波間 公演情報 ブルーエゴナク「波間」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    正直に告白すると、ブルーエゴナグ『波間』は扱っているテーマからやや警戒していた。自死を扱っていたからである。しかしそれは杞憂に終わり、本作は自死を直接的には描いていなかったし、それどころか、(よくある傾向に反して)自死へ向かうプロセスをドラマチックには描かず、したがって観客が登場人物に安易に同情したり共感したりしない構成になっていた点において、作者への信頼がおけた。

    ネタバレBOX

    自死は美化していなかったが、作品それ自体はとても美しいものだった。かなり特徴的な空間と言える森下スタジオを、その特徴を活かす形で用いていたのも評価できる。体育館のような空間で、登場人物たちの学校生活をテーマにした作品ということで相性も良かったのだろうが、演出はその場に合わせて変えているというからその臨機応変さが功を奏したのだろう。
    「安易に同情したり共感したりしない構成」と前述したが、本作は登場人物の過去と夢の景色が混在しており、物語内容を把握することがやや難しくなっている。だがそれは観客の思考も茫洋としていくのを楽しめるような構成だった。別の言い方をすれば、見る人をやや選ぶ造りであろう。そのような作品を見慣れている人からすれば楽しめるのだが、ドラマ的な造りに慣れている人からすればややストレスに感じることもあるのではないだろうか。
    演出や照明、音響は非常に美しかったのだが難点があったとすれば、機材が古いのか、スモークが焚かれた瞬間に喉と鼻がやられたことである。恐らく制作サイドもそれを把握しており、各座席にマスクと飴が置かれていたが、それらを用いても防ぎ切れない程だったのには閉口した。

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    2024/06/26 11:15

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