天は蒼く燃えているか【広島公演・松山公演・北九州公演中止】

世界劇団（愛媛県）

公演に携わっているメンバー：6人

【団体紹介】

　愛媛を拠点に活動する医師と医学生の劇団。愛媛大学医学部演劇部を前身とし2016年に劇団化した。団長の本坊由華子は県内外で高い評価を受けており中四国を代表する作・演出家である。
　戯曲に書かれる言葉は幻想的で熱を持った「劇文体」を特徴としている。言葉遊びや歌、医学用語を詩的に用いる「サイエンスポエム」も持ち味の一つだ。また、躍動感溢れる身体表現も特徴である。感情の機微やシーンの意図を身体で編み出し全身を使って表現する。生身の人間からほとばしるエネルギーも魅力の一つだ。
　受賞・活動歴は以下の通り。2015年に三代目四国劇王、三代目中国劇王の二冠を獲得。2017年と2018年に三都市ツアーを二年連続で実施。利賀演出家コンクール2018にて観客賞2位を受賞。第10回せんがわ劇場演劇コンクールにてオーディエンス賞を受賞。
　2020年は四都市ツアーを実施する。ツアー公演やコンペティションへの参加のみならず、医師として働きながら医療現場での演劇WSの開催や講演会も精力的に行っている。

【応募公演への意気込み】

　本公演「天は蒼く燃えているか」は、これからの日本を思い描いて創作したものだ。芥川龍之介の「アグニの神」が原案となっている。アグニの神は炎の神だ。炎をモチーフに現代日本の社会問題を炙り出す。
　今の日本には様々な炎が燃えていると私は感じている。差し迫る東京オリンピックの聖火、SNSに蔓延する誹謗中傷の炎上、高齢化によって消えていく生命の灯、そしてこれから起こりうるであろう戦火。あらゆる炎があやふやで有耶無耶に見過ごされている。それはまるで、炎を焚いて煙に巻くような行為だ。
　様々な炎が燃え盛るこの国に私は絶望を隠し切れない。このままでいいのか。この情勢の中で何を創らねばならないのか。アーティストが試されているこの時代に、決して怯んではならないと使命を感じている。何もかも腐りはてたこの世で、せめて芸術だけは信じられるものでなくてはならないのだ。
―――芸術だけは清く燃えよ。
「天は蒼く燃えているか」は、私の天への誓いであり、創作の祈りである。

【将来のビジョン】

　世界劇団は「地方におけるリーディングカンパニー」を目指している。その実現のために打ち出したいビジョンは3つある。
①表現手法の確立
世界劇団は身体表現と劇文体を特徴としている。劇団独自の表現を探求しており、手法の言語化を促しオリジナリティの確立を目指す。
②環境づくり
地方都市のリーディングカンパニーとして活動が継続可能な環境を整備する。具体的には劇団固有のアトリエ設立を目指している。また、愛媛という地方都市でも演劇にまつわる雇用を促す。演劇が経済的な価値を持ちうるという価値観を地方都市でも広めていきたい。
③演劇による社会への介入
演劇の社会的役割について追究していく。世界劇団は演劇ワークショップが医療界に寄与できるものと考えている。現在、精神科領域にて演劇ワークショップを行っておりコミュニケーションスキルの改善に繋がっている実感がある。演劇ワークショップによる治療的意義をより深く研究していきたい。