演氣者塾オンラインショートステージ 公演情報 演氣者塾オンラインショートステージ」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 5.0
1-3件 / 3件中
  • 満足度★★★★★

    「エデンの園」2020.10.15 演氣者塾
     事故で10年間、眠り続けた妻を

    ネタバレBOX

    安楽死させた夫のこれも夢幻能を思わせる創りの作品、舞台内容は、始源の時空を求める夫の、妻との関係を幻影として想起した作品と言えよう。このユニット・演氣者塾は、極めて強い指向性を持つが、その指向性とは、己の理想を実現する為に諦めずに夢を追い続ける姿勢だ。この姿勢を追い続ける為にこそ、自分達の拠点を持ちそこで実践的に演氣を追求している訳だ。当然のこと乍ら極めて厳しい道である。夢は現実と相容れないケースが殆どだ。然しそのような状況に身を置かなければ、鋭く深い表現は生まれてこないのも事実である。
     さて作品論である。夫のキャラクターは、妻の言うことを何でも聞く主体性のない人物である、だがその妻も自己主張することに何ら意味を見出さない女である。この2人は日本人の典型を類型化したキャラクターだと解釈できよう。つまり我ら日本人の行く末を暗示した作品でもある訳だ。オープニングは微妙に体を傾けたように立つ妻が長時間台詞無しで立つシーンだ。その立ち姿の手前を重い荷を背に担ぐように横切り、倒れ込む夫の姿が明暗の微妙な差によって舞台化される。照明は暁闇レベルで見えるか見えないか程だから逢魔時にも通ずる。何れにせよ、ここから夫婦の深い愛に満ちた会話が交わされるが、この会話は対話形式を採り、常に閉じた2人称の形で進む。妻は、夫のものの感じ方、想いが好きである。始原に留まろうとして“永遠”に閉じこもろうとして夢幻の世界の象徴である蝶の姿を後追いするイマージュは極めて美しい。直前、雪が降るシーンが挿入され、その純白のイマージュに重ねて夫の大切な価値観、純粋へのこだわりが表現されていることも蔑ろにできない。その直後の春の蝶、このイマージュには無論自分の意志で先立たせた愛しい妻への追慕が重なるのは明確であろう。自分の解釈が的を射ているとすれば、今作の中心人物は、妻ではなく夫ということになり、存在様態として非本質的な男性性が問題とされ、かかるが故に能の形式に近い今作の形式が必然性を伴ったとういうことも納得できる。また今作の、空間だけあって時間は空間に溶け去ったような、相対性理論に合致しない時間感覚も生まれてくる。即ち閉じられた空間に於ける、始まりも終わりも無い、換言すれば無限・永遠を喚起するのだ。これこそ、愛の理想ではないか? 惜しむらくは、女優の台詞には聞き取りにくいものが多かった点だ。(死者の幽けさをこそ表現しているのかも知れないが)
  • 満足度★★★★★

    「神風吹くひと」2020.10.15 
     『きけわだつみのこえ』に登場する特攻兵が、かつて恋人と待ち合わせたメルクマールの古樹を仲立ちとして恋人の曾孫に邂逅する物語。

    ネタバレBOX


     因みにこの古樹は、1945年の3月10日にカーチス・ルメイの命令に拠って実行された僅か数時間の間に女子供老人ら10万人以上が生きたまま焼き殺された東京大空襲の惨禍の生き残りだ。樹体には当然、深い傷がある。ここを訪れた一人の若い娘に彼女の曾孫の恋人であった特攻兵が逢う物語だ。何故特攻兵が彼女の前に現れたのか? 75年も経った2020年に。それは、己の死が犬死であったかもしれないという疑念に責められ続けてきたからであった。
     今、このような作品を上演するのは、無論安倍政権によって数々の亡国法が現実化し、菅内閣は、無論これを更に推し進めようとしている。当然だろう。安倍政権では官房長官を務めた菅と自民党幹事長を務めた二階の二人が安倍の政治屋レベルでの黒幕だったと考えられるからだ。この状況を無幻能に近い発想で表現している。痛烈なアイロニーと言わねばなるまい。使われている曲がシャンソン、賛美歌、アメリカンポップスと変化いているのをみればそれは明らかであろうし、照明も見事である。
     ところで10月26日からは通常国会で種苗法改定案が審議される。日本では殆ど報じられなかったこの亡国法は断固阻止されねばなるまい。知らなかったでは済まされない。田中正三の有名な言葉『亡国を知らざれば、これ即ち亡国』を胸に刻みたい。因みに北海道を始め多くの県・自治体が(現在約半数の県)独自条例によって種苗法に反対の決議を条例化している。危険を知った市民が各自治体に請願書(自治体議員に紹介状を書いて貰い、請願書を提出すれば、議会で必ず審議しなければならないから、陳情ではなく請願書を提出すべきである。何故なら陳情は無視されても無視した者を訴追できないから。)
     種子法の問題点については、10月31日(土)11時半及び14時半から日比谷図書文化館B1の日比谷コンベンションホールで完成披露上映会がある。一般・シニア・学生1000円 高校生以下500円だ。タイトルは「タネは誰のもの」。必見の映画である。監督は農業ドキュメンタリーを撮り続けてきた原村正樹氏、必見。
  • いっこく堂みたいに

    ネタバレBOX

    あれえ、音と画がずれているよ。

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