そして、死んでくれ 公演情報 そして、死んでくれ」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.4
1-8件 / 8件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    真っ先に浮かんだのは『劇団チョコレートケーキ』の香りだった。会話劇を軸とするのだが、歴史の重厚感を帯びており、空間が成立している。役者の佇まいに、無色のエネルギーを感じるのである。
    2.26事件の首謀者とされた青年将校は「純真」だったと思う。その後の大政翼賛会では統制派が衣替えして、皇統派の主張を具体化したように装ったが、実のところは彼らが糾弾した軍財閥のレジームだった。国から梯子を外される過程を、観客は知っている。だからこそ、その熱に共感せずにはいられなくなる。

  • 映像鑑賞

    満足度★★★★

    地元だけに劇場で観劇したかったが予約できず配信を視聴。(映像は良いが音声はやはり難があり、劇場で観たかったと後悔。)
    数年前に観た同じ作・演出者の舞台はいまいち納得に届かなかったが、今回は二・二六事件が題材というので「おや」と思い鑑賞。結論的にはドラマの趣旨に同意でき、演劇表現として(まずは戯曲、そして役者達の演技)明確に出ていた。以前の作に近い「鬱々」な世界ではあるものの、史実を題材にとり、パロディに走らず事件の文脈を描き出そうとした事により、試された作者の筆はある成果を得たという印象である。(あくまで過去の一作との比較でだが。)
    その一つは政治家、役職にある者の保身、狡猾さ、片やこの日本において理念が高々と語られ、それが遂げられる事の「可能性の薄さ」「絶望」。この気分は現在の日本にオーバーラップする。
    実際の二・二六事件は理念と「血」(若さ)の先走りで、殆ど右往左往に近い実情だったという読み解きもある(小室直樹による)が、「今」求められるもの、という視点ではこの二・二六の顛末の描写はオーソドックスに見えながら「お涙頂戴」に頼らず、きっちりと敗北を描いた。
    この気分は50年前決起し割腹自殺した三島由紀夫の「時代への気分」と恐らく同種と想像する。それほど日本は病んでいる、という認識からはコミュニズムもナショナリズムも単なる名称、その内実に比して些末な差異に思えて来る。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    どうしても観たくて、川崎で遠いけれど頑張って行った。素晴らしかった。旗揚げ公演とあったので、いろいろ、バタバタするのか少し心配だったが、全くそんなことはなく、完璧だと思った。
    小道具、衣装もしっかりしてるし、役者さんの演技も熱演でスゴい。
    テレビだと少し退屈なのだが、この劇団さんのお芝居はおもしろかった。
    最初から最後まで夢中で観てしまった。
    ひとつ気になったことは、始まる前の実況中継みたいのは合っていないような気がする。
    軍歌をながすのはいいと思う。うるさいだけで、せっかくの作品が台無しだなあ、と思ってしまった。
    心にしみるような、美しい曲のほうが盛り上がるような気が...

    女性の役者さん、花を添えた感じでよかった。家族の悲しみが伝わった。
    良いお芝居で、感動しました!!!



  • 実演鑑賞

    良い舞台だったと思います。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    強烈な作品。85年前に起こった陸軍“皇道派”によるクーデター未遂、「二・二六事件」を真摯に叩き付ける。上演前会場では事件の半年後に開催されたベルリン・オリンピックのラジオ実況中継が延々と流され、当時の空気感が醸成される。事件に興味を持ったなら、笠原和夫脚本の映画『226』が判り易い。(映画の出来は悪い。)

    磯部元一等主計〈=大尉〉(小山貴司氏)、映画版では竹中直人。一線を越えた狂気のテロリストの目をしている。
    栗原中尉(豊田豪氏)、映画版では佐野史郎。兵士を率いて行進する写真が有名。
    安藤大尉(ナカムラユーキ氏)、映画版では三浦友和。決起への参加を最後まで保留し続ける。どことなく奥田瑛二に似ていて思慮深く理智的。
    野中大尉(中西浩氏)、映画版ではショーケン。「我狂か愚か知らず、一路遂に奔騰するのみ」との句が有名。
    河野航空兵大尉(熊谷嶺氏)、映画版では本木雅弘。思い詰めた文学青年の繊細さを感じさせる。
    真崎大将(織田裕之氏)、映画版では丹波哲郎。斉木しげるっぽい、すっとぼけたコンニャク的応対がリアル。

    この国を良くする為に、1483名の兵を率いて複数の権力者を暗殺し警視庁を占拠。「昭和維新」を掲げ、天皇親政の軍事国家の樹立を目指す。ほぼ史実通り、徹底的に削げるだけ削ぎ落とした出演者九人だけの密度の濃い「二・二六」。思い詰めた観念が迸り、噴出する情念が鮮血となって真白な雪を染め上げる。劇団チョコレートケーキが好きな方にお勧め。”暴力“とそれを突き動かす“強靭な精神”だけが世界を変える。

    ネタバレBOX

    物凄く面白いのだが、話の納め方が気に入らない。天皇に逆賊と罵られ、酔いが醒めたように一転して矛を収める一同。独り安藤の怒りがクライマックスになるのは映画と同じ。「天皇を敵に回してでも戦い抜くのではなかったのか?」、全てを捨てて参加を決めた安藤の慟哭。ここが日本人の限界なのだろう。
    決起将校の妻として女優が二人登場するのだが、余り必要なシーンとも思えない。もう少し工夫してこの話を広く多面的に語れる役柄にするべきだった。

    当時の日本は謂わば巨大な宗教団体であった。昭和天皇が教主(本尊)である。昭和恐慌にて東北の農村が貧困に喘ぎ、対極的に癒着した政財界は肥え太り、貧富の差は増々拡大するばかり。生活の立ち行かない家族を日本に残して、満州に派兵される若き兵士達。統制派(=陸大出のエリート、キャリア組)と皇道派(=地方農村出身者、戦地で任務に当たる)の対立もあった。「この”宗教“は正しいのに、この惨憺たる現状は運営している執行部が腐っているからだ。腐った奴等を斬奸して正しい組織に立て直そう。“教主”ならば我々の真意を必ず理解してくれる筈。」、そう信じて起こしたクーデターだったが、意に反して“教主”は激怒した。「蹶起(けっき)部隊」を「叛乱部隊」とし、自ら近衛師団を率いて鎮圧するとまで言い放つ。“教主”への過度な幻想と誤解が生んだ悲劇。そもそもこの“宗教”は果たして本当に正しかったのか?「天皇陛下、お先に参ります!」

    天皇を守る為に自らが全ての汚名を背負うと云う忠臣的ヒロイズム。その美学の名の下に隠れた醜い自己肯定こそが、歪な現実から目を背けるこの国独自のシステムとして機能してきた。
    そんな気持ちの帰り道、川崎駅で顕正会(日蓮宗系の新興宗教)の勧誘に遭った。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     日本の本質を抉った。深みのある作品。ベシミル。2人の中核的登場人物の妻が、中盤までと終盤での歩き方の差で事態の質的変異を如実に表している演技や、服装や身だしなみ、小道具等がキチンと時代を表している点。音響・照明、脚本・演出、妻たちの演技のみならず役者全体の演技も良い。内容が現代に通じている点もグー。華5つ☆(追記後送)

    ネタバレBOX

     1926年、2月。25日は雪が降った。事件当日26日も雪で、皇道派隊付青年将校に率いられた1483名の下士官・兵が決起。指揮した将校らが君側の奸と見做した総理大臣・大蔵大臣・前内大臣・教育総監・侍従長及びもう一つの国家の暴力装置・警視庁そしてメディア等を襲撃した。所謂2.26時件である。彼らの拠って立つイデオロギーは北一輝の「日本改造法案大綱」と謂われることがあるが、実際には今作に登場する磯部や栗原らに影響を与えたとされ、寧ろ隊付青年将校に共有された念としては矢張り北が指摘していた‟君側の奸“という発想だったとみることができる。因みに当時の陸軍内部には皇道派と統制派の派閥争いがあった。閥の違いは所謂参謀や将官の道が開かれている陸代卒の高級将校の多くが国家を総動員して戦争を遂行すべきだという主張をしていた統制派に対し、農村等から集められた下士官・兵らと実際に接し隊付将校として彼らと行動を共にしているが故に、民衆の苦境即ち事ある毎に姉妹が身売りされ苦涯に身を落とすような苦境を実体験として知り抜いており為に民を無視する日本の政治に対し、人間として当たり前の義憤を常日頃から感じ心を痛めていた皇道派に属する者が多かった。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    重厚・端正といった印象の公演。
    物語は、昭和11(1936)年に起きた二・二六事件の当日とその前・後日を青年将校の視点で描いたもの。丁寧な作りだと思うが、説明にあった「コロナ禍を生きる全ての人に問う。私たちが目指す未来とは?」に直結する描きではなく、史実と思われることを順々に展開し、そこから観客が各々想像を膨らませてほしいと…。上演前から流れている放送は、事件の半年後に開催されたベルリン・オリンピックの競泳実況「前畑ガンバレ!」が、何となく現代に繋がってくるが…。
    (上演時間1時間40分)

    ネタバレBOX

    舞台美術、雰囲気は中央に大きな両袖机、上手・下手側奥に別(独白)スペース、奥は壁に沿って少し高くした通路のようなもの。全体的に薄暗く、机や色調から重厚さを漂わす。もちろん、物語も要人殺害というクーデター(未遂)であり笑いといった緩める場面は皆無。冒頭、登場人物が横一列に並びピン照明に浮かぶ姿は神々しい。

    梗概…昭和恐慌により拡大する貧富の差に皇道派の青年将校は大臣・官僚を抹殺し天皇を中心とした政権を作ろうと2月26日、雪の降りしきる夜にクーデターを実行。総理、内大臣、侍従長等を暗殺。一時軍部は彼らの行動に理解を示し、クーデターは成功したかに見えたが、それは事態を収拾しようと画策した政府による時間稼ぎ。舞台では、真崎甚三郎大将(軍事参議官)にその役どころを担わせている。さらに総理が生きていた事がわかると事態は一変する。政府は天皇の勅命により原隊に戻るよう呼びかけ軍に戻ろうとする。しかし当初から消極的で、やるからには逆賊になる覚悟だった安藤大尉は…。この話は映画「226」と同じで、何となく映画の舞台化といった感じだ。主人公と言ってもよい安藤大尉の態度や行動も同じ。この事件の背景にある貧しき人々、特に東北地方の農村部の事情が語られる。Wikipedia他、多くの本やネット情報(内容の濃淡や真偽不明も含め)に概要が記されており、さして目新しい情報ではない。

    翻って現代をみると、コロナ禍によって既に日本社会にあった問題、すなわち労働問題や経済格差(貧困)などが鮮明になった。コロナ禍によって非正規雇用、自営業、サービス業を営む人たちが職を失ったり派遣切りにあう。社会的弱者に対する政治(社会)の底が抜けた瞬間を見たのだ。そして2020東京オリンピックの開催を巡って右往左往する政府。政治(不信)に目を向ければ森友学園問題やキャリア官僚によるコロナに係る給付金詐欺事件等、解決すべきこと。さらにコロナ不況への対応等、問題は山積している。二・二六事件当時と時代や状況の違いがあり、一概には論じられない。しかし、今起きていることは足元だけではなく、先々を考えなければいけない。二・二六事件の半年後のオリンピックで日本中が沸いたらしいが、その足元では軍靴の音が大きくなり始めていた。現代の足元に忍び寄る不気味な事とは…しっかり自分で状況を見極め、考えることが必要になっている、そんなことを思わせる公演。

    舞台は、薄暗いだけに照明効果(個人への青白いスポット、全体への暖色といった使い分けや階調)は印象的。また天井や床から人物への垂直照射はシルエットを作り哀愁が漂う。登場人物は9名(うち女性2名)だが、女性は将校の妻役ということもあり、登場場面が少ないのが残念。それだけに重苦しい状況が続く中で、妻との会話でホッとさせたり惜別といった感情で揺さぶる。男優の軍人役は髪を短く刈り込み、将校の兄役だけ少し長髪。そして軍服姿が凛々しく、姿勢や立ち居振る舞いもそれらしい。女優2人は着物姿で楚々としており、夫を支えるという健気さ。外見からの役作りに好感。そして役者陣のバランスの良さ、演技は熱演でとても旗揚げ公演とは思えない。小道具も軍刀や「尊皇討奸」と書かれた日の丸旗などによって状況説明する。音響は暗転時のピアノの単音と劇中で将校たちが歌う「昭和維新の歌」が印象的。先にも記したが、全体的に丁寧な作り。
    ただ、直截的には「二.・二六事件」という史実の狭い世界を描いているようで、勿体なかった。

    次回公演も楽しみにしております。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2021/10/13 (水) 19:00

    100分。休憩なし。

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