公演情報
スマートリバー「狂人なおもて往生をとぐ」の観てきた!クチコミとコメント
実演鑑賞
満足度★★★★
注目する舞台の一つではあったが、観劇に至った理由というのが不純。その時間枠に当てていた別公演が観られず(チケット購入に至っておらずしかも満席で当日券も出ず)、ポッカリ空いた枠にハマったのがこの公演というわけ(折角だから何か観たいぢゃありませんか)。
未見のIMM THEATERを拝みたくもあり、水道橋へ足を運んだ。
清水邦夫の題名のみ知っていた作品は、不条理劇に近く、不思議な感覚を残す。演出に稲葉賀恵。ある場所(室内らしい)でどうやら幾人かが同居しているのか、出入りしているのか、家族なのか非家族なのか、父母がいて子どもが三人いて・・という事を演じているだけなのかどうなのか定かでない人間同士のある種実験的な共存。関係性の探求が、社会に出る予行演習のように為されているのか、現実を象徴的に写したものか・・。
終盤ある種の高揚が訪れ、(作者が生きた)無秩序が現前したかの時代の空気が吹きすぎる。若者は死と引き換えにしてでも、従来との決裂=新たな未来を切り拓く事に価値を見出すものであり、一笑に付されるものなのかどうか、結論は出ていない、という事が重要であった。
個人的な感覚ではあるが、戦後これほど「自由」の尊さが軽視されている時代は無かったのではないか、と思える現代に、自由の対極の理念=秩序を解体する人間の姿を提示することには、意味があると思われる。