No. 1 Pure Pedigree【上演延期】

ぺぺぺの会（千葉県）

公演に携わっているメンバー：22人

【団体紹介】

　ぺぺぺの会は、「令和時代のあたらしいアート」を作ることを目指して結成された、20代前半のメンバーで活動する劇団です。

　私たちは、「なぜ演劇であるのか」という問いを出発点に、作り手と観客が共に劇場に存在することに着目しながら、作り手と観客が関係し合うような作品を作っています。たとえば、旗揚げ公演「一人称＾自分」では、ジョン・ケージの「4分33秒」のように、観客が発する音などを作品の一部に取り入れ、居合わせた観客自身が作品に取り込まれるような演劇を作りました。私たちは、観客の身体が眼前に存在するという事実を演劇の特性として真摯に受け止め、作り手と観客とが相互作用するような作品を作ります。

　戯曲には、令和時代の私たちが抱える様々な社会問題を題材とした、オリジナルの詩を用いています。詩が持つ批評性によって、描いた題材について刮目することを迫るような作品をこれまで創作してきました。
　詩を作品に立ち上げるにあたって、ぺぺぺの会では月に2回、外部の方を招きつつ演劇の研究会を開催し、古今東西の演劇理論・古典を研究することで、自らの方法論の研鑽を図っています。

【応募公演への意気込み】

　上演作品は、キュビズム創始者の一人、ジョルジュ・ブラックの半生をもとにした物語詩集です。ぺぺぺの会がこれまで研鑽してきた詩の手法と、この作品のために創作したオリジナルの楽曲を用いて、作品を立ち上げます。
　題材としては、第一次世界大戦に従軍したブラックの生涯を通して、第一次世界大戦前〜後の世界を描きます。ブラックの時代から百年が経った現在も、未だ世界では諍いが絶えません。戦争中にブラックが感じた苦悩と、令和を生きる私たちが抱える困難とは、通底している部分があるはずです。

　本作品は、劇場に足を踏み入れた瞬間から始まります。舞台にたどり着く前の空間に展示スペースを設け、美術館のようにニンゲンの展示を行います。この展示スペースは上演終了後に、上演以前/以後が戦争以前/以後と対応するように変化させます。そのことを通して、作中で描かれた世界が遠く離れた過去の世界ではなく、現実の世界であるということを強く示唆します。

　私たちは、演劇には、社会を克明に描写し、人々の想像力を喚起する力があると信じています。詩・展示・楽曲・身体・映像・観客が相互作用する総合芸術としての演劇を作ることで、お客様に現実の社会に思いを巡らす契機を提供します。

【将来のビジョン】

　ぺぺぺの会には、観客を含めた様々な人が、演劇を通して対話できるコミュニティを作るというビジョンがあります。
　そのために、以下の3点の達成することを目指しています。

①国外のアーティストと共同制作し、国際的な演劇交流を図る。
②国内でのツアー公演を実施し、地方で活躍する演劇人と共同制作する。
③観客と作り手が共に語り合える劇評コミュニティを作る。

　①〜③は全て、演劇を通した対話の場の創出につながっています。ぺぺぺの会は、批評性の強い作品を作る一方で、私たちが一方的に発信するだけではなく、作品を通して他者と対話することを大切にしているからです。

　①〜③の具体的な施策として、
・2021年のTPAMフリンジに参加し、国外のアーティストと積極的に交流します。
・TPAMで上演した作品は、新潟県で上演します。その際にWSを開催することで、新潟の演劇人と積極的に交流します。
・一般の方向けの、詩を用いたオリジナルの演劇WSを現在開発中です。
・2020年末に、ぺぺぺの会主導で、他劇団と短編演劇祭を開くことが決定しています。
・劇評を書いていただける若手のお客様に無料でご観劇いただき、作り手から劇評に対して再度回答するという「劇評の文通」を実施します。
・観客と作り手が、オンライン上で作品について意見交換できる場を設けます。
・上演後も作品について考察・批評できるように、過去作品の丁寧なアーカイブを進めています。