどうかという問題はあるかも?
満足度★★★★★
時代を生きぬいた光子の物語
舞台セットといい、緑豊かな情景といい、照明、衣装諸々が素晴らしかった。
難点は客入れの際のスタッフの要領の悪さのみ。
以下はねたばれBOXにて。。
満足度★★★★
敷地内。
はい、今日からこの島は日本と呼ぶこととします、となるもっと大昔からこの島国は色々な血と関わりを持って存続してきたと思う。言葉と歌を教え合うシーン、日本語が理解できず目をまん丸に見開くチョソンヒさんの存在感に目が熱くなる。韓国公演では中立であった点も温かく熱狂的な反応と拍手があったようで、スズナリでも力強い拍手が。本は遠慮しずにもっと互いに悔しい情けない愚かな部分を露呈しても良かった。日本の裏の顔(表でもあるけど)を、みたい。真実はここでも書けないようなことが多いので人間と人間の交流に重点を置いたのが温かい印象であった。なぜか弘前劇場を思い出した。
満足度★★★★
すなおに今という時代から失われてはいけないものを感じる
物語の展開に少し必然が欠けた感じがしましたが
舞台になった時代は
まっとうな必然なんてゆがんでしまうような時代だったのかもしれません。
いろいろな工夫で
その時代の狂気が浮き上がっていました。
素直に、今という時代から失われてはいけないものを
感じ取ることができました。
満足度★★★
終戦記念日にふさわしい
事前にあらすじをざっと見て、想像していたとおりの内容。
この作品に意外性などの要素を求めるものではないので
それは全然問題ないのですが、もっと現実の不条理さに
切り込んでくれても良かったのに、と感じました。
これでは、少し戦争が美しい記憶のように感じられてしまう。
連日の空襲、明日は身の上かもしれないという恐怖、
劣勢な日本、言葉も行動も、思想までお国のため、
そんな抑制された半狂乱な時代っぽく描かれていないのが
ぼく的に、リアリティに欠けて見えたのかもしれません。
でもこの作品を終戦記念日に観れてよかったと思いました。
満足度★★★★
雨とは焼夷弾
タイトルの「雨の一瞬前」の「雨」とは、東京大空襲で無数に振り注ぐ焼夷弾のこと。
ストーリー、演出ともに、きわめてオーソドックスであったが、終戦記念日にふさわしい作品であった。
満足度★★★
人が人と出会うには苦しい時代
偶然に人と人とが出会う。
始めて会う人たち、数十年ぶりに会う人。
出会った人たちのタイミングは、「時代」という理由のために、決して最良ではなかった。
なんでもない時代ならば、なんでもない出会いだったかもしれない。
人と人が出会って、何かが生まれ、別れていく。
別れてしまえば、二度と会えない。
しかし、それぞれの中に何かが残っていった。
それは、強く残ったものであった。
舞台ならではの、人がそこにいる、という実感。
とてもいいテーマと設定だと感じた。
ただし、どうも今ひとつ、のれない自分がいた。
満足度★★★★★
演劇界は...
年々、巷の人間が好戦的思考になってきてるようですが、反戦主義の最後の砦になりそうなのが演劇界なのではないかと思う今日この頃。劇中に出て来た「先生」の行動が立派とされる時代が来ないことを願っています。戦争を知ってる軍医より知らない先生のほうがタカ派という描き方は、最近の例では9・11以降のブッシュ政権を思い出しました。