チェーホフ?! 公演情報 東京芸術劇場「チェーホフ?!」の観てきた!クチコミとコメント

  • 観劇。
    芸劇「チェーホフ?!」観劇。理屈で語れない強烈なアート体験であった。冒頭から劇空間のあまりの美しさに、涙が一筋零れ落ちた。何を表しているかを理解出来なくても感性を揺さぶられる。本来物語性を重んじる僕がこのような感動を味わった驚きは新鮮で、自分の感性に新たな水を注がれた思いがした。

    台詞は殆どない。プロセニアム型舞台の中に、役者の精緻な動きが絵画を描いていく。その絵は時に影絵であり、また浮世絵であり、唐突に立体化する。生オーケストラと共に踊りが展開されるが、振付はなく毎回役者が音楽に合わせて即興しているという。信じられない。完全に完成された動きだったからだ。

    アフタートークで毬矢友子さんが子供のように朗らかに笑う姿を見て何故か、ああやっぱりこの方好きだなあと心底思う。憑依型と言われることもある彼女の演技は、以前他の芝居で観た際の顔とは別人のようで、演出家の色に染まる女優の不思議さを考える。

    ルパージュの演出を受けたことのある毬矢さん曰く、タニノクロウは彼と感覚が似ているという。共にビジュアル面を独特の感覚で追及していく作り方だという。タニノクロウは演出する時、頭に巻いていたタオルを手に持って、筆を振るようにして世界を形作るらしい。正直、意味がわからない。

    ルパージュにまるで感動しなかった僕は、しかしタニノクロウは今後も観続けたいと思った。何が両者を隔てるのかは僕には謎である。前者は演劇と映像で、後者は演劇と絵画なのか。果たしてそんな単純なものではないだろう。自分の肌に合う美意識の違い、なのかもしれない。

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    2011/01/28 04:38

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