花のもとにて春死なん 公演情報 花のもとにて春死なん」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.5
1-4件 / 4件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    『老いと哀しみのボレロ』みたいな感じ。『カッコーの巣の上で』の呆け老人ホーム・バージョンか。お漏らし、異常性欲、記憶障害、フラッシュ・バック・・・、兎に角リアルで気が滅入る。老いの醜さを面前に突き付けられていくような感じ。唐突に挿入される現代舞踊家仲野恵子さんの舞踏は子供が観たらかなりのトラウマになろう。ワンツーワークスの『死に顔ピース』の印象が強いみとべ千希己さん、タンゴ好きの元女優役を好演。セクシー担当の看護婦役、伊集院友美さんの見せ場も多い。二枚目蓉崇氏がひたすらギャグ担当で驚いた。

    ネタバレBOX

    目茶苦茶期待していただけにどうも違った。自分の感性が腐っているのかも知れないが、全くぴんと来なかった。ラスト、姥捨山法が施行され、80歳以上の老人は各地区の十代の子供達に生殺与奪権を握られることとなる。孫娘達がやって来て拳銃や丸太を使いゲーム感覚で皆を惨殺していく。喜劇にも悲劇にも振り切れていない消化不良のまま終わってしまった。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     とある老人ホームに入居した老人たち。齢を重ねれば誰しもが避けられぬ老いた体を抱え家族と離れざるを得ぬ様々な状況を殆どの者が負って、ここで暮らす。

    ネタバレBOX

    医師・看護士の人数が充分では無い為、入居者の中から代表者や世話人が決められその任に当たっている。彼らの中には寄る年波にも関わらず自らの思惟‣思考を深化させることができずとどのつまり、老い乍ら性に吐け口を求める者、己の性向に身を委ねる者、認知症を患いながらもその事実を忘れ自分達が建てた家に戻りたがる者、自らの生きて来た職業や芸事への未練を断てない者、伴侶と一緒に入居したものの一方は病み、遂には絶命したにも関わらず、精神的苦痛故その事実を認められない者等々、が同じ屋根の下で暮らしているが、彼らの愉しみはタンゴ等のダンスを踊り、生きる実感を手にすることである。然し施設長は、ダンスを禁じてしまう。然しスタッフの数は少なく、老いたりと雖も数の上では収容されている老人の方が圧倒的に多い。そこで数を頼んで再びタンゴの宴が実行されるが、それも束の間、突如日本国では姥捨山法が可決され速やかに実行されることとなった。而も法の実行主体は、各地区の若者に決まった。若者達の判断次第で計画は余計者排除へ向かい役立たない者は抹殺の憂き目に遭うこととなった。舞台上で、銃殺、撲殺等が実行される。如何に舞台上の出来事とはいえ、音響や照明を伴い視覚的にも実見されるこの光景はインパクト充分である。殊に自分の拝見した回は年を召した方が多かったので老いの実感と共に相当のインパクトがあったと思われる。また実際の日本という国は国連に毎回指摘されているように人権感覚というものが極めて希薄な国である。殊に為政者のそれはどうしようもないレベルだ。この実態が民衆に日々経験されているだけに説得力がある。
     タイトルからは誰しもが西行の名歌を思い起こすであろう。老人たちの想いも同じである。せめて死ぬ時には華をその縁としたい。このような念は、憂き世を生きる総ての真っ当な者に共通する願いであろう。死ぬ際にすらそれが許されぬ国、それが現実の日本だ、ということにはしたくあるまい。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     現代社会の断面を切り取った問題作にして衝撃作。老人問題は、“人生100年時代”どころか「生きろ」ではなく「遺棄老」といった扱いである。
     戦後のベビーブームに生をうけ、増えた人口のままに数々の流行と需要を作り、高度成長期、バブルとその崩壊を経て良し悪しはあっても日本経済を支えてきた。一方で「一億総中流」といった意識、過当競争、過剰設備を残したこの世代が年老いた今、日本人の戦慄の未来、いや現在を描く。初演が1985年、なんという時代の先取りか(脚本の一部書き直し、配役は全員新規メンバー、演出も新たにしていると)。
     また、相手の気持や立場を考える、人間はひとりで生きているわけではないーこんなもっともらしい、そして きれいごとを言う典型的な日本人への自業自得(自立しない、他人任せ)ではないのかといった逆説的な問題意識も突き付けているようだ。
     日本の今、そして狂気の老後問題を感じたければ、この作品を観たまえ!と言いたくなる(年齢がそう言わせる)。
     物語のラストは、観客の受け止め方が異なるかもしれない。何もあそこまで描き切らずとも、観客に委ねてもと言った感想があるかも…。事実、自分も観劇直後はそんな思いもあったが、帰宅する頃にはあそこまで描くことで、より老人問題が鮮明に出来る。敢えて踏み込んだ領域とも言える。観応え十分。
    (上演時間2時間 途中休憩なし)

    ネタバレBOX

    舞台は「こころの里 桜の杜むつみ苑」。低い段差、中央奥は演壇のような高さ。所々に萎れた草というシンプルなもの。中央上部に桜が見えるが、当初 桜の木という心象風景と思っていたが、それはこの老人ホームの飾り物。つまり偽りの桜。老人ホームにいる人々の何も「無い」という心象を表している。劇中「老人は夢、希望、欲を持ってはならない」と。ただ静かに時を過ぎるのを待つだけ。生き甲斐を持つことは許されない。死への旅路の準備期間なのだ。かと言って準備することは何もない。が突如、日本国に姥捨山法が施行され、救いのないラストシーンへ…。

    冒頭、老人姿勢から直立しタンゴを踊るシーンから始まる。生き生きと踊る姿、しかし間もなく「静かに!」という看護師の一喝で沈鬱な状態へ逆戻り。物語はホームに入所している老人たち1人ひとりの生き様なりを切々、淡々と描く。戦災孤児、口減らしのために身売り、同性愛者(少数=弱者視点か)等の人生を次々に展開していく。同時に老人に見(看)られる健忘、妄想、せん妄、痴呆、排尿障害といった症状を非生産的に描き出す。
    子供叱るないつか来た道、年寄笑うないつか行く道 といった言葉は空しいだけ。

    この姥捨山法は、単なる老人排除(殺害)に止まらず、老人問題の根本を考えず安易な方法で解決しようとする。つまり現役世代の大人たちは思考停止、傍観し不作為を決め込む。そして実行部隊は子供(14~16歳くらい)に任せるという無責任さ。さらに法の但書きには、年収2億円以上あれば適用外という富裕層優遇措置、まさに現在の貧富格差への揶揄・批判。

    登場人物は個性豊かな老人たちで、役者は猜疑、相愛、嫉妬のような感情を表しつつ、踊ることで生きているを体現している。その精神・肉体の表現力は素晴らしい。中でも、自分を絞殺してくれと頼む姉婆(前田真里衣サン)、それを何か(月の不思議な力)に憑りつかれたように実行するメリー老(片平光彦サン)の謂わば嘱託殺人(自殺ほう助?)の場面は圧巻。この場面で歌われる曲(あざみの歌)、哀愁溢れ実に印象的だ。
    日本で“月”が登場する話は紫式部の「竹取物語」が筆頭に挙げられるだろう。周知の通り、竹取物語の末尾に登場するのが不老不死の薬である。月と不老不死は月が欠けていって死に、また満ちて生き返るため ごく自然に再生の象徴とされている。その月を敢えて用いることで老人問題(社会批判と死生観の両方)への鋭い切り込み材料にしている。見事な公演であった。
    次回公演も楽しみにしております。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    期待以上の素晴らしい舞台でした。舞台が広く、ひとりひとりの役者さんの表情、仕草など、語っていない役者さんを観ても、工夫を凝らした演技をしていた。
    題名から、踊るだけの、暗くて、狂ったような芝居を想像していたが、びっくりするくらい本格的な芝居だった。
    森井睦さんて何者? ぐらいに考えていた初心者の私は、ひどく驚いた。
    お芝居の神様みたいなかたなんですね。経歴を読んで、ウワーっとびっくり。
    作品を観たら、もう感動で震えました。
    叫びそうになるのをこらえるのに必死でした。
    観ながら、老人たちの本音に耳を傾けると胸が苦しくて苦しくてたまらない...
    笑えるところもあり、お腹を抱えて笑った。
    社交ダンスを踊るのが大好きな私は、踊りたくてウズウズした。私はタンゴが特に大好きです。シャキとしたところがいい。
    ラストは、ひどく残酷で、老人たちがかわいそうでたまらなかった。
    すごい盛り上がり。最高でした。
    森井睦さんの作品素晴らしいです。虜になりました。
    こんな、本当に本格的で感動する舞台初めて観た。
    これから又、出会えるだろうか?
    又、この劇団の舞台、絶対観たい。

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