『イライラの依頼人とベンベンの弁護人』 公演情報 コケズンバ「『イライラの依頼人とベンベンの弁護人』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     初観劇の団体だが、独特の歌舞き感を持った団体のようである。

    ネタバレBOX

    無論、演劇の本質は歌舞くことにあるから本質的である。従ってその本質性が明らかになるのも終盤に入ってからだ。まあ、前説が音声のみで為されることと、その語り口が極めて高い独自性を持つことは伏線であることが後から分かるが。
     板上下手奥は法律事務所受付カウンター、上手に所長のデスクと椅子。下手観客席寄りに面談用テーブルと椅子が置かれたシンプルなレイアウトだ。
     序盤から素っ頓狂な展開で笑わせてくれるが、これは良くある法律の無料相談を利用した「客」。次に現れるのが、今作のメインストリームに絡む客で、依頼内容が、無茶である。而も依頼案件の詳細を質してゆく度に回答が異なるという不審極まる依頼。だがこの町場の法律事務所、経営不振で家賃を半年分滞納しており、追い出されても文句は言えない状態である。依頼人の成功報酬は1億円! 飛びつかない手は無いのだ。無料相談に現れた素っ頓狂な「客」とこの素っ頓狂な「客」に多大な損失を負わせることになった占い師が微妙にメインストリームに絡み乍ら、依頼人の不可解な答弁と依頼動機等が終盤明らかにされてゆく。
     一方シリアスな展開となる中で語られる名台詞の数々は、依頼人の心象風景を端的に表す一言で吹っ飛んでしまう。どんな時代にも見られる世代間ギャップ及び普遍性が、人間が当事者として置かれた位置による凄まじい迄の差として表現され観客の度肝を抜くのだ。見事である。

    0

    2025/05/28 13:50

    0

    2

このページのQRコードです。

拡大