坂口安吾 白痴 公演情報 726「坂口安吾 白痴」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    戦時下の
    町の片隅を描いた文学作品らしい雰囲気が漂っていました。

    ネタバレBOX

    白痴の女性というか、白肌の女性でした。薄緑と白の衣装がこの世のものとは思えない感じを与えていました。

    かまってもらえない、触れてもらえないことで女性が閉じこもるシーンは、原作を読んだ時は重要な箇所だと思っていました。そして、本作品にも出てきましたが、無理やり入れたという感じで、さらに言うと、この作品においてはあまり意味のないことのように思えました。

    それよりも、戦時下においても物欲、色欲は凄まじく、そうした欲望のまま動く者たちを表現することの方に重きがあったように感じました。

    そんな彼らを豚に例えていましたが、ブーブーのハミングで君が代を歌うことによって、太平洋戦争が愚かしく誰かの欲望によって遂行されたことがよく分かりました。

    豚になりたくない男も、生活のためには社会の流れに妥協せざるを得ないのが実情です。卑屈にもなりますが、一方で心に素直に生きるのも人間で、豚と人間の差なんて実は無かったのですね。

    空襲時に恐怖の気持ちとともに湧き起こる一種の高揚感が、空襲が終り命が助かったことが分かった後の脱力感に変わる様を、OFFOFFシアターの鉄窓を開けて外の光と喧騒を取り込むことで表現していました。

    ところで、白痴の女性が話すときにエコーがかかっていましたが、どのようにしていたのか不思議でした。

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    2010/10/18 10:39

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