おいしいディストピアの作り方 公演情報 MEMELT「おいしいディストピアの作り方」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     少し長尺だが全く気を逸らすことは出来ない。面白い作品だ。(追記7.1110時半)

    ネタバレBOX

     板上は廻り舞台上の下手上手各々に階段を付け踊り場を設えたセット。このセットの下に(場面、場面で様々に機能する動輪の付いた鉄骨を組み合わせた枠が2つ。板観客席側上方には2か所にスクリーンが設えてある。
     オープニングでは、中年の研究者らしき男と主人公、トリフネ。研究者は腹を空かせているトリフネにパンを与える。食べている途中でトリフネは地べたへ落ちたパンを拾って食べようとするが、研究者が「直ぐ作ってやるから」と言って手を洗ってくるように促す。このファーストシーンだけでトリフネが孤児らしいことは一目瞭然だ。この辺りの導入が上手い。
     ところでトリフネは手を洗う為に水道のある上の階に上がり掛けた、その瞬間、敵国からの空襲があった。トリフネは生き延びることができたが建物が崩壊したとみえ、研究者の所在は分からなくなってしまった。
     場面は約10年後に飛ぶ、トリフネは17歳になっていた。あの空襲で折角親身になって面倒をみてくれる大人に出会ったのに別れ別れとなってしまったトリフネは志願兵とバイト兵のみによって構成されている軍に入隊することにした。動機は? 無論、世話になった研究者が一体どうなったかを知ることにあった。そんな折、志願兵とバイト兵しか居ない軍で敵軍を撃破していると評されているのは大日本が誇るテクノロジーの進歩が原因であった。大日本は、敵国出身のITエンジニアによって開発されたAIを用い総ての戦況を把握して各戦闘員に最適解を指示、戦闘員はこれを実行すれば勝てる、という仕組みを拵え上げていたのである。無論、戦争の継続中である。敵軍、自軍何れも戦士の戦意高揚の為様々なプロパガンダを行う。更に大日本国では反政府ゲリラの活動もあり決して挙国一致では無かった。
     一方、敵国から密入国し偽名を用いてこの大日本で暮らしている少女ミナカタは自分達を捨て失踪した父を探していた。父失踪後、母は既に亡くなっている。亡くなる前に裏切った父殺傷用の銃を残して。
     ところでミナカタはバイト先の縁で反政府組織のメンバーと知り合いオルグされる。
     この歳の近い2人の偶然の邂逅を通して深まる関係が、今作のメインストリームを為す。
     一応大日本国とその軍事を司る複合型AIヤマト様、ヤマト様と兵士の間の関係を概略すると報酬はポイントで支払われ百万ポイント獲得した者は3分間ヤマト様に質問する権利が付与される。トリフネの望みは百万ポイントをゲットして言葉は余り通じなかったものの命の恩人である研究者がどうなったか? を知ることであった。トリフネは命じられた敵艦体当たりの特攻攻撃で赫々たる戦果を収め而も生き残って英雄となり、その後もポイントを積み上げ遂に特務機関専従となるが。受けたミッションはミナカタに関わるものであった。然し彼は彼女の所持していた銃で撃たれ命令を遂行できずにポイントは没収されランクは最下層に。そして自らの目標の為最下層から再チャレンジする羽目になる。 
    一方AIヤマトを用いて戦争を遂行し続けるヤマト国首脳の悩みの種は、初期型であれ最新型であれAIの本質である徹底した合理性が戦術レベルで作動する場合には結果を出し続けてきたものの、AIが本当に目指しているもの、即ち目的が何かを理解することは出来ないというパラドクスであった。(今作では実際何が目的なのかは示される)このような新技術の齎す結果を予想することは或る程度迄可能であるにせよ、不確定要素が残ることは無論、不安要因であるから、大日本国政治屋の常として国民の生命財産等を護るという本来の義務を忘れ己の権益拡大とその為の施策遂行に全力を注いでいた。こんな政治実践の中、大多数の国民は正しい情報を得る手段もあるのに、唯コントロールされ、戦争に負けた際の言い訳ばかりを考えているのか自ら独自の思考を自らの責任の為に構築する術を端から放棄していた。これこそ当に今作のタイトルに凝縮されている内容である。ラストまでにミナカタの父が実は拉致されていたこと、等も明らかになる中、初めて自分の頭で思考することを覚えたトリフネが因縁のミナカタと共に敵機の襲来を予測させる状況の央(さなか)世界に繋がる海の見える場所で事実と邂逅する場面は美しく哀しい。

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    2026/07/10 13:32

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  • 皆さま
    ハンダラです、追記しました。
    ご笑覧下さい。

    2026/07/11 10:31

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