クリスパ ❤ グランデ 公演情報 劇団娯楽天国「クリスパ ❤ グランデ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     貫禄の第50回本公演。随所に歴史を重ねてきた劇団ならではの表現、表象があり、流石と唸らせる。

    ネタバレBOX

     娯楽を標榜しての本公演50回目、流石に貫禄がある。しょっぱなから雰囲気が矢張り凡庸な劇団とは異なるのだ。自分が感じたその理由を少し説明しておくのも良いかも知れない。
    板ほぼ中央の浴場手前下足入れの上辺りに照明の加減で十字架に見えるオブジェがある。銭湯が英語のセイントに掛かり、当然のことながら登場人物たちの苦境を救うプレゼントの持参者である聖人の名に掛かるのである。更に何故、この聖人が閉めた銭湯に入れたのか? については直ぐ気付けるだろうが一応記すと、初めて訪れた町で銭湯を探す場合、高層建築の多く無かった時代には、これを探せば良かった。贈り主は、Xmas前日、ここから入って子供たちの眠る枕元にそのプレゼントを届けるのだから。だが、これだけでは終わらない。板上で芝居が始まるとほぼ同時に客席側から讃美歌を歌いながら入場してくる白装束の集団が現れるからである。このような幾層もの表象や暗示、象徴、関連文化迄がオープニングの僅かな時間の中にそれとなく埋め込まれ洋式ウェディングという儀式の文化的背景と日本の伝統や生活とをしゃれっ気たっぷりに融合し止揚しているのである。
    物語自体の内容を余り詳しく記すことはしない。誰もが観れば分かるように創られているからである。
     だが終盤、聖書からの引用をキチンとし的確なタイミングで新郎となる者、また新婦となる者各々に理に適い而も柔らかく、言われる側に相応しい内容の説諭をして聞かせる神父の威厳に満ち静かだが揺るぎのない挙措を支えている精神沃土迄感じさせる程、西洋の宗教の最も深く高貴な部分を縦糸にして示し、一方目まぐるしく変わって予想を裏切られ右往左往する大多数の普通の人々の置かれた思うようにならぬ状況とを横糸に表現している今作の脚本、それをキチンと構成し劇化した演出、これら総てを肉化し舞台上に奇蹟を具現したかのような神父役を始め個々の役者陣の演技が程よく噛み合い良い味の作品に仕上がったことは記しておく。

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    2024/11/24 03:48

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  • 菊之丞さま
     嬉しいコメント有難うございます。素晴らしい脚本に演出、皆さんの演技も頗るつきの良さで本当に唸りました。今後とも良い作品とご健康、皆々様のご活躍を祈念しています。セント・ニクラウスがサンタさんのモデルであることも、彼が子供の守護者として定着してきた逸話も調べて書きました。今後とも宜しくお願いします。劇団のお仲間にも
    宜しくお伝え下さい。
                                  ハンダラ 拝

    2024/11/28 15:36

    うわーハンダラさん、流石です。今回は2008年に実際に起こった放火事件を元ネタにして、クリスマスに行われるコーパス・クリスティ祝祭劇風に仕上げたものなのです。だから、キャラクターもいつもよりカリカチュアして、衣装も出来るだけ1人1色にこだわって、お届しました。パンフレットでは「男」と表記されている本当の役名は「銭湯に暮らす男」、セントウニクラス…セント・ニクラウスなんです。
    次回はまた、今回とは違う趣向で作りたいと思います。
    ご来場ありがとうございました。

    2024/11/28 03:53

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