公演情報
ムニ「巨体」の観てきた!クチコミとコメント
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2026/07/26 (日) 14:00
座席1階
ユニークというか、不思議な感覚で貫かれた100分の舞台だ。以前から実験的な戯曲を書いてきた宮崎玲奈だが、今作を見ると、寺山修司のようなことを考えているのではないかと思えてくる。
タイトルの「巨体」というのは、二人暮らしの妹の方で、姉は妹のために食事を作るなどの家事をこなしている。二人は犬を飼っている。家は両親から引き継いだもののようだが、ある時、不動産屋が来て退去を要求してくる。
会場に入ると巨大な白い風船が鎮座している。この舞台装置は撮影可とのことで、他には小さな犬のぬいぐるみがあるだけ。体重200キロ?の妹は動けないが、外の世界のことは知っている。この登場メンバーを男性2人、女性1人の俳優が演じる。風船の上から顔を出したり、風船の周囲をぐるぐる回ったり逆立ちしたり。単語の末尾を重ねるなど奇妙な言葉づかいも多々あったうえ、かなりの長台詞もあって、俳優たちは大変だったろうと推察する。これぞ宮崎玲奈の心象風景なのだろう。こうした世界をストレートに外に表現できるというのは、劇作家の特権かもしれないと感じた。
その手段として台詞や舞台装置があるのだが、面白いのは例えば音響とか、照明などに台詞と同等の地位を与え、舞台の独立した構成要員として演出しているところだ。これも、宮崎玲奈の特色であるのだろう。他の演出家には見られない発想で、それを実際に舞台上でオーケストラのように操っているところがすごいと思う。
宮崎は手製のパンフレットに「忘れていた自身の特有の言語が思い出される瞬間が人生の中にあっていい」と書いている。物語の明確な展開があるわけではないので分かりにくさはあるとしても、「忘れていた自身の特有の言語」といういつもは忘れている自分を見てみようというきっかけをくれる舞台。なるほど、演劇とはこのような力もあるのだなと気づかされる。