アイロニーの丘:Re:Re 公演情報 9-States「アイロニーの丘:Re:Re」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     脚本が良い上に、演出、役者陣の演技もグー。特に山崎先生の台詞が凄い。観るべし!

    ネタバレBOX

     板上は夜間学校の教室。ホリゾントには下手に窓が2か所、上手に教室への出入り口、観客から観易いようにやや開かれた角度で伸びる教室正面の壁には緑板、その手前に教壇。この教壇とホリゾントの間に教師が用いることのできる机と椅子。対面に生徒用の机と椅子が整然と並んでいる。緑板対面の壁ホリゾント側にはもう1つの出入り口。センターには壁埋め込み型本棚が見える。尺は110分。
     初演は2011年。自分は初演を拝見していないが15年経って居る分、随分変わった社会情勢や言葉遣い等も含めて現在に合わせて改稿されている部分はあろう。然し改稿された部分と初演上演版決定稿との間に在るハズのズレは全く感じさせない。内容が極めて本質的で全くブレが無い深みを湛えているからであることは容易に想像できる。設定が定時制というのもいい。定時制に通う人々の年齢は一般的に現実でも様々である。全日制の生徒と同年代の生徒もいれば親子程年の差がある場合も多いのは、生徒それぞれが抱えてきた人生に大きな差があり、困難や苦労が在って通学できない事情が在ったケースが多いからだ。ヒトは生まれ落ちた時点で例え同じ両親から生まれた兄弟姉妹であっても個性差を持っている。その生得的個性差に経験差が加わり、各々の位置の差が社会的にある中で育つことによって初めは小さかった差は拡大するのが開かれた社会では当然起こることだが、この自然の流れに棹刺すのが「国家」教育である。
     今作では、担任教師山崎先生が生徒に接するに当たって取る対応が開かれた教育だとすれば、副担任を務める小林先生は「国家」教育の理念に縛られたタイプの教育、小林先生休職中代理で副担任を務める朝比奈先生は山崎先生寄りという感じだ。
     生徒たちも様々である。元社長、引き籠り、ホスト、漁師、主婦、工場勤務、モブ、殺人犯等各々様々な事情を抱え実生活では何処にでも居る人、社会的弱者、排除対象者として一纏めに括られそうな人々である。そのように括られ、括られることで軽んじられて真っ当な対応を他人からして貰えないという傾向があるのが我々が日々過ごしている現実社会の姿である。今作は担任の山崎先生の態度が一見つっけんどんであり乍ら実に深く本質を突き、本質を突いているが故に具体的解決に達する道程が見え、問題を抱えていた本人は少なくとも燈明を持つことができるようになる。国家の強制する政策合致目的の次元の低い話では無い。それどころか、真に個々人を活性化させ可能性を増大させて結果的に真の富をも得る方途の基礎を築くのである。
     描かれ方は、喜劇的に数々の擽りを入れ笑いを誘うシーンも鏤めつつ、優れた喜劇が本質的に持つ特質、悲劇を越えた悲劇を実は描いていると観た。

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    2026/02/27 17:39

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