【公演延期】母樹 boju

下北澤姉妹社 （東京都）

公演に携わっているメンバー：15人

【団体紹介】

下北澤姉妹社は、大きく動く時代の中で、新しい共同体を生きる女性達をリアルに演じる、本多真弓が主宰する演劇ユニットです。
今回は、HOTSKY公演2018年初演の「ミカンの花が咲く頃に」で中心メンバーとなった、それぞれに活躍の場を持つ5人の女性演劇人たちよって、「母樹boju」とタイトルを変え、上演いたします。
横内謙介の薫陶を受け進歩目覚しい釘本光の作品に、生活する女たちの身体性を前面に打ち出した質の高い音楽劇として西山水木の大胆な演出が話題となり、初演は売り止めの好評でした。再演の声の高かったこの作品を、タイトルも新たに、劇場をスズナリに変え、個性的で魅力的な客演陣に、オーディションで選ばれた実力充分な出演者と、より大きな世界観の中で公演します。
　物語の中心となる母と姉妹役を、振付も担当し声無き言葉を豊かに演じる明樹由佳、小劇場の話題作に途切れず活躍する松岡洋子、プロデューサーとして活躍の場を広げる本多真弓らが固めます。

【応募公演への意気込み】

自分たちの実力が見定められず、ひたすら赤字を恐れて予算を立てた初演は、意に反して超満員の好評で中心メンバーは本当にびっくりしました。当日券に並ぶリピーターの勢いに肝を冷やし、見切れ席やギュウギュウの桟敷のお客様に謝って謝って、短い公演が終わりました。
私たちは、それぞれの人生を歩んできた「妙齢の」女性演劇人のユニットです。家庭があったりワケがあったり、リアルな女性の人生を暮らしてきた私たちが、社会に関わろうとする時、なんと言葉の虚しい事か。人の輪を支える共同体には言葉の届かない世界があって、そこは演劇でしか表現できない。メンバーの何人かは言葉の通じない、遠くの国々で、パントマイムやダンスでコミュニケーションしてきたけれど、同じ日本の観客にとっても一番雄弁なのは身体の言葉なのだ、特にフィーリングが違うと思われた若者たちに。２０２０年公演の「母樹(ぼじゅ)-ミカンの花が咲く頃に-」は、初演版から遥かにパワーアップした新たな作品として、この作品を必要としている、多くの皆様に観ていただくことを目指します。

【将来のビジョン】

【母性の正体を探究しながら時代や社会のリアルを描く演技メソッドを確立させたい】
　お節介と言うなかれ。私たちが演劇する時、世界のすべては、「関係なくない」共感と「捨ておけない」拘りを持って私たちの前に立ちはだかっている。私たちは、例文や文言抜きで、私たちらしく社会と関わりたい。そこでは戯曲は最大重要素ではない。私たちは母音を畳み掛ける日本文語の筋肉運動が苦手だ。ネイティブの日本女性語は呼吸が阻む喉頭筋の壁の中に閉じ込められ。欧米の演技術では超えられない。

【表現は更に劇的でありたい。手法はリアリズムと音楽劇】
　国内外のたくさんの演技トレーナーと繋がり、日本人に合った演技術や、情の生まれる身体の構造を探究し、リアリズムの表現を研鑽したい。過去の公演で、雄弁さが評価された仕草のダンスであるジェストダンスも表現の中心の一つに据え。声にならない声、新しい言葉を探して、語りかけるような作品を作り続けたい。