くにこ 公演情報 文学座「くにこ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    期待していたものとは違っていた
    文学座で「くにこ」というと、文芸作品の香りを勝手に期待していたので、全然違う内容で肩透かしをくらった気分でした。
    明るく楽しい家庭劇という感じで、私には向田邦子という脚本家が持っていた「棘」のようなものがずっと気になっていた時期があり、それを追体験できると思って劇場へ行ったのが大間違いだったようです。
    確かによくまとまったお芝居で、文学座ファンの女性客の好みにも合っているのでしょうけど、正直物足りなさを感じ、自分にとっては入場料6000円は高いな、と思いました。
    帰途、年配のご夫婦連れらしいお客さんの男性のほうが「ちょっと違うんだなぁ、自分が期待していた芝居とは、さ・・・」と呟かれたのが心に響きました。

    ネタバレBOX

    栗田桃子さんの「くにこ」は溌剌と可愛らしく、仲良し三姉妹もほほえましいのですが、自分が向田邦子の随筆を読んで思い浮かべた家庭は、父権に萎縮してるようなある種、戦前の暗さを感じていたので、「明るい笑いと元気」なんて「サザエさん」みたいで面食らいました。実際、角野さんの父親は波平さんみたいでした。
    栗田さんの「くにこ」は魅力的だけれど、私の抱く向田邦子のイメージとは違いすぎていました。

    一般家庭の話ならインパクトに欠けるので、「向田邦子」という冠をかぶせたのでしょうか。さりげなく、「もしかして向田さんがモデル?」と匂わせる程度ならまだしも「向田邦子さんがモデルのお芝居やります」みたいに写真つきで宣伝されたら違和感が残ります。
    向田作品の名場面の一部が出てきたり、工夫はされていましたが、辛い戦時もあっというまにスルー。ただただ甘い砂糖菓子のようで、しみじみとしたものが何も残らなかったです。

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    2010/12/07 17:01

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