隕石 公演情報 SPIRAL MOON「隕石」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     板上はセンターに木製ベンチ。尺は80分。各エピソード毎に両側にベンチ形式の椅子が付いたテーブルが持ち込まれて場転を行うが照明を最低限にしスピーディーなので気にならない。不思議テイストの物語。

    ネタバレBOX


     タイトルが“隕石”而もーあるいは、主よ人の望みの喜びよー、と繋がっているので直ぐにバッハを思い浮かべる向きも多かろう。この曲をイメージする限りパニック物と解釈することはほぼ無かろうがタイトルのみから想像するのは矢張りパニックではあるまいか? 我々の多くが流星雨を見たがり平均0.2秒の流れ星の見える間に願いを叶えようとチャレンジしたことの無い者は少なかろう。ことほど左様に宇宙の神秘は我らの遠い記憶に根差し我らを惹きつけて止まない。無論、流れ星の正体は殆どが氷であり隕石ではない。然し宇宙の構成要素の1つ、1つであることに変わりはなく我らヒトは我ら自身を構成している総ての物質が宇宙由来であることを何処かで知っているのだろう。それ故にこれほど懐かしく親しく惹きつけられるのである。
     少し天文学に興味のある方々の中にはチェリャビンスクに2013年2月に落下し大きな被害を齎した推定17mの小天体が大気圏突入時に爆発して隕石の集団となって降り注いだことを覚えていよう。約6600万年前にユカタン半島に落下し恐竜絶滅の引き金となった小惑星のサイズは約10㎞とされている。この影響で地球上の環境は極めて大きな変化を被り、我ら哺乳類の先祖は酷寒を生き延びる為の体毛を得、常温生物としての優位性の下現在の繁栄の基礎を築いた。因みに鳥類が恐竜の進化系であることは常識である。羽毛を彼らが獲得していることが体温保持に貢献したことも明らかであろう。
     余談はこれ迄としよう。今作は、以上挙げたような科学的知とはほぼ無縁である。然し、掛かるが故に不思議に満ち、宇宙の持つ本質的特徴である広大無辺とその対極を為す無との中間にあるヒトの性(さが)を浮き彫りにして如何にもspiral moonらしい作品に仕上げている。
     ファーストシーンで木製ベンチが板のど真ん中に据えてあるのも無論偶然ではない。ここはこの地域唯一の駅なのである。板上はプラットフォームという訳だ。而もこの駅には各駅停車のみが停車する。時効表は無い。経費節減の為、駅舎内にあるQRコードを読み取る必要がある。従ってスマホを持っていなければ時刻表を見ることさえできないし電池が切れていても見ることはできない。そんな駅に生まれて初めてこの地を出る榎本がやって来た。ベンチには1人の先客が居た。彼はもう3日も各駅停車を待っているという。話している内に彼は駅員であることが分かる。而も彼は旅立つ者を許さない、否、阻止する為にこそ此処に居た。理由は榎本1人が居なくなることによって限界集落であるこの地の補助金が減額され今あるスーパーやコンビニすら維持できなくなることであった。そうこうしている内に、鈍行が到着するという。鈍行には榎本が遺産相続人に選ばれたことを告げる人物が乘っていた。彼女が受諾するか否かの判断は鈍行が出発する迄に決断せねばならぬという。
     この物語の幕が開いた。

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    2026/06/12 15:28

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