のぞまれずさずかれずあるもの『無事終演致しました!ありがとうございました!』 公演情報 TOKYOハンバーグ「のぞまれずさずかれずあるもの『無事終演致しました!ありがとうございました!』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    血のつながり
    1972年の晩秋、宮城県石巻市の某産婦人科で誕生した子供から物語りは始るが、確か、赤ちゃんポストと騒がれた病院もあったはず。劇のタイトルの意味は「ああ、なるほど」と思う。日本は血のつながりを未だに重視するがアメリカやヨーロッパは実子でない子を養子にする例が多いことを思うと、日本独特の風土も考えさせられた。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    道幸家には子供が出来なかったことから、宮城県石巻市の某産婦人科にて捨てられた子どもを貰い受け育てることになる。こうして夫婦は次々と5人の子供を養子にして育て、やがて大人になった子供たちが本当の家族となるまでの状況を描いたもの。

    子供たち5人はそれぞれ血の繋がりはないが、兄弟として育ちながらも、それぞれの胸の奥に潜んだわだかまりがあった。それをお互いに出さないようにしながらも、しかし、重大な事柄で諍いする度に、屈折した「本当の兄弟じゃないから・・。」という本音がついつい出てしまう。

    それは人間特有の繊細な感受性によるものなのだが、子供たちは大人になっても、小さい頃の闇の記憶を事あるごとに甦らせてしまう。だから自身の妊娠した時や、育ての親が亡くなったときに精神が不安定となって、きちんと育てられるのか、という不安や本当の親に会いたいという感情が鎌首をもたげてしまう。

    それはいったい自分は何者なのか?という血の継承やルーツに拘ってしまうのだが、個人的には、こういった血のつながりのない家族こそが本当の家族なのではないか?とも思う。
    血の繋がりがない分、血に甘えるということもないだろうし、血は根底に存在する「肉親」に対する信頼感が強いほど、いったん問題が起きたときはこらえ性がないほど爆発してしまう気がするからだ。

    血・・・これからの時代はそういった繋がりから少し離れて人間同士の絆が重要視される時代かとも思う。

    相変わらず感動した舞台だった。

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    2010/11/26 13:01

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