満足度★★★★
バラエティ豊かなトリプルビル
新国立劇場のバレエの監督がビントレーさんに代わって最初の公演は、定番モノをやらずに20世紀の作品3本と意欲的なプログラムでした。
『火の鳥』
音楽や振付、衣装、美術のどの要素もロシア的雰囲気がしっかり出ていて楽しかったです。
バレエの上演はあまりなく、寧ろオーケストラの演奏会で良く演奏される曲ですが、バレエが付くと曲のフレーズが各役柄に対応しているのが良く分かり、面白かったです。
大団円の終曲のときにあまり動きがないのがちょっと残念でしたが、観応え聴き応えのある作品でした。
『シンフォニー・イン・C』
筋のない、純粋にダンスだけを見せる作品で、新国バレエのアンサンブルのレベルの高さを見せつけられました。素舞台に白と黒の衣装を着たダンサーだけなのにとても華やかな印象でした。
終楽章のコールドバレエでどんどん人が増えていってもアンサンブルが乱れないのは圧巻でした。
『ペンギン・カフェ』
動物の着ぐるみを着て踊るのですが、コンテンポラリーな要素が多く、ユーモラスな作品でした(ちょっとイデビアンクルーっぽいところもありました)。
最後に動物たちがノアの箱舟に乗り込み、幕に描かれた船の絵の後ろに透けて彼等の姿が見えるシーンは物悲しく美しかったです。音楽も感情に訴えるようなドラマティックな曲調でなく、ミニマルで淡々とした感じだったのが効果的でした。
シーズン幕開けのプログラムでこのようなメッセージ性のある作品を上演することに気概を感じました。今後もこのような現代の作品を数多く上演して欲しく思いました。