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ENGISYA THEATER COMPANY「
演氣者塾オンラインショートステージ
」の観てきた!クチコミとコメント
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ハンダラ(10435)
満足度
★★★★★
「エデンの園」2020.10.15 演氣者塾
事故で10年間、眠り続けた妻を
ネタバレBOX
安楽死させた夫のこれも夢幻能を思わせる創りの作品、舞台内容は、始源の時空を求める夫の、妻との関係を幻影として想起した作品と言えよう。このユニット・演氣者塾は、極めて強い指向性を持つが、その指向性とは、己の理想を実現する為に諦めずに夢を追い続ける姿勢だ。この姿勢を追い続ける為にこそ、自分達の拠点を持ちそこで実践的に演氣を追求している訳だ。当然のこと乍ら極めて厳しい道である。夢は現実と相容れないケースが殆どだ。然しそのような状況に身を置かなければ、鋭く深い表現は生まれてこないのも事実である。
さて作品論である。夫のキャラクターは、妻の言うことを何でも聞く主体性のない人物である、だがその妻も自己主張することに何ら意味を見出さない女である。この2人は日本人の典型を類型化したキャラクターだと解釈できよう。つまり我ら日本人の行く末を暗示した作品でもある訳だ。オープニングは微妙に体を傾けたように立つ妻が長時間台詞無しで立つシーンだ。その立ち姿の手前を重い荷を背に担ぐように横切り、倒れ込む夫の姿が明暗の微妙な差によって舞台化される。照明は暁闇レベルで見えるか見えないか程だから逢魔時にも通ずる。何れにせよ、ここから夫婦の深い愛に満ちた会話が交わされるが、この会話は対話形式を採り、常に閉じた2人称の形で進む。妻は、夫のものの感じ方、想いが好きである。始原に留まろうとして“永遠”に閉じこもろうとして夢幻の世界の象徴である蝶の姿を後追いするイマージュは極めて美しい。直前、雪が降るシーンが挿入され、その純白のイマージュに重ねて夫の大切な価値観、純粋へのこだわりが表現されていることも蔑ろにできない。その直後の春の蝶、このイマージュには無論自分の意志で先立たせた愛しい妻への追慕が重なるのは明確であろう。自分の解釈が的を射ているとすれば、今作の中心人物は、妻ではなく夫ということになり、存在様態として非本質的な男性性が問題とされ、かかるが故に能の形式に近い今作の形式が必然性を伴ったとういうことも納得できる。また今作の、空間だけあって時間は空間に溶け去ったような、相対性理論に合致しない時間感覚も生まれてくる。即ち閉じられた空間に於ける、始まりも終わりも無い、換言すれば無限・永遠を喚起するのだ。これこそ、愛の理想ではないか? 惜しむらくは、女優の台詞には聞き取りにくいものが多かった点だ。(死者の幽けさをこそ表現しているのかも知れないが)
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2020/10/15 15:20
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