満足度★★★
青春ノイローゼなチェーホフ。
チェーホフへの固定観念を打ち砕かれた先月引き続き今回は今年の6月に上演された『かもめ』と8月に上演したばかりの『コーラス・ガール』の2作品同時上演。
『かもめ』は第四章のトレープレフと二ーナが再会する場面に焦点を絞り、大胆に構成。取り巻きの人々の雑念を排して『君と僕しかいない』セカイ系的世界観に徹したことが原曲よりもかえってふたりのダークサイドがフルスロットルに。繊細に積み重なって。気持ちをぶつける度に現実が絶望の吹きだまりと化す様にカタルシスを感じ。夢のなかで生きていたいと願う厨二病的葛藤もあり。適度なセンチメンタルもあり。極めて青春ノイローゼな味わいでありつつも、ここにいるのにここにいないようなニヒリズムが根底に流れていたこと、そうしたなかで生きることが『かもめ』へのアンサーであるように思えた。
続いて『コーラス・ガール』。先月観た時より台詞の掛け合いがよく伝わってきた。反面、空間は丁寧に描き過ぎたようにおもえ、コロスの躍動感がペースダウンした印象。私が全体を俯瞰できる位置から観ていたからなのかもしれないけれど、空間に隙間が目立っていたようにも感じた。