赤と黒【脚色・演出:赤澤ムック】 公演情報 赤と黒【脚色・演出:赤澤ムック】」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.8
1-5件 / 5件中
  • 満足度★★★★

    貴族なのに庶民的
    貴族の気位の高さを表す衣装や帽子、靴などがひどく滑稽だったし、
    ジュリアンの牧師を表す黒の衣装の下に赤のシャツというのも
    ひどく対照的でおかしく、とにかく衣装に目を奪われた。
    ときどき象徴的にやってるファッションショーの撮影の様子が
    楽しい。
    格調高く・・・はなかったけど、ひきつける赤澤演出だったと思う。

    ネタバレBOX

    熊本のきららのようなポップな演出に非常に惹かれた。
    主演の木村了は初々しくて良かったが、こもったセリフはちょっと
    なじめなかったかな。でも鏡の中の彼(上山竜司)は上手でかけあいが
    良かった。レナール夫人のやわらかそうな感じはマチルドと対比が
    あって実に上手い使い方だった。
    ここは小さいけど、きれいでしゃれた劇場だった。
  • POPな…
    こういうのは、絶対アリ。
    特に後半は、見入ってしまった。
    音楽のセンスが、凄く良かった。

  • 満足度★★★★

    ポッブでわかりやすい「赤と黒」
    木村氏のジュリアン、なんとまあ魅力的なことか。見た目の綺麗さは勿論だけど、野心家のくせに小心で短慮で危なっかしい感じが絶妙。

    当時の身分の差を、身なりの差~ファッションショーとしたのだと思いますが、当時と比べたら現代は、かなり身分と服装のしがらみが薄れているはずなので、当時の身分の差を現代のファッションで表現するのは難しいかなと思いました。ポッブでわかりやすく面白かったけれど、逆に「越えがたい身分の壁」という前提が薄まっちゃったんじゃないかと思うです。

    ネタバレBOX

    赤ジュリアンと黒ジュリアンの二人を登場させたおかげで、ジュリアンの内面の葛藤がとてもわかりやすくなってました。

    レナール夫人がマリア様みたいでした。

    衣装は、マチルドがハマりすぎ。「マチルドにあの衣装を着せたい」というところから、今回のポッブな設定が決まったんじゃないかと、勝手に思っちゃいました。
  • 満足度★★★★

    木村了の魅力に全てが凌駕された舞台
    題名しか知らなかった、スタンダールの「赤と黒」、それを小劇場でどんな風に料理するのか、興味と不安とない交ぜの気持ちで観に行ったら、まあ、いろいろ難点はあるにしろ、木村了の圧倒的魅力が、全ての欠点を補って余りあり、後半は、ただもう、彼の美しさにたじろぐ思いさえ感じながら、見入ってしまいました。
    フジTVのドラマや、大河ドラマで、楽しみな若手俳優が出現したと楽しみにしていたけれど、新感線と今回の舞台で、舞台俳優としても、逸材であると確信できました。

    赤澤ムックさんの作品は初見ですが、フランスの歴史に疎い観客にも、わかりやすく、噛み砕いた脚色の才には感心しました。
    ついでに、あまりの理解不能のために、途中で投げ出した「王妃マルゴ」の解説まであって、2冊の内容を勉強させてもらって、感謝したい気分です。

    フランスの歴史や、キリスト教の教義に詳しくなくても、充分理解できる構成で、本当にありがたい舞台でした。

  • 満足度★★★

    栄光と破滅
    ジュリアン・ソレルを演じた木村了がとにかく美しくてキュートです。
    男子なのに出演者の誰よりも美しいって、どゆこと?!笑
    まるでベルバラ並みのオスカルレベル!

    女性客が多いのも頷けちゃう。

    以下はネタばれBOXにて。。


    ネタバレBOX

    「若き栄光と破滅」を描いた赤と黒。
    貴族社会が戻ってきた頃のフランスっていう設定なのだけれど、舞台上にはポールに吊るした無数の衣類が目の前にどっか~ん!と設置してあるから、舞台は上品さを感じない。むしろ、庶民的な空気が漂っていて、この感覚は、これから始める上流階級のシーンを壊してしまうのではないか、と案じる。
    どうやら、赤澤ムックのお話では「ファッションショー」という意味合いもあったらしいけれど、この舞台でこの吊るし方はどうかと思う。

    小劇場でこんな演出の仕方を観る機会は多い。以前観たハイバイの「リサイクルショップ」もそうだった。それ以外にも、数多く観てるが、それはあくまでも庶民レベルの内容だから、ごちゃごちゃしていても納得するんだよね。


    ジュリアン・ソレルは、ラ・モール侯爵令嬢マチルドの愛をも勝ち取り、結婚にむけてラ・モール侯爵の承認をとり、身分や財産、肩書きを貰ったことから「神父としててっぺん取って見返してやる」というもう一方の野望はあっさりと諦めてしまう。ここまでジュリアンの鏡(もう一人のジュリアン)がジュリアンの心の友だったが、有頂天で傲慢になっていくジュリアンは彼の「司祭になる夢はどうした!」と司祭に拘る彼の導きや言葉が疎ましくなって、捨ててしまう。
    トントン拍子にジュリアンのサクセスストーリーは完結したかにみえたが、レナール婦人との過去を暴露されてしまう。そしてレナール婦人からの手紙には「他人の家庭に入り込んで、その家庭の女性を誘惑してる。」と書かれてあった。
    手紙は婦人が若い神父に無理に書かされたものだったが、経過を知らないジュリアンは絶望してしまう。それはジュリアンの心にはいつもレナール婦人の美しく上品な笑顔があったからだ。

    ラ・モール侯爵は「結婚を許さない。ナポレオンも100日天下だった」と言い、ジュリアンの結婚は破棄されてしまう。
    ジュリアンは自暴自棄になって教会でレナール婦人を銃で撃ってしまう。私を撃って!とまでに両手を広げるレナール婦人に「どうしてこんな時まで美しいんだ・・。」と言いながら・・。

    裁判の当日、ジュリアンは「後悔しています。平民があつかましくも上流社会に入ろうとしたから。神様ってなんですか?神よりも自分のプライドとか自分の野心を信じてやってきました。」と言い放つ。
    これによって彼への評価は悪くなり小さなヨットが濁流に呑まれるごとく死刑判決が下る。

    世の中で一番難しい事。それは自分に正直に生きる、ということだと思う。

    「すべて良し!」 ジュリアンが最後に放った言葉。


    メインキャストの実力のある演技力は流石!
    ただ、ファッションショーに視点を置いたせいか、舞台での慌しさが芝居の優雅さを邪魔したように感じた。貴族社会という場面だけにポールに吊るされたにごちゃごちゃした衣類や、キャストが着替えるさまも同じ舞台で見せる設定は中々、ヨーロッパの貴族という空想の世界に入れなかった。
    つまり、常に現実めいたその仕草が空想する余裕を与えなかったのだ。。

    追伸:アフタートークはグズグズ。やっつけ本番なんでしょうか?
    劇団によっては素晴らしいトークを催すのに、遅くまで残った観客に失礼なトークでした。

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