公演情報
「巨体」の観てきた!クチコミ一覧
実演鑑賞
満足度★★★★
最前列だと割とずっと上を見上げる形での観劇になるんだけどそれも含めての劇体験だったのかもしれない。
他者の体を見上げるという行為や、顔に辿り着きたいという欲望、そこから発せられる声を聞こうとすること、やそれに伴い発生する疲れや痛み。観劇中の身体の状態が作品に通じていく感覚があった。ストーリーは実はわりとシンプルで、でもその周辺は複雑でそれはとても人間の生やその実感にかなうものである気もして、ムニはムニでしかなく(文字通りならぬ音通り)無二な劇言葉と劇世界を紡ぐ団体だと再実感。それはなんというか本当に凄いことで代替のきかぬ3人の俳優がまた凄まじい。
以下ネタバレBOXへ
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2026/07/26 (日) 14:00
ムニ『巨体』
1回目作/演出の宮崎玲奈さん、これまでの作品と土台造りから違うなと思った南風盛もえさん/藤家矢麻刀さん/黒澤多生さん、良くこの台詞を覚えられたな。空間設計が渡辺瑞帆とあるけど、巨体のデザインが渡辺瑞帆さんと言うことかな、流石だ。照明デザインが黒猿の方なのか、良い照明だと思った。
2回目の感想言葉たちに集中していると語呂合わせ的な言葉の羅列や俳句的な言葉たちに飲み込まれる。演者達の熱量を伴う台詞の発語、身体、演技は、呪文を身体に入れる苦労に頭を過られられながら魅入る。キヨス ヨネスクさんの投稿の「もっと広い空間での上演が観たくなった」とのコメント、確かにアトリエ春風舎の天井に固定されているフレームに演者は触れている。しかしこの巨体を大きな舞台に置くと、今度は巨体ではなくなるかも知れないなと。あの箱に目一杯という状態での上演がバランスしていた様にも思う。アパートの部屋の中にぎゅうぎゅうのイメージ的な。アトリエ春風舎のあと、京都での公演とのこと。あの部屋を出たことがない巨体が京都の舞台にどう現れるのか? その前にアトリエ春風舎をあの巨体は出ることが出来るのか 笑?
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2026/07/26 (日) 14:00
座席1階
ユニークというか、不思議な感覚で貫かれた100分の舞台だ。以前から実験的な戯曲を書いてきた宮崎玲奈だが、今作を見ると、寺山修司のようなことを考えているのではないかと思えてくる。
タイトルの「巨体」というのは、二人暮らしの妹の方で、姉は妹のために食事を作るなどの家事をこなしている。二人は犬を飼っている。家は両親から引き継いだもののようだが、ある時、不動産屋が来て退去を要求してくる。
会場に入ると巨大な白い風船が鎮座している。この舞台装置は撮影可とのことで、他には小さな犬のぬいぐるみがあるだけ。体重200キロ?の妹は動けないが、外の世界のことは知っている。この登場メンバーを男性2人、女性1人の俳優が演じる。風船の上から顔を出したり、風船の周囲をぐるぐる回ったり逆立ちしたり。単語の末尾を重ねるなど奇妙な言葉づかいも多々あったうえ、かなりの長台詞もあって、俳優たちは大変だったろうと推察する。これぞ宮崎玲奈の心象風景なのだろう。こうした世界をストレートに外に表現できるというのは、劇作家の特権かもしれないと感じた。
その手段として台詞や舞台装置があるのだが、面白いのは例えば音響とか、照明などに台詞と同等の地位を与え、舞台の独立した構成要員として演出しているところだ。これも、宮崎玲奈の特色であるのだろう。他の演出家には見られない発想で、それを実際に舞台上でオーケストラのように操っているところがすごいと思う。
宮崎は手製のパンフレットに「忘れていた自身の特有の言語が思い出される瞬間が人生の中にあっていい」と書いている。物語の明確な展開があるわけではないので分かりにくさはあるとしても、「忘れていた自身の特有の言語」といういつもは忘れている自分を見てみようというきっかけをくれる舞台。なるほど、演劇とはこのような力もあるのだなと気づかされる。