板上は幾重にも重ねられ、ずらされた大小様々なパネルによって構成されており下手側にはソファほぼセンターに大きめなテーブルと椅子、上手には側壁から延びた化粧台と丸椅子。側壁には鏡が4枚、等間隔に貼られている。奥にはハンガーに掛かった衣装が見える。つまり上手側は楽屋である。下手の舞台美術は高校の世界史教師、荒井とその教え子であった、たまの愛の巣。センターの机と椅子は2つの空間で共有される仕組みだ。何故、このようなレイアウトになっているかと謂えば2つの物語が対比されつつ上演される仕組みの作品だからである。荒井とたまのカップルは恰も人生を脱臼したか、箍を外されでもしたかと思える不思議なカップルで既に10年目。此の曰く言い難い不思議なカップルの唯一の友人が矢張り教師の堀川で脱力したような彼らの愛の巣に突拍子もなく表れる。 片や1か月という超ロングランの公演を打っている芝居出演者たちの楽屋。長期の公演だから体調を崩して降板してしまった者が出る。出演している役者陣の怪我や病気で公演が続けられるか否かの瀬戸際に立たされる日々ではあるが描かれるのはその最後の3日間。降板してしまった役者の穴埋めにプロデューサーが町で拾ったチンピラ、でんすけとその後輩ででんすけに心を寄せるギャル、ひろこをスカウトした。偶々でんすけの憧れの的であった元アイドルのなちょが出演していた。但し現在は元アイドルという肩書とプライドが重く圧し掛かって総てが瓦解しそうになるなちょ。そんな彼女をでんすけが精神的に支える。他の面々も各々様々な問題を抱える。例えばミヤケは体調不良で喀血ばかりしているし、ハンサムなクボダイは直ぐに骨折する。イケメンのクボダイにホの字のサワグチがハグしただけで骨折する始末である。こんな中、唯一前向きなアミリは最近マッチングアプリで恋人ができた。その恋人は教師の堀川。こんな故障者ばかりが出演している公演のプロデューサー、キムビーはてんやわんやの日々を送っているが・・・。 物語の肝は当に“show must go on”であり待っている観客の為に演劇人はあらゆる困難を乗り越え舞台に立つとの気概を示して、荒井・たまカップルの脱力系と対比させ互いを対比することで批評性を持たせ、観客にどのような生き方が望ましいか? 選択を迫る相乗効果が狙われている。可成り知的な作品である。因みに荒井が何度も着て出てくるTシャツには“うぞう・むぞう”の文字が記されている。
ハンダラです、
大変遅くなりましたが追記しました。