『F』 公演情報 『F』」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
1-20件 / 37件中
  • 満足度★★★★

    みたー
     確実に死に近づいてゆく人間と、廃棄さえない限り存在しつづけるアンドロイドという関係は、ブレードランナー(「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」)の逆バージョンのよう(ブレードランナーは、寿命をプログラミングされたアンドロイドが死に恐怖する話)。人間もアンドロイドもたいした違いはないのじゃないか、と考えさせる点は同じですね。

     アンドロイドは、主人(人間)の最大の利益は"生命を守る"ことだと考えているようです(花火をしたいという女の願いを遮って、身体を休めることを主張しているから)。
     治験を続ける女に対し、アンドロイドは他の治療法ならば助かるのではないかと提案します。しかし、「たとえ助かっても、今の報酬はもらえなくなり、元のひとりぼっちの生活に戻るだけと」女は、その提案を受け入れません。
     命は地球よりも重いというアンドロイドに対し、そんなのはウソッパチだという女。

     ここでアンドロイドがどう学習したのかは興味深いところ。主人の願いは、命を失っても今の生活を続けたいということですから。もし、女が「私を殺して」と願ったらアンドロイドはどうしただろうか?

     やがて女は命つきます。切なさを感じないわけではありませんでしたが、それ以上に「看取ってくれた人がいてよかったね」という気持ちがはるかに強く生じました。一人でしんでゆくのはあまりに悲しすぎる、だからアンドロイドをそばに置いたのでしょう。

     印象に残った場面がふたつ。

     1.二人がキスをする場面。アンドロイドの表情が無表情だったこと。

     2.女が亡くなる場面。目をあけたまま、電池が切れるように動かなくなりました。それは人間というよりもアンドロイドのようでした。

     この2つがなかったら、単なる甘ったるいお話になっていたかも。

     人間の望むことが、最初は理解できないアンドロイドですが、人間同士だって初対面から理解しあえるんなんて滅多にないですし、たとえ長く付き合っても、このアンドロイドのように理解してくれるとは限らないわけです。そういう意味では、この作品、ハッピーエンドなのかもしれませんね。

  • 満足度★★★★

    Fって何?
    four(四季)だと私はおもいました。でもいろいろなうけとめかたができるFだと思います。

  • 満足度★★★★

    Fabricated Fact
    「F]とは何か・・・というのがアンケートにあったんだけど、作者の宮森さんは実のところ何をイメージしていたんだろう?
    常識的には、"Fake"かなと思ったんだけど、"Future"かもしれないし、"Fiction"かもしれない。
    でも、個人的にはこれは、"Fabricated Fact"ではないかと。
    師匠筋にあたる平田オリザ氏が今年の夏に阪大・石黒教授と取組む「ロボット芝居」のプロローグ的な作品なのかもしれない。

  • 満足度★★★★

    どうにもせつない、やるせない。
    見終わって、普通に近くにいる人を大事にしなきゃ、とか自分のためだけじゃなく命を大切にしなきゃって思った。染みる。96分。

    ネタバレBOX

    近未来、過度な格差社会の中、少女が命と引換えに得た大金で得たのは高価なアンドロイド。でも本当に欲しかったのが"物"ではなくて、分かり合える大切な相手、というのにグッとくるものがある。

    一貫して彼女の利益を守ろうとするアンドロイドと見返りを求めずに思い出と通い合いを求める少女。見た目以上に平行線な二人の在り方がすごく心に響く。それはアンドロイドが学習していき、見た目の距離感が近くなればなるほどなおさらに。

    役者は二人とも達者。多田淳之介氏の役者姿はやはり魅力的。端田新菜嬢の全開の少女っぷりとのタッグで見せる四季の一コマ一コマは緩急のつけかたも含め絶妙。
  • 満足度★★★

    浴衣を
    着せる場面、良かったです。

  • 満足度★★★★

    切ない
    切ない。女の感情がぐるぐり変化していく。
    どうしょうもないこと言うね、女の人は。でもだから女の人なんだろうな。

    東京デスロックというユニットなのに東京での上演を封印した東京デスロックの多田淳之介、彼が俳優やってるところなんて滅多に観られないから嬉しかった。今度はデスロック、横浜でもやってくれるらしい。キラリは遠いもん。

    照明が凝ってましたね。せりふの進行にリンクしめまぐるしく、赤や青が入りました。けどベースとしてホワイトでがつーんと照らしてるから、赤が入ろうが青が入ろうが、微妙なニュアンスが変わる・・・?くらいの変化しかない。そんな照明演出のことをあれこれ聞いてみたかった。

    いいホンだなと思ったので、台本も購入。ホチキスで止めただけのものだけど、500円って安いでしょ。

  • 観劇
    観劇いたしました。

  • 満足度★★★

    好みではなかったけれど
    素敵なお芝居でした。二人の役者さんもとても良かった。

  • 満足度★★★★★

    2回目
    観ました。

  • 満足度★★★★

    結局ヒトはわかり合えない、けど、ヒト同士だから救われることもある
    アンドロイドの台詞のトーンが変わってからの、舞台での空気の変化が素晴らしいと思った。
    予定されている結末へ一直線なのだが、それでも見入ってしまう魅力がそこにあった。

    ネタバレBOX

    フライヤーなどの説明を読んで「ああ、アンドロイドねぇ」と思いつつも観劇。
    つまり、アンドロイドという生命のないモノから、「無生物・生物」という境界を経て、命みたいなものを感じるような作品なんだろうと考えていた。
    確かに、そんな糸口を見せながら、浮かんでくるのは、人の「孤独さ」。
    そして「不自由さ」。

    一生懸命努力しても他人のことはわからない。
    それは人の心がわからないアンドロイドだけのことではない。
    察しの悪い人、鈍い人だけのことでもない。
    誰も他人のことなんかわかるはずがない。

    人間同士がわかり合っているように見えるのは、「曖昧さ」があるからで、その曖昧さ、ゆるさの隙間に相手の感情を入れることで、「わかったような気がする」だけなのではないだろうか。
    お互いがその「曖昧さ」の中にお互いを入れ合うことで、「わかり合った感じ」が産まれてくるのだろう。

    アンドロイドには、もちろんそういう曖昧さがない。
    だから、わかり合うことができない。
    お互いにもどかしい関係となる。

    タイトルの「F」には「Free」を一番に感じた。

    お金や階級みたいなものに縛られていた女が、お金で自由を買ったようでも、やっぱりお金に縛られて、そのために時間に縛られ、さらに部屋に縛られる(外出できたのは春だけだったようだし)。アンドロイドも契約に縛られ、ご主人様に縛られる。

    自由がまったくない。

    お金で買った自由で、パートナーとして選んだのは、お金で買える相手。
    唯一自由であるはずの、心の自由までも失ってしまった。

    女は最後に「自由」について考えが及んだのだが、時すでに遅く、自分はどうにもならない状態にあった。だからこそ、アンドロイドに「逃げろ」と言う。
    時間は戻らず、自由は誰の手にも入らない。

    アンドロイドは、なまじヒトガタをしているだけに、また反応が言葉で返ってくるだけに、始末が悪い。
    人との交流を期待してしまうからだ。これだったら、テレビとか電子レンジとかに向かって話していたほうがマシだ。

    女が欲しかったのは、「パートナー」であり、「どこまでも従順な召使い」ではない。
    「そんなことやめろ」と強く言ったり、女がわがままを言ったら、怒ってくれたり、反論してくれるパートナーだったはずだ。

    たぶん今までの生活でもそういう相手がいなかったから、女はそういう相手が必要だったことに気がつかなかったのだろう。もっとも、そういう相手がいたら、こういう危険な治験には応募しなかっただろう。
    女もそのことに薄々気がついてくる。

    だって、数カ月もともにいるのに、女はアンドロイドをパートナーとして認めていないのだ。ペットにだって名前を付けるのに、アンドロイドは「オレ」としか呼ばれない。一緒にやっていくつもりだったら、名前ぐらい付けるだろうと思う。
    たぶん、自分の時間と引き換えにアンドロイドを手入れた選択が失敗だったことは、アンドロイドと最初に話したときに気づいてしまったのではないだろうか。

    相当哀しい物語だ。
    アンドロイドが男性の形をしているということも含めて。
    (男性型を選択したのは女なのだから)

    「人はわかり合えない」「人は孤独だ」と書いてきたが、それでもやはり、ヒト同士ならば「わかり合えた」ような「幻想」を抱くことができるだけマシだ、ということか。
    何でも自分のことをきいてくれる人よりも、ぶつかり合いながらも語り合ったりできる相手こそが人には必要なのだろう。
    そういう関係は、本当の意味での「救い」であろう。



    物干に衣装が掛かっていくことでの時間の積み重ね方、そして、舞台をとてもうまく広がりと緊密さをもって活用した演出の巧みさは素晴らしいと思った。

    また、出演の2人もとてもよかった。
    女の声のトーンの響きが、響けば響くほど空しくて哀しいのも良かった。

    そして「小さい秋」は、とても美しい歌だった。
  • 満足度★★★

    デスロック
    デスロックな多田淳之介さん。演出が違うので当然と言えば当然なんだが、この方がお芝居したらどうなるんだろうと初見で向かう。繊細なのもいいけど、ワイルドなものもみてみたい。

  • 満足度★★★★

    叶わない望み
    女とアンドロイドは、哀しいことに女と男ではない。
    いや、あるいは幸せなことに。

    「あなたのことを思えば思うほど、あなたが遠くなっていく。」

    ネタバレBOX

    最下層の人間と、富裕層の人間。
    人間とアンドロイド。
    お金のために命を売る。

    わかりやすいキーワードで、向かっていく結末は明らか。

    じわじわと、「定番」な流れで進んでいくストーリー。


    それでも、ずっと心が揺さぶられる。

    演劇とは 小劇場の醍醐味とは
    目の前で手に取るように伝わってくる感情を、同じ空間で体感することなんだな、と心から実感。

    端田新菜と多田淳之介。
  • 満足度★★★★

    少女マンガのような
    SFチックな少女マンガのような舞台だと思った。
    とても切ない。
    二人の演技は心に沁みた。特に端田は、声と全体の雰囲気はかわいらしいのだが、表情に何かしら不安を呼び起こすような要素があり、この非現実的な物語にリアリティを与えている気がした。

    ネタバレBOX

    「人の命は地球よりも重い」
    物語の中で、アンドロイドは云い、それに対し、端田は、「そんなの嘘だ」と云う。
    現実の世界を見渡せば、誰もが端田のセリフに共感するだろう。人の命は、どんどんと軽くなってきている気がする。というよりも、自分で自分の命を大切だと感じられない人が増えているのか。所詮私の命なんて。そういうつぶやきが街には溢れている気がする。
    彼女は、空虚な自分の未来を捨て、代わりに金とアンドロイドを手に入れた。彼女はとても寂しかったのだ。アンドロイドとの生活で、その寂しさから逃れようとした。だが、アンドロイドはあくまでもアンドロイドで、人間ではないので、その関係には歯がゆさがある。その歯がゆさ、満たされなさが、切なさを生んだ。
    終演後、頭を下げ顔をあげた時の端田の顔が、それまでのどの瞬間よりも一番無表情だった。それがとても印象に残った。
  • 満足度★★★★★

    せつない芝居でした。
    終演後、いろんなことを考えながら電車で帰りました。端田さん多田さんよい芝居でした。

  • 満足度★★★

    個人的にはいま1つ
    最近、評価高いユニット 「青年団リンク・二騎の会」
    この公演も評判良いけど、
    どうも個人的にはいま1つだった。

    近未来、アンドロイドと女の話なんだが
    ストーリーの展開が少なくなくて
    いいシーンはあるけど、全体としてはなんだかなー。
    「秋」の冒頭は理屈抜きでグッと来た。
    むしろ、考えるより感じる舞台なのかな。

    端田新菜さん
    最近よくこの人の出てる舞台にあたる。

  • 満足度★★★★

    ほんとうに素敵なタイトル
    と、終わってから強く感じる。じわじわ。

    ネタバレBOX

    女性とアンドロイドの話なんだけど、
    それが逆に人間の男女のありようを浮かびあがらせてきて。
    男性的には、相手を喜ばせようとして空回りする感じが、かなり胸に刺さる…。

    一方では、ヒロインの心象にも共鳴してしまうわけで、
    ふたり芝居でどちらにもこころを奪われたら、
    そりゃあ、満ちたりた時間を過ごせるよね。

    リーディングのGirl's ver.は、
    女子高生の、大人になるとすべて終わり、みたいな終焉感と、
    将来に明るい展望を思い描けない時代の気配が重なり、
    タイトルのFが「Future」に思えたけど、
    本編は、
    「Four seasons」「Furyu(風流)」「Fashion」なんて感じ?
    季節を楽しんだり、着飾ったり、女性が『死ぬ前にしたい10のこと』の愛らしさに、
    けっこう切なくなってしまったので。

    自分だったら、この状況でどう生きるんだろう?
  • 満足度

    見せたかったのは、一人と1体の日常?
    季節を追ってゆくという話には共感できたが、そこ以外の設定の吐露や、
    観察者=観客に対してのメッセージが希薄に感じられました。

    ネタバレBOX

    繰り返しますが、観客に見せたかったのは。
    この特殊な環境における日常だけですか?

    なぜこの女の子が選ばれているとか、
    外の状況に対する説明とか、
    季節を巡るイベントの情報はどこで得ているとか、
    全てすっ飛ばしていたと見受けますが。
    この説明が無いとSF好きの人間は、食いつき悪いと思いました。

    死にオチでしたが、その後が皆様の想像にお任せします・・・。
    ですか?設定がレトロ過ぎて、ひねりが無いのが悲しすぎました。
    とても残念に思います。

    着物の着付けと、「花火を見る」には、なかなか上手さを感じました。

    とても元気な「小さい秋」の独奏でしたが、
    ここまで元気なら、この部屋よりの脱出試みて挫折・諦めた話が
    あってしかるべきだったとも思うのですが。
    なんかいろいろと残念に思いました。
  • 満足度★★★★

    とても良かったです。
    観られたことに感謝。
    まさか、あんなに泣かされるとは・・・。

    ネタバレBOX

    「ずっと一緒にいられるよ」
    優しい嘘がつけるようになるくらいに
    学習したアンドロイド。
    でも、それは愛情じゃない。
    「俺はおまえの利益を守る」
    プログラミングの所為でも、
    愛情があるように見えてしまうから
    尚の事ふたりの微妙なズレが切ない。
  • 満足度★★

    『F』Girl's ver.リーディングを観た!
    観なければ良かった、と激しく後悔。前回観た端田と多田の二人芝居が切ない感情を表現した舞台だった。だからこちらも観ていて息苦しくなったほどだった。
    ところが今回の後藤麻美&長野 海バージョンはワタクシが期待していた感情を重い蓋のようなもので封じ込める強引さがあった。それでもまだ出たがっている想いというしっぽを、「これが最後の最後!」なんて笑いながらいとも簡単に押さえてしまったのだった。

    以下はネタばれBOXにて。

    ネタバレBOX

    脚本は同じ。しかし、めちゃくちゃだった。よくもまあ、これほどまでにふざけた言いあいが出来るものだと、二人の表情やセリフの語尾を反芻したほどだ。「小さい秋」を歌う場面でも、がっかり。音程が外れてて、しかも何の感情移入もない歌い方だ。薄っぺら。そして胸の奥が急に冷え冷えして、今までたしかにそこにあった何かがすうっと消えうせてしまう、そんな感じだった。そして落胆した。
    ワタクシはもっと違うリーディングを観たかったのだ。違うふうに聞きたかったのだ。

    ここでのアンドロイドはAを「あんた」と呼ぶ。そして自分を「あたい」
    それだけで、はすっぱな感じだ。そして後藤麻美の声がやたら大きくてふざけてて、悲しい場面でもにやついてて、情緒もへったくりもない。要するに品がなく不躾でぶっきらぼうに元気すぎるアンドロイドだ。アンドロイドというより、ガンギャルみたい。そしてAも悲しいセリフの場面なのに、そんなギャルアンドロイドと視線を合わすたびに可笑しそうに笑う・・・笑う・・・笑う。
    だから、Aが死んでもアンドロイドは「ふぅ~~ん。」って感じなのだ。それを受けて、ワタクシも「ふぅ~~ん。」って感じだ。つまり、Aに同情すら湧かないのだ。

    キャラクターの設定が違うって思った。こんな情景は観たくはなかった。息をのむほどの感情のブレが欲しい。不意打ちのような絶望が欲しかったのだ。ボクシングの世界でいきなりとび蹴りを見舞われたみたいな衝撃。そして友情。・・・だから違う!、違う!って悲鳴をあげたかったけれど、その感情の輪はぎこちなくほどけて、なんだか空しかった。それで劇場から外に出て、雪をみて、ますます空しくなったのだ。

  • みた。
    楽しめました。微妙な切なさと役者さんがちょうどいい。

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