ロックスターは死んだ 公演情報 中央大学第二演劇研究会「ロックスターは死んだ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     タイトルからイメージしていたより遥かに良い出来であった。

    ネタバレBOX

    というのも、自分はロックという音楽ジャンルを創造し実際に活躍するスターたちの創造の原動力を基本的には少年・少女時代に抱いていた夢や希望、少年・少女時代に苛めや差別に遭い潰れそうになった辛い過去に対し、思春期以降増してくる自分達の体力や飛躍的な身体的成長を遂げた段階で自分達を虐げてきた人々に対し突っ張るという形を採り、自分達が抱えている精神的苦痛を、壊れてゆく夢の痛みを、自壊せざるを得なかった崩壊の音に託して表現した音楽と考えており、その痛みが未だ社会的経験に乏しい彼ら彼女らをカモる悪徳興行者らによって収奪されてゆく現実との対比に於いて極めて正確に描かれていたからである。若さとは端的に社会的な経験不足を意味し社会経験を積んだ連中がこのような若者をカモることは容易い。今作の太い柱は、この構造をクッキリ描き出した点にある。契約書の持つ社会的・法的意味、事件化する程手広くあくどいプロモーターを登場させ、警察・司法の介在を通して進行する社会的「正義」の意味等がしっかりした骨太の脚本によって実現されている。経年後の元バンドメンバーだった者達の現在をも活写している点も泣かせる、ギター片手に“Daydream Believer”を合唱するシーンは最高だ! 役者陣の演技、演出も良い。舞台美術も内容に応じて過不足なく合理的に機能している。いつもながらスタッフの対応もグー。お勧めの舞台である。

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    2025/11/08 10:46

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