OIL 公演情報 燐光群「OIL」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     作はエラ・ヒクソン。翻訳は一川 華さん。演出が水野 玲子さん、芸術監督が坂手 洋二氏。

    ネタバレBOX

     照明はずっと昏め。これは石油をエネルギーとして人類が大々的に使い始める以前及び使い始めて以降の歴史に於ける暗黒史を象徴していよう。当然、今作を描くに当たってエラ・ヒクソンその人がぶち当たった現実の悍ましいとしか形容できない巨大資本、産業の核を為すエネルギー業界と国際政治の蜜月・結託関係が齎す(今作では齎した、と齎すであろうであるが本質は現在も全く変わっていない終盤描かれる2050年頃も変わるまい)ミエミエの茶番論とその茶番をごり押しする者{勢力・追随者(国家及び力に屈し隷従する群れに属する人々)}とこんな嘘八百と欺瞞の犠牲とされた国と国民、その狭間に在り結果的には不十分な第三者となる者三つ巴の物語だ。
     演劇も実際に上演されて観客に届かなければ完結しない。これはあらゆる表現がそうであるように受容する者無しには完遂したとは考えられないからだ。ヒクソンもこの道理からは抜けられない。その結果が、イラクで実際に起こっていたことが起こっていた時点から隠蔽され、今では往時そのファクトを追求して居た者、及び体験し生き残れた者達にしか伝わっていないという事実と、往時を知らぬ者達の間でも”通用”し得る『愛』という概念を用い劇作家と観客、その間に居る役者、演出家、ドラマトゥルグら、及び舞台美術、衣装、化粧他演劇表現に関わる一切の者及びその成果を受け取る観客への橋渡しを老人がかつて体験した深く、昏い思い出を訥々と語る際に聴く者たちへの気遣いを怠らないような按配にみせる愛に近いように思う。当然、現実に起こっていた正しく地獄とは遠くかけ離れている。従って観客が観劇後何をすべきか? については不可視化された事実を発掘し、それら事実だけを手掛かりに今作終盤で触れられた常温核融合について自ら判断できるほどの勉強をすることだろう。ヒントとして以下の事実だけは挙げておく。実際にイラクで何が起きたか事実を知っていた人々の多くは暗殺されてしまった。
     今作はこのような闇を一般に開く契機となった点で極めて重要だ。

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    2026/01/18 13:16

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