マライア・マーティンの物語 公演情報 On7「マライア・マーティンの物語」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    On7らしい、小声で言えばえげつない公演だが、最近珍しくなった熱演・力演・の女優大競演の奮闘公演である。
    19世紀初頭のイングランドの田舎の下層農民社会の女たちの物語である。先年も「ウエルキン」という面白い作品を見たが、こちらは純農村社会だから暗黒度も半端でない。大きくは男女差別、社会層差別だか、全く救いがない。そこに絞って、納屋で殺され、埋められて何ヶ月も発見されなかった若い農婦(吉田久美)の生涯の一部始終が死者の語りで語られる。
    On7のメンバーに客演の有川まことが一人男優。すべて女優の役をメンバー代わり合って演じる。
    いいところ。まず、演出の寺十吾。この人の作品はアイルランドの芝居を幾つか見たが、お得意の暗黒ものである。原題がマライア・マーティンのバラードとなっているように、マライアを巡る被虐・加虐の短いシーンを集めて一本にしている、もう少し明かりが欲しいと思う暗い照明の舞台でギリギリ展開する。幼なじみという五人の女どもの友情や、相互援助や妊娠心得、男どもへの愛情や信頼などはたちまち吹き飛ばされる。テンポはこういう暗い話を粘ることも笑いでごまかすこともなく、ものすごく早い。民藝だったら3時間は越えようかという物語を二時間に納める。押さえるところは上手く押さえていて、陰惨な一本調子の時代物の農村実話を持たせてしまう。それが、この話、今のジェンダー騒ぎや就労問題に繋がっていることも思い出させる。考えてある
    次ぎ、俳優陣は競い合って熱演だが、これをオン7でやるというだけで意図は出てしまう。ちょっと作品選択がミエミエだったのが残念。
    背景音楽は電子音楽を選曲で使っていて、それはそれで似合っているのだが、せっかくなら作曲して貰ったら?あるいは使えなかったのかも知れないが、見る方は安易さを感じた。
    昨晩は満席だったが、後は空席多いとのこと。これが50席の劇場で見られるならお得。

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    2025/05/21 11:01

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