くにこ 公演情報 くにこ」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 満足度★★★

    期待していたものとは違っていた
    文学座で「くにこ」というと、文芸作品の香りを勝手に期待していたので、全然違う内容で肩透かしをくらった気分でした。
    明るく楽しい家庭劇という感じで、私には向田邦子という脚本家が持っていた「棘」のようなものがずっと気になっていた時期があり、それを追体験できると思って劇場へ行ったのが大間違いだったようです。
    確かによくまとまったお芝居で、文学座ファンの女性客の好みにも合っているのでしょうけど、正直物足りなさを感じ、自分にとっては入場料6000円は高いな、と思いました。
    帰途、年配のご夫婦連れらしいお客さんの男性のほうが「ちょっと違うんだなぁ、自分が期待していた芝居とは、さ・・・」と呟かれたのが心に響きました。

    ネタバレBOX

    栗田桃子さんの「くにこ」は溌剌と可愛らしく、仲良し三姉妹もほほえましいのですが、自分が向田邦子の随筆を読んで思い浮かべた家庭は、父権に萎縮してるようなある種、戦前の暗さを感じていたので、「明るい笑いと元気」なんて「サザエさん」みたいで面食らいました。実際、角野さんの父親は波平さんみたいでした。
    栗田さんの「くにこ」は魅力的だけれど、私の抱く向田邦子のイメージとは違いすぎていました。

    一般家庭の話ならインパクトに欠けるので、「向田邦子」という冠をかぶせたのでしょうか。さりげなく、「もしかして向田さんがモデル?」と匂わせる程度ならまだしも「向田邦子さんがモデルのお芝居やります」みたいに写真つきで宣伝されたら違和感が残ります。
    向田作品の名場面の一部が出てきたり、工夫はされていましたが、辛い戦時もあっというまにスルー。ただただ甘い砂糖菓子のようで、しみじみとしたものが何も残らなかったです。
  • 満足度★★★★★

    文学座は演出家次第と、知る
    いいだろうなという予想を悠に超えて、とても楽しい芝居でした。

    何だか、こまつ座の井上芝居(あくまでも鵜山演出に限る)を彷彿としてしまいました。

    向田さんの半生が実に生き生きと活写されていました。
    3姉妹の様子も、観ていて、ずっと微笑ましくて、ずっとほっぺたが緩みっぱなしでした。

    久しぶりに、文学座に素敵な芝居を見せて頂き、大満足!!

    ネタバレBOX

    中島さんの作品は、ご自身が演出されるより、鵜山さんや、鈴木裕美さん等、信頼に足る演出家に演出してもらう方が、絶対、何倍も光を放つのだなと、また痛感しました。

    本当に、ずっと心がワクワクしっ放しの舞台でした。

    向田作品の、「寺内勘太郎一家」や「阿修羅の如く」などの元ネタエピソードをうまく織り込みながら、向田さんを知らない観客にも充分楽しめる普遍性を持たせ、古き良き、大衆向け商業演劇テイストも加味した、大変、贅沢な仕立ての、お芝居でした。

    くにこ役の女優さんが、「わが町」の時とは打って変わって、生き生きとくにこを舞台上に再燃させて下さって、向田ファンだった私には、終始感無量の舞台でした。どことなく、向田さんの面影そっくりでした。

    ベテランの塩田さんが、笑わせ役を一手に引き受け、面白かったのですが、よく、台詞をとちられ、それだけはやや残念。

    それにしても、最後に、字幕で紹介される、向田作品、何と、全部制覇していた自分に気付き、これにも驚きました。

    ドイツ語で歌う「野ばら」や、腹巻の巻き方…。向田さんは、同世代だったのだと、痛感しました。
    今更ながら、惜しい作家が早逝してしまったものだと、悔やまれてなりません。

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