九州戦風カミカゼバイト 公演情報 劇団ジグザグバイト「九州戦風カミカゼバイト」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    初日観劇。九州を中心に活動している劇団のため未見であったが、面白い。
    この公演の見どころは、大きく2つではなかろうか。第1に物語性、第2に観(魅)せるための工夫、その両輪をフル回転させて舞台に集中させる。上演時間2時間近くだが、アッという間のような気がする。観れば その魅力は一目瞭然だが、少しネタバレ…アクション・ダンス・歌、そして和装・洋装に原住民の出で立ちなど、ビジュアル的にも楽しめる。勿論、戦隊モノであるから変身という定番シーンもある。

    物語の内容は、説明やチラシに詳しく書かれており、概ねその通りの展開である。しかし そのテーマは奥深く、しかも現代的で興味深い。表層的には、神と人間(戦隊)の戦い、それを勧善懲悪的に描いているようだが、そこには夫々の思いがある。
    少し残念なのは、次回公演(物語の続き)のためか もしくは観客の想像を膨らませたかったのか、台詞をそのまま受け止めれば上演時間の関係なのか、いずれにしてもラストシーンが物足りない。
    (上演時間1時間55分 休憩なし)【カミVer】 

    ネタバレBOX

    舞台美術は ほぼ素舞台。奥に段差を設え、上手下手に衝立があるのみ。大きなスペースはアクションシーンをダイナミックに観(魅)せるため。衣裳もそうだが、武器(得物)は、剣・大斧・槍・銃 等いろいろで、その使い方も器用に熟す。また被り物、仮面、ぬいぐるみ等、魅せる遊び心も楽しい。

    物語は、今の全県が統一され全九州なる組織が誕生して喜ぶシーンから始まる。平成の市町村合併の推進を思わせる出だしで、合理化・効率化という美名の下でサービスの低下。さらに地元ならではという意識(例えば特産・名産等)=地元愛(ジモトール)が弱くなる。古代より時は流れても地続き、地元愛がなくなり 封印力が無くなった時、災い=マガツが復活する。

    マガツに対するのが、九州戦風カミカゼバイト。TVで見かける戦隊ものと同じく5人(レッド・ブルー・グリーン・イエロー・ピンク)、その変身シーンも自然体だ。勿論各人の年齢・性別・職業など そのバックボーンはさまざま。マガツへ挑む意識、能力を持つ戦隊といっても 生身の人間、不安や恐怖といった感情を織り込む。演技では、この心と体(アクション)の両輪がしっかり描かれ観応え十分。

    台詞の端々に環境問題が触れられる(例えば「有明湾埋め立て」という言葉から「諫早湾干拓事業」等)。勿論 環境や経済といった諸々の問題が横たわり一律ではない。公演では、森林の伐採などもあろうが、その結果 自然災害(土砂崩れなど)を食い止められない。ここに戦隊の一員 グリーン(=木を大切に育成)の存在を絡めるなど、多くの思いを込めている。環境や地元愛(ブランド化)、最近のニュースでは東京の神宮外苑の再開発/樹木保全、長崎県 新上五島町の「五島うどん課」の新設予定などを連想させ、公演の着眼点・発想の豊かさに感心する。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2024/09/21 11:14

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