少女仮面 公演情報 少女仮面」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
1-8件 / 8件中
  • 鑑賞日2020/02/24 (月) 16:00

    座席4列5番

    やはりこの舞台、最大の目玉は、元宝塚男役の月船さららが、春日野八千代をどう演じるかということ。この舞台に関わる月船さららは、何とも不思議だ。まずフライヤーの写真が、月船さららではない(に見えない)、登場してきた春日野八千代が月船さららではない(に見えない)。フライヤーにはただ単に女子高生が写り、舞台には春日野八千代が鎮座する。
    月船さららはどこだ?
     けして宝塚の男役としては大柄ではない月船さらら。しかし、舞台に春日野八千代として登場する段の、ボリューム感、威圧感、押し出しは、どんなもんだいというほどに観客に迫ってくる。何か見つけたな。今回の役を演じるにあたって、いろいろ逡巡があったようだけれど、何を言わんか演じて御覧じろ、という感じ。
     少女という仮面をかぶり続け、それを取れなくなった春日野八千代。唐作品には「仮面」というテーマが時々出てくるが、この作品ではまさにそれが作品全体を通底する。仮面=本来の自分とは何か?
     井村昂の水道水を飲む男と久保井研の腹話術師、生という仮面と自我という仮面を被った存在が死にゆく中で、春日野八千代は自身の仮面を剥ぎ取って生きていくことができるのか。年齢に、性差に、虚実に、現代と過去に分裂させられた春日野が自己を取り戻す流浪の物語。見事、大団円を迎えるラスト、春日野八千代は月船さららに昇華してしまった。
     全てを力で歪ませ尽くす、岩松力のバーテンダーは、舞台の異化を強烈に突き進めて圧巻。タップダンスも、腹話術人形演技も、観客を舞台の中へと引き擦り込む強力な磁場だ。
     metroは、まだまだ堀尽くせぬ大きな鉱脈を発見したのかもしれない。
     

  • 満足度★★★★

    metro版『少女仮面』は主宰・月船女史としては、いつかは取り組みたかった本丸中の本丸に、時期尚早を怖れず船に飛び乗るように上演を決めたといった事のよう。女優月船女史の大一番な気配を察知しつつも、こちらは単に、単純に『少女仮面』世界をどんな風味で堪能できるかを楽しみにつぶらな瞳で舞台を見つめておった。
    先日のシアタートラムでの同作を観た者としては、この演目にはこの会場の広さが何とそぐわしい事かと、首が痛くなる程頷きながら(いや心で)、まず女優志望少の女(熊坂理恵子)と婆(村中玲子)による絵本風可愛げなオープニングや、狂気演技のサイボーグのような若松力演じるバー春日野マスター、ボーイ2名(片岡哲也・影山翔一)によるブラックバイト的泣き笑いタップダンスやらに当てられる。蛇口をすする男(井村昂)、腹話術人形と暮らす男(久保井研)、そして元宝ジェンヌ月船による春日野の登場である。
    小空間が可能にするのはまじめと不真面目、実と虚の共存であり、虚を生きる春日野の目に同期しつつ対象化する観劇というのは、相当な技であり、狭いステージから虚がはみ出して観客に侵食するという距離が必要なのではないか・・。
    様々オイシイ要素が圧縮された天願演出の舞台であったが、前半の飛ばし方に比すれば後半、というか終盤少々息切れの感も。戯曲の問題と言えば問題だし料理法の問題と言えば問題。これだけ巧く料理できてもこの舞台の本質とは何なのか、劇中人物が括られるのだろうアウトサイダー性を発揮して彼らは一体何に抗っているのか、総体としての回答がやや薄い気がした。しかし過去観た3つの少女仮面の中で最も映像的に記憶に残りそうである。

  • 満足度★★★★

    鑑賞日2020/02/23 (日) 18:00

     metroの月船さらら・天願大介が唐十郎の古典的作品に挑んだ、気合いが入った面白い舞台だった。近年、何回か上演された戯曲だが、今回は、伝説の宝塚歌劇団男役の春日野八千代を、元宝塚男役だった月船が演じるわけで、存在感は流石。基本的に脚本はいじっていないようだが、BONBONの狭い舞台をダイナミックに使った舞台美術の効果もあり、幅のある作品になっていた。宝塚に憧れる少女役の熊坂理恵子が月船と互角に演じていたのも感心した。

  • 満足度★★★

    20日午後、中野のテアトルBONBONで上演されたmetro第12回公演、唐十郎作・天願大介演出の『仮面少女』を知人の漫画家・松森茂嘉氏と観に行った。これは、metro主催者であり元宝塚の男役であり、本公演の主役である月船さららが松森氏の知人であった関係からである。

    唐の作品には唐組や新宿梁山泊で接しているが、この『少女仮面』という宝塚の男役スターであった春日野八千代を題材にした作品を観るのは初めて。この春日野を演じるのが元宝塚の男役であり、天願大介の演出も初めてと言うことで期待して会場に出かけた。
    中野にあるポケットスクェアのなかで最も舞台天井丈の高いBONBONの構造を上手く利用した大道具とえんしゅつではあったが、小さな見せ場が波状的に襲い最後に大クライマックスが訪れるという唐の作品の特性が上手く演出されていたかというと、若干疑問が残る。それは、全体的に盛り上がりにかける平凡な演出であったことに起因するのだが、そうなった原因の一つに、役者と唐の作品との相性という問題もあったように思う。
    例えば、最も演出的に成功していたと思われるのが「水道飲みの男」を演じた井村昴出会ったが、彼の演技に唐の作品には欠かせない存在の役者・大久保鷹のような存在感を感じさせた点。
    それに防空頭巾の女達も唐的な存在感を呈していたが、演出的には登場の仕方がもっと奇抜でも良かったかも知れないけれど、それなりの存在感を持っていた。
    逆に、喫茶店のボーイ役達はやや洗練されすぎた感があった。もっと泥臭い存在でも良かったのではあるまいか。そうすれば、月船さらら演じる春日野の存在が一段とクローズアップされたのではないかと思う。
    その月船さらら演じる春日野であるが、もう少しエネルギッシュな演技でも良かったように思う。

    総じて、唐の作品を観た後に感じる「複雑なすっきり感」というものが希薄であったのが残念。

    公演後、ロビーにて月船さらら本人を紹介してもらい挨拶を交わしたのだが、その際の印象として、彼女の個性に唐の作品は似合わないのではないかというおもいであった。

  • 満足度★★★★

    唐十郎作品は3作目、やはり難解で正直掴みどころが無い。なのに気が付けば引き込まれている。未だ熱狂的なファンが多いのもよく分かるような気がする。自分も既に片足を突っ込んでいるかも知れない。

  • 満足度★★★★★

    劇の冒頭、少女と老婆が叫ぶ。「なによりも、肉体を!」そして、暗転の中、メリーポプキンの
    「悲しき天使」が大音響で鳴り響く。もう、それだけで心が持っていかれる。あの時間と肉体の存在が交錯する世界に。「少女仮面」は傑作です。近年、唐の他の作品にどうしようもない古臭さと違和感を感じて、「ああ、唐といえども時の流れのには逆らえないのか」と寂しさを感じていましたが、この作品だけは普遍的なテーマをうまく混沌の中に浮き上がらせていて、時代を超越してくる強さを持っている。月船さららの春日野は、今まで見たどの春日野より、肉体の老いと美への執着、ジェンダーの問題、そこでのたうち回る悲しさを誰よりも表現していた。さすがはヅカガールだ!若松も良かった。冷たい暴力的な存在を演じきっていた。満州の甘粕大尉の行った歴史的事実とか、東京空襲とか、知らないと後半がわからないかもしれないから、当パンとかに書いておくといいかもしれない。

  • 満足度★★★★

    超怖い。例えるならば抗争中のヤクザの事務所で、喧々囂々のクンロクの入れ合いをじっと黙って無表情で見守っている堅気の心境。役者ってのは行き着くと本当に恐ろしい。主任役若松力氏は全てがヤバい。関わってはいけない人だ。緑丘貝役の熊坂理恵子さんも黒木華的に何にでもなれる水のような女優でずっと観ていられる。老婆役の村中玲子さんの唯一無二の存在感。metroは配役が見事、映画的。皆歌が巧く、聴き惚れる。音楽センスは抜群。月船さららさんの全てをひん剝いてもひん剝いても、そこには果てしのない空虚が何処までも広がっている、そんなゾッとする舞台。
    『物語を楽しむ』とかそんなジャンルではなく、舞台に呪われた亡霊となって尚彷徨う、永遠の乞食としての役者を指の隙間から恐る恐る覗き見てしまったような。

    ネタバレBOX

    演出家によってこんなに違う話になるとは面白い。水飲み男が月船さららさんのシャツを掴み胸が肌蹴露わになる。そこからのシーンが凄い。さららさんの歌に涙が出た。まさに唯一無二。同じ人間とは思えない程、瞬間瞬間くるくる変わる表情。
    前半麦と老婆の視点から始まるも、後半麦が傍観者になってしまう。原作のそこが余り好きじゃない。
  • 序盤、アングラ演劇が苦手な私が人生で初めて唐十郎の劇世界にスムーズに浸れた気がして、感動のあまり落涙。本物の元宝塚男役(月船さらら)のセルフパロディーでもある贅沢。出演者(久保井研、若松力、熊坂理恵子ら)もよかった。上演時間は約1時間50分弱かと。敬称略。

    ネタバレBOX

    久保井さんと若松さんが入れ替わる腹話術人形劇の場面まで、とてもわくわくしながら、泣けるほど楽しんだ。春日野の上着の胸元がはだけてからの、満州での回想(?)から、意図が読み取れなくなってしまった。

    杉原邦生演出のシアタートラム公演と比較できて本当によかった。今作では終盤に、春日野のファンの女性たちが3人登場して歌を歌う。裏方を登場させる入れ子構造はなし。演出の方向性は今作の方が好み。

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