プライマ・フェイシィ 公演情報 シス・カンパニー「プライマ・フェイシィ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    Prima facieはラテン語で法律用語、「一見して明らかな」こと。
    オーストラリアの劇作家、スージー・ミラーによる2019年の作品。彼女は弁護士として働きながら戯曲を発表して来た。今作を小説化したものが現在映画製作中。

    灰色の壁に囲まれたステージ背面、カーテンやドアの隙間のように縦に一条の光が差す。この演出が効果的。照明のおざわあつし氏にRESPECT。

    何の話か全く知らずに観ていて、役者は魅力的だが話は単調だなと思っていたら、「あの日」から一気に持って行かれた。観る方もキツイ描写、これを演る方も相当辛いだろう。トラウマとの対峙、凝視、恐怖と屈辱と惨めさで心が張り裂ける。

    三浦透子さんのことは全く知らず驚いた。このレヴェルの一人芝居を難なくこなせるとは。田畑智子さんっぽい演技派。前半のノリノリの遣り手弁護士振りは海外ドラマ調。

    今作を観れたことは運が良い。
    是非観に行って頂きたい。

    ネタバレBOX

    裁判をゲームであると描く前半。被害者の発言の些細な不一致を突いての印象操作、陪審員へのアピールがレースの決め手。そこに真実は要らない。着順しかない。毎日行われているゲームに過ぎない。

    今作の巧いのが加害者が法律事務所の同僚弁護士で恋愛感情さえ抱いていたところ。一度、オフィスでセックスもしている。そんな男をレイプで訴えることへの葛藤。自分が我慢すれば終わる話。主人公が突き付けられるのは正しさについて。自分が何度も拒絶した性行為を強行された時に感じた自らの不在。自分がいなくなってしまった。夜明けのタクシーでの老運転手との遣り取りが文学的。

    レイプされてから782日、到頭裁判に臨む。
    一人芝居だがワンシーン、録音された声との対話があった。

    性被害に遭った伊藤詩織が被害者である自身を曝け出して撮ったドキュメンタリー映画『Black Box Diaries』と重なる作品。映画ではその裁判の過程が辛すぎて何度も自殺を考える姿も刻まれる。今作の主人公の目的は加害者の告発だけではない。もっと根源的な問題、今の司法制度では性被害者は泣き寝入りで終わる現実。男社会が作った法律では性被害は本質的に裁けない。女性が訴えるに値する信用に足る法律の改正へと。

    日本だと渡邊渚なんかがアフタートーク・ゲストだと盛り上がったろう。現実世界の司法制度さえ男社会の価値観であることを知らしめる良い機会になったと思う。

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    2026/07/06 01:12

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