満足度★★★★★
心の造形美
いつもの言葉のぶつけ合いで展開していく形式とは違い、まさかここまでコンテンポラリーダンスを意識した作品を作ってくるとは思いもしなかった。
物語の展開にうまくストリートダンスやロボットダンスを取り入れるのはお手の物な団体だ。
が今回は語り手を二人に絞り、物語を単純化する一方で、人物の心理や葛藤を表現する踊り手を使い、観る人を飽きさせない独特の動きを取り入れた。
かもめは大変長い話で、今回は最後の四幕に絞る大胆な構成。
恋愛物や、青春ものに見えてしまう感じは仕方ないが、ニーナとトレープレフのすれ違いをはっきりと目にすることができたので、そこはさすがである。
心を映し出した肉体たちが、最後にトレープレフの体とともに吹き飛ぶところは、なんとも言えず寂しく、せつない。
コーラスガールは、前回も観たが少し上から見下ろすとまた違った雰囲気であった。
ストリップショーのようなつなぎは、ビックリしたが笑えた。
一日で、まったく違ったチェーホフに出会ういい時間であった。