おくすり、ひとつ 公演情報 おくすり、ひとつ」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.4
1-5件 / 5件中
  • 満足度★★★★

    これも観ていたのを失念していた。
    恐らく録画ではない動画配信(ライブ)と思われるが、リモートを活用した作り。人物は画像に映り込むという登場の仕方である。つまり空間としてのステージはない。
    現世とあの世の挟間のような場があって、そこに住まう人と訪れる人がいる、という舞台設定なので、劇場スペースがむしろ不要で「映像向き」。いや映像配信ありきで作った話かも知れない。
    もっともテキストは演劇寄り、と見えてしまうのはライブならではのひずみ、間、未完成感が勝っているからか(映像として仕上げるならもっと編集のしようがある)。
    場面の大半は「先生」と呼ばれる存在(AIだったか)の前で、訪問者がそこに来るに至った経緯を語る、告白および回想。
    前半に登場する男女(一応相思相愛らしいカップル)の、煮え切らない、踏み込まない会話が続く時間は耳がつらかったが、場面が変わると徐々にドラマ世界が開けて見えてきた。
    近未来。「消えてなくなくなりたい」、と心に思っただけで存在が消失する怪現象(病)が散発する。最近のニュースでその病に効く特効薬が開発されたと報じられるが、「生きたいと本人が願わなければ薬の効き目はない・・」といった解説がある。次元の狭間には「先生」(声は女性)が居るが、そこに主人公である青年がやって来る。やって来る、と言っても目が醒めたらこの場所に居た、が正しい表現。この青年はここに暫くとどまる事ができる珍しいケースだと言われる。普通は「消えた」直後にこの場所に来て、「先生」に経緯を話した後、服薬を勧められ、生き直そうと思わなければすぐに消えて(死んで)しまう。
    かくして物語の舞台設定は整ったが、青年が観察する「死にゆく者」のケースは1組の男女のみで、もう一つのエピソード(女2人)は実は種明かし的サブストーリーとなり、さらにもう一つのタイムリープ的な仕掛けがオチに据えられている。
    最初に登場して儚く死んで行く男、その後を追う(「消えたい」と思ってしまう)女のもどかしい関係性は、優しさが持つ「嘘」を巡る自家撞着。男が「消えたい」と思うきっかけは、「好き」だったはずの相手が「気遣う存在」になった、要は好きでなくなったからに違いなく、「終わり」なのは恋愛なのであって人生ではないと、認めないのは利己的になれないからで、人間の真実から目を背け、綺麗ごとで飾って人生を終えたいなら勝手に終えるがいい・・等とイライラしながら会話を聞く事になるが、利己的に生きるよすが=己自身が希薄であるのだとしたら、とふと思う。若者の根源的自信を喪失させる社会の深刻さはこういう場面に表れてもいるのだろうか・・と。(自信満々に見えるのは一部の○○な連中だけ。)
    二つ目のエピソードはアイドルを目指す女子とその旧友で臨床心理士を目指す女子の関係。アイドル女子は上京して所属した事務所で壁にぶつかる。ただしその壁は「自分」という存在の核が無い、というもので、それは対人関係の中で気づかされるという順序を取り、抜け道を失う・・。これはわが事として見てもよく分かった。旧友の存在が救いにならなかったのもむべなるかな。「己の核」は社会的認知によって形成されるもので、早くは家庭で、あるいは家族があやふやでも地域で、学校で、友人関係で、最終的には職場で、作られる契機がある、と考えられてきたが、今はそのどれもが「核」たる保証を与える資格を返上し、現実世界での孤立を掬うのは「大きな物語」としての国家だけ、というのも現代的風景だ。専らSNS、ネットといったバーチャルで記号的な繋がりに比重が移っている現状もありそうだが、これに依拠したがために起きたと見える秋葉原事件が思い出される。

  • 満足度★★★★★

    鑑賞日2020/07/17 (金) 19:00

     リモートでの上演とあって、正直不安でもありましたが、実際にその動画を見てみたら、逆にリモートの特性を活かして、緊密な心理描写をした近未来のドラマに仕上げていて、こういうふうな演劇もありだなと実感した。
     世界では人が消える謎の病気が蔓延し、人知れず消えた人が来る診療所があり、そこで処方される特別な薬を飲むと元の世界に戻れるという設定になっている。そしてそこに来る患者たちに対して盲目の女性の先生と助手のAIが悩みを聞いていくのだが、それぞれの画面で悩みを話していく患者との対応が、すぐ隣で話すよりも、心理カウンセラーとのリアルな対応に思えた。また、リモートだからこそ諦め、思い込み、泣くなどの感情を役者が身体を張った演技で、モロにさらけ出している気がして、こちらまで引き込まれた。
     そして、劇を観終わった後、あまりにも今今私たちが抱え込んでいる様々な悩みとフィットし過ぎていて、共感し感動して眼から涙がとめどなく流れ、そのせいで眼は充血し、暫くは余韻に浸り、胸が熱くなった。

  • 満足度★★★★

    7/19 13:30~ YouTube Liveにて拝見。
    リモート演劇の録画配信とのことで、劇場からの生配信とは違った面白さ。

    ネタバレBOX

    仕事でZoomを使っているとき、バーチャル背景を使っている人が相手だと、「透け」などで鬱陶しく感じることが度々あるので(仕事だから文句は言えん)、本作もあの辺の処理はもう少し何とかならなかったのかなあと思いつつ観てたのだけど、途中から、あ、これって「透明化問題」の裏返しなのかと。
  • 満足度★★★★★

    「おくすり、ひとつ」法政大学Ⅰ劇 2020.7.17 19時 オンライン
     タイトルが粋。

    ネタバレBOX

     日本の若者が今、自分たちの総意を成り立たせ得るコンセプトがあるとすれば、それは愛ではなく、優しさであろう。今作は菩薩の心を若者の感性が表現した作品と言えよう。
     知られているように菩薩は仏陀の下位に在る。即ち衆生の修行する姿を現す。自分流の解釈は以下の通りである。菩薩とは何より肯定してくれる者のことを言うのだろう。どんな人間をも存在していて良いのだと肯定してくれる温かな存在、それが菩薩の本質だ。蠅のようにいやらしく纏いつき、こちらが弱れば耳と言わず、鼻、目と言わず、口と言わず傷口と言わずあらゆる所に食い込んで舐め吸い齧り尽くす彼らのような存在であっても、その体温で温めてやる存在、それが菩薩というものの命が肯定される条件だ。何と恐ろしい使命であることか? どれだけの者がこれほどの苦行に耐えられよう。だが、宇宙にはこんな苦行すら甘く見えるような苦しみが未だ山ほどあろう。恐らく、仏とはそのような試練にも耐えて尚本質を見失わない精神を指す。自分如き、仏どころか菩薩道を歩むことすらなるまいが、人としてこのような光明を見失うまいと心に留めることはできる、若者たちの健全で柔らかな精神が、このような夢を持ったまま、現実にこの日本の地獄という現実を生きて尚人間性を保とうとしているとすれば。そんなことを老いた自分にも感じさせる作品。
     作品の状況設定を、現実にSARS-Cov2に対する政府・官僚・各自治体の非科学的・非合理的、要するにアホな政策の下に強制された現行政策の下で組まざるを得なかった状況でキチンと内容と表現方法を一致させた頭の良さと柔軟性にも拍手を送りたい。流石に法制Ⅰ劇の作品である。惜しむらくは、恐らく髪の毛の揺れる影響であろう。動画の髪の毛の部分に揺らぐ所があったのは、ひっつめるとかで何とかした方が良いように感じた。まあ、1~2分拝見している間に気にならなくはなったのだが。
  • 満足度★★★★

    鑑賞日2020/07/17 (金) 19:00

    ZOOM会議的な画面に合うよう工夫したストーリー。役者の動きに気をとられない分、セリフの一言に注意がいきました。やっぱり劇場で生で見たいという気持ちを再確認した1時間半でしたが、今出来ることを見つけて立派にやり遂げたことはブラボーに値します。

この公演に関するtwitter

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  1. 法政大学I部演劇研究会 リモート公演 『おくすり、ひとつ』 @ Youtube Live 【タイムスケジュール】 7月18日(土)19:00 7月19日(日)13:30/19:00 7月20日(月)19:00 ご予約はこちら… https://t.co/LvhCKcWSTI

    4年以上前

  2. ZOOM会議的な画面に合うよう工夫したストーリー。役者の動きに気をとられない分、セリフの一言に注意がいきました。やっぱり劇場で生で見たいという気持ちを再確認した1時間半… https://t.co/gAOqg2fUCq #法政大学 #おくすり #舞台 #演劇

    4年以上前

  3. リモート公演「おくすり、ひとつ」 配信初日!あと10分で開演します。 今しばらくお待ち下さい💫 明日以降のご予約はまだ間に合います 予約フォーム↓ https://t.co/i2YbCkwxoQ (企画者 坂本) https://t.co/vWBx4rlmTo #法政I劇

    4年以上前

  4. 【役者紹介】 最後は喋れる陰キャ代表、我らが主人公の陶山空輝さん! 初対面の時、顔も名前もサークルの人なのかも分からない状態で、いきなり名前を呼ばれたあの衝撃は未だに忘れられないなあ... 距離感って難しいね!🙃 「おくすり、… https://t.co/PlMnzmAzLL

    4年以上前

  5. 「おくすり、ひとつ」 明日、初日です〜! 明日のご予約は今日23:59までです🥀 予約フォーム(個人)はこちら↓ https://t.co/P9MuauPoWl https://t.co/d4TeMviWsN #法政I劇 #リモート演劇

    4年以上前

  6. 【役者紹介】 仮面少女役の須賀夢佳! 同じサークルに居ながらほとんど話したことは無かったのですが、今回の稽古で彼女がもっすごいゲラだという事が判明しました。 そんな彼女が出演する「おくすり、ひとつ」は明後日から公開! お楽しみに!… https://t.co/Hh9NKbBnKy

    4年以上前

  7. 法政大学I部演劇研究会 リモート公演 『おくすり、ひとつ』 @ Youtube Live 【タイムスケジュール】 7月17日(金)19:00 7月18日(土)13:30/19:00 7月19日(日)13:30/19:00 7… https://t.co/J3LBl1ATIU

    4年以上前

  8. @tychi1227 今日だけは いたくなる前におくすり ひとつだけのんどくとね、 いつ痛みが襲ってくるかって ドキドキしなくていいからね。 そして横になって ゆっくりしてしてくださいな。

    4年以上前

  9. 【役者紹介】 本日より『おくすり、ひとつ』の役者紹介をさせていただきます! トップバッターは薔薇役を演じる原田哲兵くん。 カメラに近づきすぎちゃうのはご愛嬌、写真に悪役感が出ちゃうのは前世の記憶。 いちげきほうせいかれっじ随一のい… https://t.co/35XOfloxFw

    4年以上前

  10. リモート公演 「おくすり、ひとつ」 脚本・演出 坂本萌々 7月17日〜20日 YouTube liveにて公演 fullバージョンはこちらから! https://t.co/1NwugmrbZe @YouTube https://t.co/opzajGvht8

    4年以上前

  11. ひとつ飲むだけで睡眠効果があるおくすりひとつください

    4年以上前

  12. 法政大学I部演劇研究会 リモート公演 『おくすり、ひとつ』 @ Youtube Live 【タイムスケジュール】 7月17日(金)19:00 7月18日(土)13:30/19:00 7月19日(日)13:30/19:00 7… https://t.co/A3OStXgLVa

    4年以上前

  13. 【こりっちチケットプレゼント!7/8(水)〆切(東京)】 法政大学Ⅰ部演劇研究会「おくすり、ひとつ」7/17(金)~7/20(月)於:YouTube Liveにて上演致します CoRich舞台芸術!:… https://t.co/Bs1U8yPjIm

    4年以上前

  14. 各大学で演劇やってる学生さんたち、みんなどうしてるかなあと心配してたところです。新たな一歩を応援してます。 https://t.co/NphQKjJGvV #法政大学 #おくすり #舞台 #演劇

    4年以上前

  15. うごけないがこれはおくすりひとつのめてなくて早々におきたせいだな……

    4年以上前

  16. 今日の稽古場写真📷 それぞれお気に入りの帽子をかぶってくれました🎩✨ こんな愉快な役者たちが出演する  7/17〜7/20で全6ステ行います! ご予約お待ちしております!… https://t.co/tiRamR7nN3 #リモート演劇

    4年以上前

  17. 🧊フライヤー公開🧊 法政I劇 リモート公演 「おくすり、ひとつ」 2020年7月17日(金)〜7月20日(月) 全6ステ @ YouTube Live 予約フォーム🎫↓ https://t.co/i2YbCkwxoQhttps://t.co/KUEinGLzAl

    4年以上前

  18. おくすり、ひとつ 昨日の稽古ではチェイスを詰めました! [方向性を揃える]って難しいね〜 こちらは皆さん何も言えないなぁの顔。楽しいリモート飲み会もいいけれど、昼夜逆転生活には気をつけようね! (音響 須賀) https://t.co/biA0vWwgmb #リモート演劇

    4年以上前

  19. @luna_rosa3 @yukiijp @_YamiPlayer_ @Jmeet3 おくすりひとつでウサギさ🐰

    4年以上前

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