そして、死んでくれ 公演情報 M²「そして、死んでくれ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     日本の本質を抉った。深みのある作品。ベシミル。2人の中核的登場人物の妻が、中盤までと終盤での歩き方の差で事態の質的変異を如実に表している演技や、服装や身だしなみ、小道具等がキチンと時代を表している点。音響・照明、脚本・演出、妻たちの演技のみならず役者全体の演技も良い。内容が現代に通じている点もグー。華5つ☆(追記後送)

    ネタバレBOX

     1926年、2月。25日は雪が降った。事件当日26日も雪で、皇道派隊付青年将校に率いられた1483名の下士官・兵が決起。指揮した将校らが君側の奸と見做した総理大臣・大蔵大臣・前内大臣・教育総監・侍従長及びもう一つの国家の暴力装置・警視庁そしてメディア等を襲撃した。所謂2.26時件である。彼らの拠って立つイデオロギーは北一輝の「日本改造法案大綱」と謂われることがあるが、実際には今作に登場する磯部や栗原らに影響を与えたとされ、寧ろ隊付青年将校に共有された念としては矢張り北が指摘していた‟君側の奸“という発想だったとみることができる。因みに当時の陸軍内部には皇道派と統制派の派閥争いがあった。閥の違いは所謂参謀や将官の道が開かれている陸代卒の高級将校の多くが国家を総動員して戦争を遂行すべきだという主張をしていた統制派に対し、農村等から集められた下士官・兵らと実際に接し隊付将校として彼らと行動を共にしているが故に、民衆の苦境即ち事ある毎に姉妹が身売りされ苦涯に身を落とすような苦境を実体験として知り抜いており為に民を無視する日本の政治に対し、人間として当たり前の義憤を常日頃から感じ心を痛めていた皇道派に属する者が多かった。

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    2021/10/14 15:48

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