あるアルル 公演情報 やみ・あがりシアター「あるアルル」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    2回目。
    全体像と筋書きが判っているので、それ以外に気を配って観ることが出来た。個人的に世話になった人が最近亡くなったこともあり、大槻ケンヂ的感傷で今作を眺める。死んだ人間の存在の喪失感を埋めることなど果たして出来るのか?

    いずれ人は死ぬ。遅かれ早かれ消えて無くなる。足掻いても悔やんでも嘆いても人は死ぬ。筋肉少女帯の『リルカの葬列』に挿入された中原中也の詩、『春日狂想』。

    「愛するものが死んだ時には、
     自殺しなけあなりません。

     愛するものが死んだ時には、
     それより他に、方法がない。

     けれどもそれでも、業ごふ(?)が深くて、
     なほもながらふことともなつたら、

     奉仕の気持に、なることなんです。
     奉仕の気持に、なることなんです。」

    梶川七海さんは正しくヒロイン。
    脳外科医・渋木耀太(ようた)氏の水商売の女を徹底的に見下したスタンスが大受け。

    作家の細やかな優しさが会場中を覆っている。スタッフの高潔な人間性に感銘を受けた。優しい空間。

    多分、三ノ輪駅近くの薬局だったと思う。ずっと前、お母さんが「ひまわり、ひまわり」と幼い娘を呼んでいた。凄い名前だな、と当時思ったものだ。

    ネタバレBOX

    一番、美しいシーンはスナック「リュミエール」に戻って来た梶川七海さん。自分がママ(川田希さん)から愛されてきたのは亡くなった娘に似ていたのが理由だったことにショックを受けている。言い合いになり、涙を零す川田希さん。
    「ママ、泣かないで。」と涙ぐむ梶川七海さん。それを強く抱きしめる川田希さん。

    前回、何で今作がイマイチに感じたかの理由が分かった。あるある仙人のお告げを出せるのが一日一回だからだ。その為、話の展開に時間が掛かる。もっとテンポよく進む筈の話が無理に時間を引き延ばすこととなる。(笑いも勘違いのズレばかりで弱い)。

    斎藤ヒロシは予知能力者だった。一日一回、正午の時だけ、この世の全てを見通せる。彼女だった山本わかばを捨て、すぐ乗り換え結婚した相手は美大卒の渡辺ひまわり。だが、ひまわりは6年前に自殺してしまう。彼女は闇バイトでアーティストの遺体を扱った裏仕事をしていたが、取り返しのつかない失敗を犯してしまい自殺。南フランスのアルルに組織の本部があり、彼女の遺体遺品は全てそこに送られた。その詳細を何も知らされていない斎藤ヒロシは自室で廃人となった。理由も分からず自殺した妻の『あるある』を日夜探し続ける狂人。どれだけ彼女のことを考え続ければ解放されるのか?救われるのか?許されるのか?

    amazarashi『小市民イーア』

    絶望込めるシリンダー 汗して暮らす小市民だ
    たった一つでいいんだ 冴えたやり方をしてイーア
    守る為に切り捨てたんだ その結果に胸は痛むか?
    次はきっと僕等の番だ 絞首台で笑って待つか?

    暗い時代には明るい歌が流行するんだって
    それは遠い星での話 音楽がそれじゃ耐え難い
    恋焦がれて夢を見たんだ 救ってくれたのはロックスター
    胡散臭い成功者が作る日陰は焼け野原

    ※この曲のリフは勿論、ブルーハーツ『未来は僕等の手の中』、更にその元ネタのリフはシャム69の『Rip Off』。ちなみに『チェインギャング』の元ネタはクラッシュの『いかさまカード師』。

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    2025/05/04 18:43

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